2022年01月20日

2020・2021年度特別調査 「第7回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

生活研究部 井上 智紀

生活研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 金 明中

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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※ 調査結果内容の詳細については、全文ダウンロード(PDF)よりご覧ください。

1――調査概要

調査目的:
新型コロナウイルスの感染拡大によって暮らしが激変する中で、消費行動や働き方、生活不安などの状況を把握し、ウィズコロナ/アフターコロナの行動を予測する。

調査時期:
2021年12月22日~28日

調査対象:
全国の20~74歳の男女(株式会社マクロミルのモニター)

調査方法:
インターネット調査

有効回答数:
2,543
 
調査内容:
 1|トピックス
 (1) 新型コロナウイルスのワクチン接種意向
 (2) ワクチンの追加(三回目)接種意向
 (3) ワクチン接種証明等の利用経験
 (4) 感染状況が改善した時期に再開したこと
 (5) 年末年始の予定
 (6) GoToトラベル利用経験と再開時の利用意向

2|新型コロナによる行動変容
 (1) 店舗やネットショッピングの利用
 (2) シェアリングサービスの利用
 (3) 移動手段の利用
 (4) 食事サービスの利用
 (5) メディアの利用
 (6) 働き方

3|新型コロナによる生活不安
 (1) 感染に関わる不安
 (2) 高齢家族に関わる不安
 (3) 子どもに関わる不安
 (4) 経済不安
 (5) 人間関係不安
 (6) 働き方不安(在宅勤務が増えることへの不安)

4|今後の見通し
 (1) 感染拡大の収束・経済の見通し
 (2) 家庭生活の見通し
 (3) 働き方の見通し

5|回答者プロフィール
 
※ 調査結果の詳細については、随時、レポート等で公表予定。

2――調査結果のポイント

1|トピックス

(1) 新型コロナウイルスのワクチン接種意向
  • ワクチン接種が進み、二回目接種完了は20~74歳の84.3%を占める。消極層は約1割で前回調査(9月)と同様であり、固定化している様子がうかがえる。なお、消極層は若いほど多く、20歳代で約15%を占める。
     
  • ワクチン接種に積極的ではない理由の上位には前回までと同様に副反応や安全性への懸念があがるが、選択割合は低下し、ワクチン接種が進んだことで懸念が弱まっている様子がうかがえる。

(2) ワクチンの追加(三回目)接種意向
  • 様子見層と積極層が多く(それぞれ4割台)、消極層は約1割である。高年齢層ほど積極層が多く、若年層ほど様子見層や消極層が多い。
     
  • ワクチンの追加(三回目)接種に積極的ではない理由では、これまでと同様、副反応への懸念や効果を疑問視する声のほか、予約券が届いていないため様子見せざるを得ないとする声も多い。また、追加接種についての懸念もやや目立つ。

(3) ワクチン接種証明書等の利用経験
  • ワクチン接種証明書等の利用者は1割に満たず、ほとんど利用されていない。一方で利用経験者の中では、政府や自治体の提供する証明書アプリと接種記録書がともに多くなっている。
     
  • 具体的な利用用途では国内旅行での利用が最も多く、背景には県境をまたぐ移動などによる不用意な感染拡大を防止することで、旅行者および現地在住者の不安の軽減や払拭につなげる狙いなどがあげられる。

(4) 感染状況が改善した時期に再開したこと
  • 特にないが約4割を占めて多いが、再開した行動では、(ワクチン接種後にやりたいことと対比すると)外食や飲み会・会食など感染リスクが高く、感染拡大下では制約の多い行動、また、国内旅行などの遠距離の移動を伴う行動よりも日常生活に近い行動から再開された傾向がある。

(5) 年末年始の予定
  • 今回の年末年始は約7割が自宅で過ごしている。帰省は約15%だが、昨年より上昇。
     
  • 友人や職場など相手によらず7~8割に忘年会や新年会の予定はない。予定がある場合は10人以下が8~9割で、仕事関係や友人とは少人数で、家族や親戚とは比較的大人数で集まる傾向がある。
     
  • 忘年会や新年会の予定がない理由は、相手によらず以前から習慣ないことや約束がないことが主だが(約3割)、感染の心配も約2割を占めて比較的多い。

(6) GoToトラベル利用経験と再開時の利用意向
  • GoToトラベルや県民割は約6割が利用も予約も考えていない。利用者は約4分の1で、うち4割は複数回利用している。
     
  • GoToトラベルが再開されても約4割には利用意向がない。一方、積極層は約3割で、うち過半数は割引率の高いタイミングや価格帯などでの利用を希望している。
2|新型コロナによる行動変容

(1) 店舗やネットショッピングの利用
  • 店舗の利用が控えられる一方(デパートやショッピングモールの12月の減少層は約半数、スーパーは約2割)、デジタル手段の利用が増えることで(キャッシュレス決済やネットショッピングの増加層は4割前後)買い物手段のデジタルシフトが進んでいるが、足元ではやや落ち着いた様子がうかがえる。なお、デパートなど衣料品や贅沢品を買う店舗とスーパーなど生活必需品を買う店舗では利用控えに温度差がある。

(2) シェアリングサービスの利用
  • フリマアプリの利用が増えているが(12月の増加層は約1割)、その伸びは鈍化している。一方、その他のサービスでは利用控えの傾向が続く上、全体的に利用者層は減少傾向にある。なお、移動手段では自家用車などのパーソナル手段の利用は増えているものの、カーシェアなど他人とモノをシェアするサービスの利用は増えていない。

