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- フィボナッチ数列について(その2)-フィボナッチ数列はどこで使用され、どんな場面に現れてくるのか(自然界)-
はじめに
フィボナッチ数列は、特に自然界の現象に数多く出現する。
その1つの例として、研究員の眼「黄金比φについて(その2)-黄金比はどこで使用され、どんな場面で現れてくるのか-」(2020.11.20)で、ひまわりの花における黄金螺旋の数は、フィボナッチ数列になっていることを紹介した。
今回の研究員の眼では、自然界に見られるフィボナッチ数列について報告する。
葉序(植物の葉の付き方)
(1) 1つの節(茎に葉がついている部分)に葉が1枚ついている「互生葉序」
(2) 1つの節に2枚の葉をつける「対生葉序」
(3) 1つの節に3枚以上の葉を生じる「輪生葉序」
このうち、「互生葉序」は、多くの場合、茎の周りに螺旋状に葉をつけることから「螺旋葉序」とも呼ばれる。この「螺旋葉序」の場合、続いて発生した二つの葉を茎の軸の方向(真上又は真下)から見たときの二葉間の角度を「開度(かいど)」というが、この開度の違いから、いくつかの葉序のタイプが認められる。例えば、以下のようなものが挙げられる。
1 「黄金角」は、360度を黄金比で分割した時の小さい部分の角度であり、360度÷φ2=137.5度、360度÷φ=222.5度となる。
螺旋の数―ひまわりの花、パイナップル、松かさ
ひまわりの花
同様に、松かさ(松ぼっくり)(pinecone)のかさの模様においても、右巻きと左巻きのらせんがあり、その数は。5本、8本。13本といったフィボナッチ数となっている。なお、英語の「pineapple」は、本来は「松の果実」ということで、松かさのことであったが、後に松かさに似た別の果物である現在のパイナップルを指すようになっている。
サボテンの刺座
サボテンは刺座(アレオーレ)と呼ばれる特殊な短枝を持つ。あの刺の付け根にある綿毛のようなもののことをいう。短枝自体は極端に短縮し脇芽と殆ど同化した枝となっている。
この刺座は螺旋構造を成し、その数は8本、13本、21本というようなフィボナッチ数となっている。
花びらの数
ハチやアリ等の祖先の数
例えば、ハチやアリなど、雄に父親がない家系を辿って、その祖先の数を数えると、フィボナッチ数列となる。具体的には、親(父母)2匹に対して、祖父母3匹、曽祖父母5匹、高祖父母8匹…となっていく。n世代前ならFn=Fn-1+Fn-2(n≧3)匹となる。
人間の場合、当然のことながら、一人の人間に対して2人の両親が存在することから、各世代の祖先の数は2のべき乗になっており、n世代前であれば2nとなる。
ところが、例えばミツバチの場合、「半倍数性(Haplodiploidy)」と呼ばれる遺伝形式を有していて、母親が産卵時に交尾をしていたら、その子供は必ず雌になるのに対して、母親が産卵時に交尾をしていなくて生まれてくる子供は必ず雄になる(即ち、受精卵からの子供は雌で、未受精卵からの子供は雄になる)ことにより、雄は父親がいないことになる。
n世代前の祖先の数をFnとする場合、その1つ前の(n+1)世代の祖先の数は、雌にだけ父親がいることから、
Fn+1=Fn(雄)+2Fn(雌)= Fn(雄)+Fn(雌)+Fn(雌)=Fn+Fn(雌)
ここで、n世代の雌の数Fn(雌)は、(n-1)世代が必ず母親を有することから、Fn-1に等しくなる。よって、
Fn+1=Fn+Fn-1
となって、フィボナッチの漸化式が満たされることになる。
このことは、また各世代の雌雄比(=雌/雄)が黄金比φ(≒1.618)に収束していくことを示している。ただし、これはあくまでも数学的モデルによる各世代における雌雄比に関する結論であって、実際には働きバチは殆どが雌で、実際の雌雄比はもっと高い(雌が圧倒的に多い)とも言われているようである。
その他の例
それは、今回の研究員の眼では紹介していないが、顕微鏡でしかみることができないウイルスの世界から、巨大な銀河の世界にまで至っているようだ。
最後に
なぜ、このようにフィボナッチ数列が現れてくるのだろうか。
これについては、研究員の眼「黄金比φについて(その1)」(2020.11.10)で説明したように、黄金比φの連分数表示が
自然界の中にみられる黄金比や黄金角やフィボナッチ数列が、自然に備わっていたものなのか、あるいは長い進化の歴史を経て現在の形になっているのかはよくわからないが、いずれにしても、最も優位で適切なものであるからこそ、現在まで生き残ってきたということになるのだろう。
今後、どなたかとヒマワリの花を見たり、どなたかにバラの花を贈るような機会があったら、黄金比やフィボナッチ数列のことを思い出して、講釈をされてみるのもよいかもしれない。最も相手がどのような反応をするかはわからないので、その点はお気を付けいただきたい。
中村 亮一
研究・専門分野
(2021年02月26日「研究員の眼」)
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