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「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2024年】~都心は価格上昇が加速。一方、下期にかけて南西部は伸び率鈍化、北部と東部は下落に転じる。

金融研究部 主任研究員 吉田 資
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人手不足等に伴う建築コスト上昇や開発用地の不足を背景に、マンションデベロッパーは慎重な供給姿勢を崩しておらず、新築マンションの新規供給は低水準で推移していると考えられる。
8 今年1月にニッセイ基礎研究所が国内の不動産実務家等に実施した「不動産市況アンケート」において、「今後、価格上昇や市場拡大が期待できる投資セクター(証券化商品含む)」について質問したところ、「ホテル」(73%)との回答が最も多かった。
吉田資『良好な景況感が継続。先行きも楽観的な見方が強まる。~期待はホテルと産業関係施設(データセンターなど)が上位。リスク要因として、国内金利と米国政治・外交への警戒高まる~第21回不動産市況アンケート結果』 (ニッセイ基礎研究所、不動産投資レポート 2025年2月4日)
9 日本経済新聞 ビジネスTODAY「首都圏マンション発売5割減 用地争奪、ホテルに敗れる」(2024年9月12日)
(1) 「エリア別価格指数」(年次)の算出結果
図表-9に、東京23区の「エリア別価格指数(年次)」の算出結果を示した。同指数は、東京23区を、居住世帯等の特徴が異なる4つのエリア(都心10・南西部11・北部12・東部13)に分類したサブインデックスである。
2024年の価格指数(2005年=100)は、都心が「310.8」(前期比+29%)、南西部が「218.6」(同11%)、東部が「221.4」(同+15%)、北部が「208.8」(同+9%)となり、都心が最大の上昇率を記録した。
リクルート「2024年首都圏新築マンション契約者動向調査」によれば、「住まいの購入理由」として、「子どもや家族のため、家を持ちたいと思ったから(36.1%)」(前年比±0ppt)との回答が最も多く、次いで、「資産を持ちたい、資産として有利だと思ったから(34.7%)」(同±2.7ppt)との回答が多かった。新築マンション購入時に、資産性を重視する傾向が強まっており、都心のマンション価格を押し上げた要因の1つと考えられる。
また、都心のマンションは、外国人の購入意欲も高い。日本不動産研究所「国際不動産価格賃料指数」(2024年10月時点)によれば、東京(港区元麻布)のハイエンドクラスのマンション価格を「100.0」とした場合、香港は「258.7」、ロンドンは「206.3」、ニューヨークは「140.8」、シンガポール「138.6」となっている。東京の住宅価格は、世界の主要都市と比べると円安の影響などもあり、低い水準にある。こうした状況のなか、港区の一部地域(青山・麻布・赤坂)は資産性に加えて、大使館や主要外資系企業の通勤アクセスが良好であるため、特に高い人気を集めている14。
10 都心:「千代田区」・「中央区」・「港区」・「渋谷区」・「新宿区」・「文京区」
11 南西部:「品川区」・「目黒区」・「大田区」・「世田谷区」・「杉並区」・「中野区」
12 北部:「北区」・「板橋区」・「練馬区」・「豊島区」
13 東部:「江戸川区」・「江東区」・「台東区」・「墨田区」・「荒川区」・「足立区」・「葛飾区」
14 日本経済新聞電子版「気がつけば「2億ション」 東京都心100平米未満も」(2024年12月2日)
15 マンション価格(70m2換算)を平均年収で除し、新築価格が年収の何倍に相当するかを算出したもの。
(2025年04月17日「不動産投資レポート」)
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03-3512-1861
- 【職歴】
2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
2018年 ニッセイ基礎研究所
【加入団体等】
一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)
吉田 資のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
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