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コラム
2025年09月25日

数字の「49」に関わる各種の話題-49という数字に皆さんはどんなイメージを有しているのだろう-

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はじめに

数字の「49」と聞くと、その「しじゅうく」や「しく」といった読み方等から、何となくマイナスのイメージを有している人が多いように思われる。一方で、「四十九日法要」を思い浮かべて、重要な節目を迎える厳かな数字だとの印象を有している人もいるかもしれない。さらには、7の2乗数値でしょ、と考える人もいるだろう。でもそれ以外には、と聞かれるとはたと困ってしまうかもしれない。

今回は、この数字の「49」について、それが現れてくる例やその理由等について調べてみた。

四十九日法要

「四十九日法要」は、故人が亡くなってから四十九日目に行われる法要である。故人に近い親族が集まり、法要を行って、お墓に納骨を行うのが主な行事の流れとなっている。供養に関する行事が終わると、お斎(おとき)と呼ばれる食事会が開催される。四十九日は、「中陰」が明ける(忌明け)タイミングで行われる法要であることから、「満中陰法要」、「忌明け法要」とも呼ばれる。

四十九日法要は、葬儀後に行う儀式の中で最も重要とされる法要となっている。「四十九日」は、故人の命日を1日目とし、そこから数えて四十九日目までの期間、または四十九日当日を指している。故人が亡くなってから四十九日までの期間が「忌中」や「中陰」と呼ばれ、この期間中、遺族は故人の死を悼み、身を慎んで過ごす。「四十九日法要」を行うことをもって「忌明け」とし、遺族はこのタイミングを節目として喪に服していた期間を終える。

仏教では、亡くなった方はあの世で7日ごとに生前の行いを基準として審判を受け、49日目の最終審判で死後の行き先(極楽浄土に行けるかどうか)が決まるとされている。そのため、審判のタイミングごと(7日ごと)に故人が無事に極楽浄土に行けることを祈り、四十九日が明けるまでに計7回の法要を営むことになっている。これをそれぞれ、「初七日法要」、「二七日法要」、「三七日法要」、「四七日法要」、「五七日法要」、「六七日法要」、「七七日法要」と呼び、これらを「追善供養」と呼んでいる。ただし、近年は初七日の法要は葬儀と一緒に前倒しで行い、その後の法要は省略等して、最も重要な最終審判が行われる四十九日の法要のみを実施する形が一般的になっている。

「49」はバーコードの世界での日本の国番号

「バーコード(barcode)」は、縞模様状の線の太さによって数値や文字を表す識別子の一種である。

バーコードの規格として、日本では「JANコード」(Japanese Article Number)とも称される「EANコード」(European Article Number)が使用されているが、その先頭の2桁は国コードとなっている。

この国コードについて、日本は「49」となっている(なお、1995年5月には、「45」も日本の国コードとして追加されている)。

日本の自動車のナンバープレートにおいて「49」は欠番

日本の自動車のナンバープレートでは、下2桁の「49」は、「49」が「始終苦」、「死苦」、「しく(轢く)」を連想させて、縁起が悪いとされることから、(自動的には)付番されない。また、下2桁の「42」についても「死に」となることから、同様な状況になっている(ただし、これらが自動的な付番から排除される理由について説明している外部に公開された公式文書はないようだ)。

なお、1999年から導入された希望番号制に基づいて車の所有者からの申出があった場合には、これらの番号も付けることができる。例えば、「4649(よろしく)」といったような番号を希望する人もいるようだ。

一方で、駐留軍の自動車の場合、下2桁が「42」、「49」のものは使用されるが、逆に下2桁が「13」のものは、キリスト教で不吉な数字として忌み嫌われていることから、使用されないようだ。

米国では「49」はラッキーナンバーなのか

米国においては、「49」は「ゴールドラッシュ」(1849年)に通じるとして、幸運とされているようだ。これに関連して、1848年のカリフォルニアでの金発見に伴い、翌1849年に金を求めてカリフォルニアに殺到した人々のことを「フォーティナイナーズ(Forty-niners,49ers)」と呼んでいる。

また、米国のNFL(ナショナルフットボールリーグ)のサンフランシスコのチーム名は、「サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)」となっているが、このチーム名は、1849年の「ゴールドラッシュ」に由来している。ここでの「49」は、幸運な数字というよりは、カリフォルニアの歴史や希望、冒険心に関連している象徴的な数字という意味合いが強いようだ。

また、スポーツ選手の背番号として「49」を望む人もいるようだが、「49」という数字が、米国全体で普遍的に幸運な数字と認識されているというわけでもないようだ。

北緯49度線

「北緯49度線」は、地球の赤道面と北の天頂方向との角度が49度となる緯線、である。

北米においては、太平洋岸のジョージア海峡からウッズ湖まで(太平洋岸のブリティッシュコロンビア州とワシントン州の境界から、オンタリオ州とミネソタ州の境界まで)の北緯49度線がカナダと米国の国境となっている。この国境は、イギリスとアメリカの間で結ばれた1818年条約と1846年のオレゴン条約によって確定している。この間の西経は95度25分から122度45分の範囲にわたっており、直線距離にして約3,490km(約2,170マイル)となっている。

