2023年03月20日

東南アジア経済の見通し~輸出低迷や金融引き締めにより景気減速へ

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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■要旨
 
  1. 東南アジア5カ国の2022年10-12月期の成長率は、前年がコロナ禍の反動で高成長だった7-9月期から低下したものの、概ね堅調な伸びが続いている。10-12月期は海外経済の減速により財貨輸出が鈍化したが、外国人観光客の増加により観光関連産業の好調が続くなか、雇用環境の回復やペントアップ需要の顕在化により内需が堅調に推移した。
     
  2. 消費者物価上昇率は高水準にあるが、ピークアウトしつつある。当面はエネルギー価格の低下や金融引締め策により低下傾向を辿るが、高めの水準で推移しよう。年後半はペントアップ需要の一服や米国の利上げ打ち止めにより落ち着きを取り戻すと予想する。
     
  3. 金融政策は2023年前半までに金融引締めを終了するだろう。今年景気回復が見込まれるタイと物価高が続くフィリピンは短期的には金融引締めを続けるだろうが、今後はインフレ率が低下傾向を辿ることや2023年前半には米国の利上げ打ち止めにより自国通貨の減価圧力が和らぐとみられるため、各国中銀は金融引締めを終了すると予想する。
     
  4. 経済の先行きは、当面は世界経済の悪化による財貨輸出の低迷や金融引き締めの影響により成長ペースが鈍化するだろうが、観光関連産業の回復や公共投資の拡大により内需を中心とした底堅い成長が続くと予想する。

 
東南アジア5 カ国の成長率とインフレ率の見通し
■目次

1.東南アジア経済の概況と見通し
  ・経済概況:経済活動の正常化により概ね順調に回復
  ・物価:エネルギー価格の低下によりインフレ圧力後退、年後半に落ち着く見通し
  ・金融政策:2023年前半までに利上げ打ち止め
  ・経済見通し:輸出低迷により成長鈍化も、観光関連産業の回復により底堅い成長が続く
2.各国経済の見通し
  2-1.マレーシア
  2-2.タイ
  2-3.インドネシア
  2-4.フィリピン
  2-5.ベトナム
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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