2023年04月27日

「第12回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

生活研究部 主任研究員 井上 智紀

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

生活研究部 研究員・ジェロントロジー推進室・ヘルスケアリサーチセンター 兼任 乾 愛

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※ 調査結果内容の詳細については、全文ダウンロード(PDF)よりご覧ください。

1――調査概要

調査目的:
新型コロナウイルスの感染拡大によって暮らしが激変する中で、消費行動や働き方、生活不安などの状況を把握し、ウィズコロナ/アフターコロナの行動を予測する。

調査時期:
2023年03月29日~03月31日

調査対象:
全国の20~74歳の男女(株式会社マクロミルのモニター)

調査方法:
インターネット調査

有効回答数:
2,558
 
調査内容:
1|トピックス
 (1) 物価上昇に関わる意識や行動
  1) 物価上昇の家計への影響
  2) 物価上昇を感じた費目や支出額への影響
  3) 物価上昇を感じたことでとった行動
  4) 事業者や政府・自治体に対する要望

 (2) 少子化に対する意識や政策への期待
  1) 「次元の異なる(異次元)の少子化対策」への期待
  2) 「次元の異なる(異次元)の少子化対策」に期待している理由
  3) 「次元の異なる(異次元)の少子化対策」に期待していない理由
  4) 少子化進行の原因についての認識

2|新型コロナによる行動変容
 (1) 店舗やネットショッピングの利用
 (2) シェアリングサービスの利用
 (3) 移動手段の利用
 (4) 食事サービスの利用
 (5) メディアの利用
 (6) 働き方

3|新型コロナによる生活不安
 (1) 感染に関わる不安
 (2) 高齢家族に関わる不安
 (3) 子どもに関わる不安
 (4) 経済不安
 (5) 人間関係不安
 (6) 働き方不安(在宅勤務が増えることへの不安)

4|今後の見通し
 (1) 感染拡大の収束・経済の見通し
 (2) 家庭生活の見通し
 (3) 働き方の見通し

5|回答者プロフィール
 
※ 調査結果の詳細については、随時、レポート等で公表予定。

2――調査結果のポイント

1|トピックス

(1) 物価高に関する意識や行動
  • 物価上昇の家計への影響を見ると、約8割が影響ありと回答しており、男性より女性で、また、年齢が高いほど影響ありとの回答が多く、20歳代では約7割だが60歳代以上では約9割を占める。
     
  • 物価上昇を感じた費目は、食料や電気代・ガス代が8割を超えて圧倒的に多いほか、ガソリン代や外食、水道料なども3割を超えて比較的多い。また、物価上昇によって支出額が増えた費目も同様である。一方、物価上昇を感じたものの支出額は変わっていない、あるいは支出額を減らした費目については目立つものはなく、過半数が「特にない」、約4分の1が「わからない」と回答している。つまり、生活必需性の高い費目の価格が上昇する中で、支出抑制の工夫をするというよりも、値上げをやむを得ず受け入れており、家計負担が増している様子が伺える。
     
  • 物価上昇を感じたことでとった行動は、不要品の購入控えや節電が約半数を占めて多いほか、ポイントやクーポンなどの活用も約4割を占めて比較的多い。生活必需品の低価格製品への乗り換えや特売日での購入なども約3割を占めて続くものの、Q2の回答結果も踏まえると、生活必需品については価格の上昇をやむを得ず受け入れ、必需性が低いと見られる費目の支出抑制を試みる姿勢が強い様子が伺える。
     
  • 事業者に対する値上げに関わる要望について見ると、約6割が多少値上げをしても商品の量や質を変えないで欲しいと思っており、現在のコストプッシュインフレをある程度受け入れている一方で、値上げの際には丁寧な説明や従業員の賃上げを求めるとともに、コストダウン時の価格の引き下げも強く要望している。
     
  • 政府や自治体に対する家計支援策や各種対応に関わる要望について見ると、約7割が電気代等の価格抑制策を(継続的に)必要だと思っており、家計支援策を強く求める一方で、適切な価格転嫁や従業員の賃金への還元など企業行動の監視も同時に強く求めている。なお、一般世帯への給付金や時限的な消費税率の引き下げについては、そう思う層に対して内訳の「そう思う」割合が高い傾向があるため、他の要望と比べて一部に強い要望を持つ層が存在する様子が伺える。

