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2025年05月30日

「名古屋オフィス市場」の現況と見通し(2025年)

金融研究部 主任研究員 吉田 資

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■要旨
 
  • 名古屋のオフィス市場は、大規模ビルの竣工等に伴い高水準の新規供給が続くなか、立地改善や設備のグレードアップを図るオフィス需要も旺盛であり、空室率は低下し、成約賃料は上昇した。本稿では、名古屋のオフィス市況を概観した上で、2029年までの賃料予測を行った。
     
  • 需要面に関して、愛知県の就業者数は、情報通信業等を中心に増加し、人手不足感も強いことから、名古屋市の「オフィスワーカー数」が大幅に減少する懸念は小さいと考えられる。一方、トランプ政権の追加関税等に伴い、自動車産業の景況感が後退し、東海地方の雇用環境等が急速に悪化する懸念もあり、今後の動向を注視したい。
     
  • また、名古屋でも、フリーアドレスを導入し、会議室やリモート会議用ブースを充実させる等、テレワークを取り入れたフレキシブルな働き方に即したオフィスの利用形態を採用する企業が増えている。新たな路面公共交通システム等の導入が予定されており、都市機能の強化・向上が図られることで、オフィス需要にもプラスの効果が期待される。以上の状況を踏まえると、名古屋のオフィス需要は概ね底堅く推移する見通しである。
     
  • 供給面では、2026年に栄エリア周辺等で大規模ビルが竣工するが、2027年以降、新規供給は落ち着く見通しである。
     
  • 以上を踏まえると、名古屋市の需給バランスが大きく崩れる可能性は低く、オフィス成約賃料は安定した需給環境のもと、底堅く推移することが見込まれる。2024年の賃料を100とした場合、2025年は102、2026年は101、2029年は105となる見通しである。


■目次

1.はじめに
2.名古屋オフィス市場の現況
  2-1.空室率および賃料の動向
  2-2.オフィス市場の需給動向
  2-3.空室率と募集賃料のエリア別動向
3.名古屋オフィス市場の見通し
  3-1.新規需要の見通し
  3-2.新規供給見通し
  3-3.賃料見通し

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年05月30日「不動産投資レポート」)

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金融研究部   主任研究員

吉田 資 (よしだ たすく)

研究・専門分野
不動産市場、投資分析

経歴
  • 【職歴】
     2007年 住信基礎研究所(現 三井住友トラスト基礎研究所)
     2018年 ニッセイ基礎研究所

    【加入団体等】
     一般社団法人不動産証券化協会資格教育小委員会分科会委員(2020年度~)

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