2022年11月08日

米国個人年金市場の動向(2022年11月)-「プロテクション」重視で成長を目指す米国個人年金販売-

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また表3は、主要な個人年金各商品(生存給付特約を付さない状態)の契約者への保護の与え方に関する具体的なイメージである。

これは、リムラが、40歳から80歳までの10万ドルから190万ドルの投資可能資産を持つ投資家に対して、10万ドルを投入するとしたらどの投資オプションを選択するかを聞くという形で、各個人年金商品への加入ニーズの傾向を調査したときに、調査対象者に提示されたデータである。ここでの各数値は、2021年後半に販売された実際の商品から導き出されたイメージとのことであり、元本に対する保証のあり方(損失に対する保証のあり方)、与えられる収益のパターン等がイメージしやすいので掲示しておく。
表3 個人年金の商品説明事例
リムラは、こうした分類に沿って、各年の個人年金販売実績を見直しており、今後は何らかの最低保証やダウンサイドリスクに対する保護(プロテクション)を付した商品や商品+生存給付特約の組み合わせが個人年金販売の推進力となるだろうと結論している。

グラフ4は、冒頭に紹介したリムラのニュースリリースの中に掲載されていた「今後数年間は、プロテクション(保証・保護)が個人年金販売の推進力となると予測される」と題するグラフを転載したものである。ここでもリムラのこうした見方を確認することができる。

なお、グラフ中の資産形成重視型の販売とは、「元本の市場実績に応じた成長」を加入目的として重視する販売、支払いの保証に焦点を当てた販売とは、「今すぐの保証された生涯にわたる支払い」、「後ほどの保証された生涯にわたる支払い」を重視する商品の販売、保証に焦点を当てた販売とは、「元本の保証と成長」を重視する商品の販売と捉えることができるだろう。
グラフ4 今後数年間は、プロテクション(保証・保護)が個人年金販売の推進力となると予測される

さいごに

さいごに

以上、ダイナミックに商品構成を変えながら成長を続ける最近の米国生保業界の個人年金販売の動向を見てきた。

加入目的に焦点を当てた商品販売動向の見方等、米国らしい考え方は、わが国でも参考になるものと思われる。

今後も米国生保市場における個人年金の動向に目を配っていきたい。
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松岡 博司

研究・専門分野

(2022年11月08日「保険・年金フォーカス」)

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