(2) 少子化に対する意識や政策への期待
  • 政府の「次元の異なる(異次元の)少子化対策」に期待している層は2割にとどまり、約45%は期待をしておらず、特に40~60歳代で期待が弱い(期待していない層が約半数)。一方、高齢者や若者では比較的期待が強く、20歳代では期待している層と期待していない層が拮抗している(それぞれ25.5%)。ただし、20歳代では「政策を聞いたことがない」も多い(28.1%)。
     
  • 政策に期待している理由は、少子化の進行が日本の重要課題との認識が約半数を占めて圧倒的に多いほか、自分や家族に関係がある、日頃から関心があるなど自分ごとであることが続く。なお、近年の少子化対策の効果や政府の課題認識を十分であると感じている割合は約1割にとどまる。
     
  • 政策に期待していない理由は、政府の課題認識の甘さやこれまでも成功していないことのほか、未婚者の増加などが上位にあがる。また、統一地方選や衆議院補欠選挙に向けた対策(約3割)や防衛予算増額の議論から注意をそらすため(約2割)といった厳しい見方も目に付く。
     
  • 少子化進行の原因について、約6割が経済的な厳しさや若者の価値観の変容、約半数が保育所等の子育て支援環境の不十分さや身体的・精神的負担の大きさなどを考えており、政策的な対応も可能な課題と必ずしもそうではない課題とが混在している。
2|新型コロナによる行動変容

(1) 店舗やネットショッピングの利用
  • 3月半ばからマスクの着用が個人の判断にゆだねられ、5月には新型コロナウイルス感染症の感染症分類が変更される予定となり、コロナ禍明けが見えてきた今回の調査では、コロナ禍で進行していた「買い物手段のデジタルシフト」にやや後退傾向が見られ、消費者が一層、外へ出始めた様子が伺える。ただし、ネットショッピングやキャッシュレス決済の利用を増やしてきた状況をやや控える動きと比べて、デパートなどの店舗の利用を再開する動きは鈍く、コロナ禍で増えたネットショッピングの利用に一定の定着が見られる。

(2) シェアリングサービスの利用
  • ネットショッピングと同様、コロナ禍でフリマアプリの利用が増えていた状況は僅かに緩和しているが、フリマアプリの利用者自体は増え続けており、中古品の個人売買市場が堅調に伸びている様子が伺える。カーシェアや民泊などの外出を伴うシェアリングサービスの利用は2022年半ばを底に全体的に改善傾向にあり、特にシェアサイクルについてはコロナ禍前の水準を僅かに上回るようになっている。

(3) 移動手段の利用
  • コロナ禍で進行していた「公共交通機関利用のパーソナルシフト」は既に2021年半ばをピークに鈍化していたが、3月は消費者が一層、外へ出始めたことで、自家用車などのパーソナル手段の利用を増やしてきた状況がやや控えられるようになっている。それに伴って公共交通機関の利用控え傾向は僅かに緩和しているが、利用者層は2021年3月にかけて戻った後は、おおむね変わらず、テレワークによる通勤や移動の減少、高齢者の外出控えなどで公共交通機関の利用が減った状況に一定の定着が見られる。

(4) 食事サービスの利用
  • コロナ禍で増したテイクアウトやデリバリーなどの中食需要の伸びは既に2021年半ばに鈍化していたが、3月は消費者が一層、外へ出始めたことで、中食利用がさらに控えられるようになっている。それに伴って外食控え傾向はやや緩和しているが、依然として過半数はコロナ禍前と比べて利用が減った状況にあり、今回の調査時点では飲み会や会食などの外食が減った(最低限に抑えられた)「コロナ禍の平常」が続いている様子が伺える。ただし、5月の感染症分類の変更で企業の会食ルールや屋外イベントでの飲食サービスの提供方法などが見直されることで、今後、外食については他の行動と比べて比較的大きな揺り戻しが生じることが予想される。

