2021年09月24日

コロナ禍で増えるフリマアプリの利用-牽引役は学生など若者と子育て世帯、シニアでもじわり増加

生活研究部 上席研究員 久我 尚子

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■要旨
 
  • コロナ禍による行動変容はシェアリングエコノミーにも影響を与えている。民泊などのスペースのシェアの利用は減る一方、フリマアプリなどのモノのシェアはネットショッピングの代替としての利用などで増えている。2020年度の市場規模はモノのシェアが9,577億円(2018年度+4,376億円)へと大きく伸びたことで、シェアリングエコノミー全体の市場規模も拡大している(2兆1,004億円、+2,130億円)。
     
  • ニッセイ基礎研究所「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」によると、フリマプリの利用率は男女とも若いほど高く、コロナ禍において全体的に利用が増えているが、男性では30・40歳代、女性では20~40歳代を中心に利用増が目立つ。ライフステージ別に見ると、子どもの年齢が比較的低い子育て世帯を中心に利用率が高く、コロナ禍における利用増も目立つ。
     
  • 職業別には20・30歳代の多い正規雇用者(一般)や学生で利用率が高く、コロナ禍においても利用増が目立つ。世帯年収別には30・40歳代の多い世帯年収600万円前後や、正規雇用者(一般)の多い世帯年収800万円前後などを中心に利用増が目立つ。コロナ禍における自分や家族の収入減少に対する不安度別には、40・50歳代の収入減少への不安が強い層と比べて、20・30歳代の不安が弱い層で利用率は高まっている。
     
  • コロナ禍におけるフリマアプリの利用は雇用情勢の悪化による収入の補填というよりも、従来からフリマアプリを積極的に利用している若い世代を中心に伸びており、ITリテラシーや消費に対する価値観の違いの影響が大きいようだ。一方で、シニアも含めて幅広い年齢層で利用は拡大傾向にあり、フリマアプリは消費者がモノを得る手段の1つとして、今後、一層の成長が期待される。


■目次

1――コロナ禍でプラス・マイナス両面の影響を受けるシェア経済
 ~フリマアプリなどの利用増で市場拡大
2――コロナ禍におけるフリマアプリ利用状況
 ~若者、子育て世帯などで利用率高く、コロナ禍で利用増
  1|全体の状況
  ~コロナ禍でフリマアプリ利用者層も、利用を増やした層もじわり拡大
  2|性年代別
  ~男女とも若いほど利用率が高く、30歳代を中心にコロナ禍で利用増、シニアでもじわり増
  3|ライフステージ別
  ~子育て世帯で利用率高く、コロナ禍で利用増
  4|職業別
  ~利用率の高い20・30歳代の多い正規雇用者(一般)、学生で利用率高く、コロナ禍で利用増
  5|世帯年収別
  ~現役世帯の多い400万円以上で利用率上昇、コロナ禍で利用増
  6|収入減少への不安別
  ~20・30歳代の多い非不安層で不安層より利用率が高い傾向
3――フリマアプリの利用はコロナ禍での収入減少より世代によるリテラシーや
 消費価値観の違いが影響
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生活研究部   上席研究員

久我 尚子 (くが なおこ)

研究・専門分野
消費者行動、心理統計、マーケティング

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