コラム
2024年01月26日

数字の「10」に関わる各種の話題-十進法を採用している現代社会では、「10」という数字は特別な意味を有している-

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数字の「10」、「十」が意味するもの

数字の「10」は、慣用表現では「多く」、「全部」の比喩として使われることもある。

・「十人十色」(人には、それぞれ違った考えや好み等があって、一律ではない)
・「十把一絡げ」(いろいろなものをひとまとめにして扱う)
・「一を聞いて十を知る」(物事の一端を聞いただけで全体を理解する)

また、10 は「終わり」、「限り」を意味することもある。

・「一から十まで」(最初から最後まで)

いろいろな分野において、10点を最高点とする評価が行われており、「10」は、最高のものを意味することがある。例えば、体操における各競技での満点は10点であるし、10段階評価の通信簿では10点が最高点となっている。各種の評価を行う調査でも、5段階又は10段階評価が幅広く行われている。

これまでに述べたこととも重複するが、「十」は、「完全」、「完璧」という意味を有することがある。

・「十全」(少しも欠けたところがない)
・「十全十美」(完全で全く欠点がない)

数学における数字としての「10」

十進法以外で数字の「10」が、数学の場面で現れてくる例としては、以下のものが挙げられる。

・4番目の四角数(10=1+2+3+4)
・3番目の三角錐数(10=1+3+6)

10月10日は多くの記念日に指定されている

10月10日は、記念日に設定される日として、11月11日に次いで、8月8日とほぼ並んで、人気のある日となっている。いくつか挙げると、以下の通りとなっている。

・「体育の日」:1999年以前は、1964年の東京オリンピックの開会式の日に因んで、「体育の日」であったが、これは2000年以降10月第2月曜日となり、さらに2020年以降は「スポーツの日」に改名されている。

・「目の愛護デー」:これは「10」と「10」をそれぞれ横にすると、眉と目の形に見えることによる。

・「銭湯の日」:1010を「せんとお」と呼ぶ語呂合わせによる。

・「ふとんの日」:10が2つで「ふとん」と呼ぶ語呂合わせによる。

・「いのちに感謝する日」あるいは「赤ちゃんの日」:いずれも、人間の妊娠期間が10カ月と10日と言われてきたことに由来している。

10個1組のもの

10個1組のものとしては、例えば以下のものが挙げられる。

・十干:甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸
十二支と併せて、干支(かんし、えと)となる。

・十界:地獄界・餓鬼界・畜生界・修羅界・人間界・天上界・声聞界・縁覚界・菩薩界・佛界
天台宗の教義において、人間の心の全ての境地を十種に分類したものである。

・十家:陰陽家・儒家・墨家・法家・名家・道家・縦横家・雑家・農家・小説家
現代においては、一般的に、十家に兵家を加えた合計十一家を「諸子百家」というが、諸子百家は、中国の春秋戦国時代に現れた学者・学派の総称で、「諸子」は孔子・老子・荘子・墨子・孟子・荀子等の人物を、「百家」は儒家・墨家・法家・名家・道家等の学派を指している。

・十方:東・西・北・南・天・地・北東・南東・北西・南西
四方に天・地を加えた六方に四隅を加えた(あるいは八方に天・地を加えた)方位の総称となる。

その他に10個あるもの

その他に10個あるものとしては、例えば以下のものが挙げられる。

イカ、エビ、カニ等の足の数
足ではなくて、腕という言い方がされるのかもしれない。

図書の分類法(十進分類法)
分類記号に「0」から「9」のアラビア数字のみを用い、大まかな分類から細かい分類へと順次10ずつの項目に細分していく分類法となっている。

五十音の行・子音(アカサタナハマヤラワ)
「ン」があるから、11行だろうと言われる人もいるかもしれないが、概ね、「ア行」の5つの母音に対して、それぞれ9つの子音のパターンがあって、全部で50音ということになる(ただし、現在においては、発音の変化より,実際には(「ン」を含めて)46音になっている)。

最後に

今回は数字の「10」について、それが現れてくる例やその理由等について、報告してきた。

冒頭で、十進法を採用している現代社会において、数字の「10」に接する機会は極めて多いと思われる、と述べた。実際にその通りなのだが、実はそれらの多くは、まさに十進法を採用していることに由来しているものである。今回調査してみて、実は十進法ということから離れてしまうと、数字の「10」が現れてくる具体的な例について、思ったほど多くは挙げることができなかった印象を受けている。

「10」という数字は、一般社会においてあまりにも幅広く無意識に使用されている、特別な位置付けを与えられた数字になっている。このため、逆に「10」という数字に対して十進法とは必ずしも結びつかない形で特別な意味を与えることが難しく、またその必要性やメリットがあまりないということなのかもしれない。人間の数字に対する印象や捉え方というものは、そんなものなのかもしれない。
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中村 亮一

研究・専門分野

(2024年01月26日「研究員の眼」)

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