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日本の家庭に眠る”かくれ資産”総額は推計37兆円以上-フリマアプリでの平均売買価格から算出、1世帯あたり約70万円、金融・不動産に続く第三の資産

生活研究部 上席研究員 久我 尚子
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調査では、不要品の処分方法として、近年、人気が高まるフリマアプリに注目し、株式会社メルカリのデータ提供を受け、今回の調査結果より得られたカテゴリーごとの不要品の個数と、フリマアプリでの平均売買価格をかけあわせることで、その総額を一般家庭の“かくれ資産”として算出致しました。
その結果、日本のかくれ資産総額は、推計37兆177万円。1世帯あたり約70万円。この自宅内の不要品の想定価値=“かくれ資産”は、厚生労働省「毎月勤労統計調査」における2017年の労働者一人当たりの年間賞与平均支給額74万7,156円に迫る金額となり、これまで一般的に資産として捉えられてきた“金融資産”や“不動産”に続く第三の資産として、今後さらなる活用が見込まれる潜在的資産と言えます。
この金額の乖離の理由として考えられるのは、ひとつには、経済産業省のデータは「過去一年間に不用となった品物の推定価値」である一方、今回の調査は、過去からの蓄積を含めて「潜在的な不要品の推定価値」であることです。もうひとつは、今回参照している平均売買価格がフリマアプリのものであり、こうした個人間取引では、比較的高めの価格で売買される傾向があるためと考えられます。
かくれ資産の大人一人あたりの平均は28万1,225円で、ご自身の予想額である8万8,169円の3.2倍という結果が出ています。私たちが思う以上に、家庭には多額のかくれ資産が眠っているのかもしれません。また、今回のかくれ資産の推計には、自動車やバイクなどは含まれておりませんので、家の中にあるモノだけで約30万円のかくれ資産が眠っているということになります。
一方で、一年前と比較したかくれ資産の金額は1人あたり▲5,947円で、減少しているという結果が出ています。これはフリマアプリやオークションサイトなどのWEBサービスを利用した個人間取引が浸透しつつあることに起因するとも考えられます。実際に、今回の調査結果を見ると、フリマアプリの利用希望者は、昨年の2.5倍に増加しています。
「売るときのことを考えて買う」という消費行動は、これまでも住宅や自動車の購入では見られてきたものですが、フリマアプリの浸透によって、日用品などの身近なモノにまで広がっています。また、若者を中心に、モノの「所有」から「利用」へという価値観も強まっています。
2019年10月には消費税率が10%へと引き上げられます。家計の負担がじわりと増す中で、家庭に眠るかくれ資産に目を向ける方も増えるのではないでしょうか。
1 みんなのかくれ資産調査委員会とは、日本の家庭に眠る不要品の有効活用について、様々な角度から検証・提案を行うべく、株式会社ドリルが主体となり本年9月に発足。今回の調査データをもとに、今後11月下旬には自宅のかくれ資産推計総額をかんたんに簡易試算できるWEBサイト等を開設予定。
(2018年11月07日「研究員の眼」)
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03-3512-1878
- プロフィール
【職歴】
2001年 株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ入社
2007年 独立行政法人日本学術振興会特別研究員(統計科学)採用
2010年 ニッセイ基礎研究所 生活研究部門
2021年7月より現職
・神奈川県「神奈川なでしこブランドアドバイザリー委員会」委員(2013年~2019年)
・内閣府「統計委員会」専門委員(2013年~2015年)
・総務省「速報性のある包括的な消費関連指標の在り方に関する研究会」委員(2016~2017年)
・東京都「東京都監理団体経営目標評価制度に係る評価委員会」委員(2017年~2021年)
・東京都「東京都立図書館協議会」委員(2019年~2023年)
・総務省「統計委員会」臨時委員(2019年~2023年)
・経済産業省「産業構造審議会」臨時委員(2022年~)
・総務省「統計委員会」委員(2023年~)
【加入団体等】
日本マーケティング・サイエンス学会、日本消費者行動研究学会、
生命保険経営学会、日本行動計量学会、Psychometric Society
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