2024年05月09日

「新築マンション価格指数」でみる東京23区のマンション市場動向【2023年】(2)~コロナ禍以降、「駅近」志向が高まる一方、「住居の広さ」と「中心部までのアクセス」への評価は揺り戻しの動きも

金融研究部 主任研究員 吉田 資

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■要旨
 
  • 本稿では、2回に分けて、東京23区の新築マンション市場の動向を概観する。第2回目の今回のレポートでは、新築マンション価格の決定構造がコロナ禍を経て、どのように変化したかについて確認したのち、新築マンション市場の今後の方向性について考察する。
     
  • 新築マンション価格の決定構造を分析した結果、コロナ禍以降、「駅近」志向が強まっていること、テレワークの普及等の影響を受けて「広さ」のプライオリティ低下と「中心部へのアクセス」の評価の高まりに揺り戻しの動きがみられることが、確認できた。
     
  • 新築マンション市場の今後の方向性について、供給面に関しては、着工戸数の減少等を勘案すると、東京23区の新規供給戸数が大幅に増加する可能性は低いと考えられる。一方、需要面に関して、金融政策正常化に伴う住宅ローン金利への影響が懸念されている。また、新築マンション需要を支えてきた30代および40代の人口について、30代人口が概ね横這いで推移する一方、これまで大幅に増加していた40代人口は減少に転じる見通しである。今後の金利動向や人口動態次第では、需給環境が悪化に転じる可能性があり、注意する必要がある。
     
  • コロナ禍を契機に、在宅勤務を取り入れた働き方が定着したことで、新築マンションに求める機能や評価目線に変化が生じている。マンション開発事業者は、市場環境を注視しながら、消費者ニーズの変化に即した事業方針の策定が求められることになりそうだ。


■目次

1.はじめに
2.新築マンション価格の決定構造の変遷
  2-1.「最寄り駅までのアクセス時間」に対する評価
      ~「駅近」志向がさらに高まる一方、「バス便」に対する評価見直しも
  2-2.「住居の広さ」に対する評価
      ~「広さ」のプライオリティ低下に揺り戻しの動き
  2-3.「都市の中心部までのアクセス時間」に対する評価
      ~アクセス時間の評価向上に揺り戻しの動き
3.新築マンション市場の今後の方向性
  3-1.住宅ローン金利動向
  3-2.年代別にみた人口見通し
  3-3.分譲マンション着工の状況
4.おわりに
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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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レポート紹介

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