(5) メディアの利用
  • コロナ禍におけるメディア利用の伸びは既に2021年半ばに鈍化していたが、3月は消費者が一層、外へ出始めたことで、メディア利用がさらに控えられるようになっている。ただし、ネット系メディアについてはデジタル化が進展する中で、コロナ禍当初の利用水準をやや上回った状況が続いており、特にネットサーフィンや動画配信サービスの利用者自体はやや増え続けている。

(6) 働き方
  • コロナ禍で進行していた「働き方のデジタルシフト」は、在宅勤務については既に1年ほど前に利用者層での浸透の伸びが鈍化していたが、ビジネスチャットの利用については足元でも僅かに増え続けている。また、会食や出張などを控える傾向はやや緩和しているが、利用者層は2020年12月にかけて戻った後は、おおむね変わらず、テレワークの定着などによって出張や会食が減った(最低限に抑えられた)「コロナ禍の平常」が続いている様子が伺える。
3|新型コロナによる生活不安

(1) 感染に関わる不安
  • 健康や医療面の不安は感染拡大時に強まり、感染状況状況が落ち着くと弱まることを繰り返してきたが、コロナ禍明けが見えてきた中で、これまでと比べて大幅に弱まっている。一方、(感染による)世間からの偏見や中傷についての不安は一貫して弱まり続けており、3月はコロナ禍当初の半分程度になっている。

(2) 高齢家族に関わる不安
  • コロナ禍明けが見えてきた中でも高齢家族に関わる不安は大きくは変わらず、身体機能・認知機能の低下、生活維持の難しさなどへの不安を約4割が感じており、依然として、コロナ禍当初と比べて、やや強まった状況は続いている。また、高齢家族の孤独や孤立リスクや介護サービス利用による感染リスクへの不安(約3割)の強さもおおむね変わらない。

(3) 子どもに関わる不安
  • 2021年9月のデルタ株による感染拡大期をピークに弱まり続けており、足元では子どもからの家庭内感染への不安の低減がやや目立つ。子どもに関わる不安の中では、式典や行事の縮小・中止による経験不足やネット使用時間の増加などが比較的強い(不安層は約4分の1)。

(4) 経済不安
  • 依然として日本経済や世界経済などのマクロ環境については約半数が、自分や家族の収入減少や失業などのミクロ環境については4割前後が不安を感じているが、全体的に弱まっている。また、足元では日本経済に対する不安の低減が目立つ。

(5) 人間関係不安
  • 友人との距離や新たな出会いなど外部とのコミュニケーションが減ることに起因する人間関係の不安は、コロナ禍明けが見えてきた中で足元ではやや弱まっている。また、コロナ禍が経過する中で、既に不安のない割合が不安のある割合を上回った状況が続いている。

(6) 働き方不安(在宅勤務が増えることへの不安)
  • コロナ禍で在宅勤務が増えることによる不安が注目された時期もあったが、既に2020年12月頃をピークに弱まっており、コロナ禍明けが見えてきた中で足元ではさらに弱まっている。在宅勤務ができないことによる不安も同様である。また、コロナ禍が経過する中で、既に不安のない割合が不安のある割合を上回った状況が続いている。
4|今後の見通し

(1) 感染拡大の収束・経済の見通し
  • 半年以内の国内外の感染拡大の収束や1年以内の経済回復については、依然として5割前後が否定的である。ただし、国内では5月に新型コロナウイルス感染症の感染症分類がインフルエンザと同様に変わることになったことによって、足元で大幅に改善している。

(2) 家庭生活の見通し
  • 依然として4割弱が、感染リスクから出産をためらい少子化がさらに進行すると思っているものの、コロナ禍明けが見えてきた中で、3月は調査開始以降で初めて、コロナ禍当初の値を僅かに下回った。なお、結婚しようと考える未婚者が増えることについては、依然として約4割が否定的であり、肯定的な層を大幅に上回る。

(3) 働き方の見通し
  • コロナ禍当初と比べて「エッセンシャルワーカー」の価値の高まりへの関心は薄れているももの、依然として約4割は肯定的である。一方、在宅勤務を取り入れた働き方が定まってきたことで、自由時間の増加やストレスの低減など、在宅勤務に対する期待は当初と比べて弱まり、否定的な層が肯定的な層を上回るようになっている。

<この調査に関するお問い合わせ先>
 pr_corona@nli-research.co.jp
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