この国境は世界で最も長い非武装の国境の一部として知られている。こうした国境においては、車両や歩行者が国境を越える主要な地点には検問所があり入国審査が行われており、都市部や国境通過点の近くでは、セキュリティを強化するためにフェンスや監視カメラなどの設備が設けられている場所もある。ただし、国境の多くが自然地形を利用しており、広大な範囲にわたってフェンスや障壁が設置されていない部分が多く存在している。こうした陸地の国境線には、高度な技術を用いた監視システムやセンサーが配置されたり、ドローン等が使用されたりしており、これにより、不正な越境や密輸を防ぐことができるようになっているようだ。

ただし、不法移民を抑止するためにフェンスが続き、米国の官憲による警戒がなされている米国とメキシコの国境とは事情が異なっている。そもそも米国とカナダの間には生活水準や所得水準に差がないことから、コストをかけて隔離し、越境を監視する必要がない状況にあるようだ。

なお、パリのシャルル・ド・ゴール国際空港は北緯49度線上にある。

因みに、日本の最北端は、(現在はロシアに実効支配されているが)北緯45度33分・東経148度45分に位置する北海道の択捉島となっているので、北緯49度線は日本の領土を通過していない。

また、南緯49度線は、その大部分が公海上を走っており、陸地となるのは、チリのパタゴニア群島及びチリ本土等に限られている。

「49」はラッキーナンバー「7」の2乗

数字の「7」は、以前の研究員の眼「数字の「7」に関わる各種の話題-「7」は何で人気が高い特別な数字として考えられているのか?-」(2020.6.1)で紹介したように、日本でも「ラッキー7」として好まれており、西洋のキリスト教においては聖なる数であると考えられている。

数字の「49」は、その「7」の2乗なのだから、より一層重要な数と考えられていても不思議ではないと思われる。実際に西洋においては、そのような考え方から、数字の「49」はむしろ好まれている数字だと言えなくもないようだ。

その他の数字の「49」が現れてくる例

・第二次世界大戦中に最初の核兵器を製造するために行われた研究開発プログラムである「マンハッタン計画」において、プルトニウムは単に「49」とも呼ばれていた。「4」は94(プルトニウムの原子番号)の下1桁、「9」は核爆弾に使われる兵器級核分裂性同位体Pu-239の下一桁だった。

・「49」はパドヴァン数列に現われてくる。「パドヴァン数列」1は各項が2つ前と3つ前の項の和で与えられる数列で、以下のようになっている。

1, 1, 1, 2, 2, 3, 4, 5, 7, 9, 12, 16, 21, 28, 37, 49, 65, 86, 114,151,200,265,351,465,・・・

・グランドピアノやアップライトといったピアノの鍵盤の数は88鍵となっているが、電子ピアノやキーボードについては、88鍵だけではなく、76、61、49といったものも販売されている。49鍵のピアノは、子供の練習用や弾き語りのために使用されている。
 
1 「フィボナッチ数列」(直前の2項の和で生成される)に類似した概念となっている。「フィボナッチ数列」については、以前の研究員の眼で紹介しているが、「パドヴァン数列」についても別途の機会に詳しく紹介することとしたい。

分数「1/49」

分数1/49 は、循環節2の長さが42の循環小数になるが、その循環節においては、2の累乗数が順に出現する。
分数「1/49」
これは、1/49 が、初項0.02、公比0.02の級数になっているためである。
初項0.02、公比0.02の級数
 
2 循環節については、研究員の眼「小数について(その2)-循環小数を巡る話題-」(2023.1.30)を参照していただきたい。

数学の数字としての「49」

・「4」は平方数で、「9」も平方数、「49」も平方数という、平方数で構成された数字になっているが、このような数は「49」だけである。

・平方数で割り切れる数を「平方的数」と呼んでいるが、「48」は平方数「16」で割り切れる平方的数、「50」は平方数「25」で割り切れる平方的数であることから、「49」は平方的数で挟まれた数となっている。「49」はそのような数の中で、最小の数となっている。

最後に

今回は数字の「49」について、それが現れてくる例やその理由等について、報告してきた。

「49」という数字は、日本においてはあまり好まれているとはいえない数字のようだ。それは先に説明したように「49」の読み方に関係しており、数字の「4」が「死」を、数字の「9」が「苦」を連想させることによっているものと思われる。一方で、「49」を「し(4)あわせがく(9)る」とか「良く(49)なる」と呼んで、縁起が良いとする考え方もあるようだ。結局は、これまで述べてきた数字と同様で、数字に対する感覚は、あくまでも人々の印象等にかなり依存したものとなっている。

先に述べたように「49」はラッキーナンバー「7」の2乗であり、「四十九日法要」の「四十九」もまさに7日ごとの法要を7回繰り返すことに由来している。この「四十九日法要」が済めば、故人の死後の行き先が決まり、遺族の気持ちの整理が行われて前向きに生きるための節目となるものであることから、(人それぞれの感じ方はあるものの)決してマイナスに捉えられるものでもなく、むしろプラスに捉えるべきものと考えられることになる。米国の一部で見られるように「49」が幸運な数字と考えられているケースもある。

その意味でこのコラムが、「49」という数字が再評価される機会になればと思っている。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年09月25日「研究員の眼」)

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