(3) 移動手段の利用
  • 公共交通機関の利用が控えられる一方(電車やバスの12月の減少層は約4割)、パーソナル手段の利用が増えることで(自家用車の増加層は約4分の1、自転車は約1割)、移動手段のパーソナルシフトが進んでいるが、足元ではやや落ち着いた様子がうかがえる。なお、コロナ禍当初は公共交通機関を全く利用しなかった層で必要に応じて利用再開の動きもあるようだが、外出控えやテレワークの浸透などの影響から公共交通機関の利用減少層は減っていない。

(4) 食事サービスの利用
  • 外食が控えられる一方(12月の減少層は約6割)、中食の利用が増えることで(テイクアウトの増加層は3割、デリバリーは約1割)、外食の中食シフトが進んでいたが、2021年の夏頃から落ち着いた状況が続いている。なお、コロナ禍当初は外食を全くしていなかった層で再開の動きもあるようだが、感染リスクの高さや外出控えなどの影響から外食の利用減少層は減らず、6割台で推移している。

(5) メディアの利用
  • テレビやインターネット、SNSなど、すべてのメディアで引き続き利用増加が目立つ。背景には、暮らしに影響の大きなニュースや政策判断が増え、生活者が情報収集に積極的であること、また、家の中で過ごす時間が増えたことなどがあげられる。なお、増加層の伸びはSNSなどネット系メディアで比較的目立つ。

(6) 働き方
  • 会食や出張などの感染リスクの比較的高い行動のほか、出社などのリアル行動が控えられる一方(会食の12月の減少層は約4割、出張は約3割、出社は約2割)、在宅勤務やビジネスチャットなどのデジタル行動が増えることで(増加層は在宅勤務・ビジネスチャットともに約2割)、働き方のデジタルシフトが進行している。ただし、在宅勤務利用者は就業者全体の約4割にとどまるため、デジタルシフトが進行する層とそうでない層で温度差のある様子がうかがえる。なお、コロナ禍当初は会食や出張を全くしていなかった層で必要に応じて再開の動きもあるようだが、感染リスクの高さやテレワークの浸透などの影響から減少層は減っていない。
3|新型コロナによる生活不安

(1) 感染に関わる不安
  • 調査時点ではデルタ株による感染拡大が収束し、オミクロン株による感染拡大のごく初期段階にあり、国内の感染者数が抑えられた状況にあったため、健康状態や治療、検査などの感染に関わる不安は1年前のピーク時より弱まっている。

(2) 高齢家族に関わる不安
  • 長引くコロナ禍で身体機能低下への不安がやや強まった状況が続いている(12月の不安層は約4割)。また、認知機能低下や生活維持の難しさへの不安も、1年前のピーク時ほどではないが、コロナ禍当初と比べてやや強まっている(不安層は約4割)。

(3) 子どもに関わる不安
  • 調査時点ではデルタ株による感染拡大が収束し、学校生活が(コロナ禍における)平常時の状況に戻っていたため、ゲームやネット時間が長くなるなど家庭生活のリズムが乱れることを除き、経験不足や教育格差など学校生活に関わる不安はやや弱まっている。また、12歳以降のワクチン接種も進んだことで、子どもからの家庭内感染への不安も弱まっている。

(4) 経済不安
  • 日本経済や世界経済などマクロ環境については半数以上、自分や家族の収入減少や失業などのミクロ環境については4割前後が不安を感じているものの、全体的に2020年6月より不安は弱まっている。

(5) 人間関係不安
  • 感染不安や経済不安より弱いものの、友人との距離ができることや新たな出会いが減ることへの不安は強まった状況が続いている(不安層は3割前後)。

(6) 働き方不安(在宅勤務が増えることへの不安)
  • 在宅勤務が増えることによる不安は全体的に1年前のピーク時より弱まり、非不安層が不安層を上回る。背景には調査時点では感染者数が抑えられた状況が続いていた影響のほか、コロナ禍の約2年を経て、ウィズコロナにおける働き方がある程度定まってきたことがあげられる。
4|今後の見通し

(1) 感染拡大の収束・経済の見通し
  • 半年以内の感染拡大の収束や1年以内の経済・雇用回復の見通しは、引き続き否定的な見方が多く、6割前後が否定的。世界・国内ともに感染拡大の収束については悲観的であることから、世界経済や日本経済、雇用の見通しについては、回復への期待感が薄れている。

(2) 家庭生活の見通し
  • 産科等への通院や乳幼児の感染リスクから出産をためらい、少子化がさらに進行することについて、約4割がそう思っており、2020年12月以降の高い水準を維持している。

(3) 働き方の見通し
  • 在宅勤務による成果主義への移行や自由時間の増加など、いずれも関心の薄まりや在宅勤務慣れなどの影響か、肯定的な見方がやや弱まっている。

<この調査に関するお問い合わせ先>
 pr_corona@nli-research.co.jp
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生活研究部

久我 尚子
(くが なおこ)

生活研究部

井上 智紀

生活研究部

金 明中
(きむ みょんじゅん)

保険研究部

村松 容子
(むらまつ ようこ)

生活研究部

坊 美生子
(ぼう みおこ)

(2022年01月20日「その他レポート」)

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【2020・2021年度特別調査 「第7回 新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」 調査結果概要】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

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