2021年01月04日

「ニッポンの結婚適齢期」男女の年齢・徹底解剖(4)―2018年婚姻届全件分析(初婚女性その2)―

生活研究部 人口動態シニアリサーチャー   天野 馨南子

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はじめに

本レポートは漠然としたイメージと統計的真実の乖離が極めて顕著といえるニッポンの結婚適齢期ついての婚姻届全件分析のレポートのシリーズ第4弾、初婚女性の結婚年齢についての詳説2回目となる。

第4弾第1回目では、初婚女性の結婚の9割を占める初婚男性との結婚年齢についての分析結果を解説した。第2回目では初婚女性の結婚の1割を占める、再婚男性との結婚について詳説したい。
 
シリーズ第3弾までの結果から、男性に関しては総じて、一般的な結婚適齢期のイメージと統計的な事実の間に圧倒的な乖離が生じていることが示された。

また、初婚女性に関しては、一般的によく知られている「平均初婚年齢」が示す年齢と、統計的な成婚ピークの間に、看過することがリスクとなりかねない差が生じていることが示された1
 
結婚というライフデザインに大きな影響をもたらす事象の適齢期の事実について、広く一般的に大きな誤解が生じている。このような状況を放置することは、人々のライフデザインの実現可能性を揺るがす大問題である、との観点から、今回も丁寧な解説を心がけたい。
 
前回までと同様、データソースには、厚生労働省「人口動態調査」に掲載されている、2018年における婚姻届の集計結果を用いているため、ニッポンの結婚、についての全数分析2の結果である。
 
1 初婚男性の結婚年齢については、当シリーズレポートの第1弾を、再婚男性については第2弾を参照されたい。
2 全数分析=単純にその年に役所に提出された届のすべてではない。ある条件の下で、集計対象となる届についての分析であるが、提出件数すべてと勘違いしてしまう読者もいるようなので、注意喚起しておきたい。
 

1――相手が再婚男性の場合は5歳のモラトリアム

1――相手が再婚男性の場合は5歳のモラトリアム

2018年に役所に婚姻届を提出し、結婚生活を開始した3初婚女性は38万2823人で、そのうち再婚男性と結婚した女性は4万3051人(11.2%)、約9人に1人となった。
 
初婚女性の成婚相手が再婚男性の場合の最頻値は29歳である(図表1)。これは初婚男性との成婚の場合のピーク年齢が26歳である(レポート第3弾参照)ことから、相手が再婚男性である場合には、ピーク年齢は3歳上昇し、3年のモラトリアムが発生することが示されている。
【図表1-1】初婚女性の結婚年齢/夫は再婚のケース(件)
【図表1-2】初婚女性の結婚年齢/夫は再婚のケース(件)
一般的によく知られている「女性の平均初婚年齢29.4歳」は、統計的には「相手を再婚男性に限定した場合の初婚女性のピーク年齢」には一致する、ということになる。平均初婚年齢の29歳過ぎでの成婚をベンチマークとしてライフデザインを思い描く女性は少なくないが、統計的な実現可能性からみるならば「再婚男性を相手に考えているならば問題ないライフデザインであるが、初婚男性を考えているならば年齢設定に問題がある」となる。

図表からは、再婚男性と成婚した初婚女性の婚姻届の5割以上が32歳までに提出されているため、再婚男性との結婚に限定した場合の初婚女性の結婚適齢期は32歳である。初婚男性との成婚と比べると、32歳-27歳で5歳上昇する。

成婚届の7割に達する年齢が36歳、8割に達する年齢が39歳と、初婚男性との成婚に比べれば緩やかな上昇となる、とはいうものの、やはり40歳以降は「再婚男性でも構わないので」という表現はあてはまらない状況となる。

結婚希望が明確な場合は、相手の婚歴を問わずであっても、30代までの成婚に向けた活動が必要である様子が示されている。

結婚希望が明確な場合、30代までの活動が重要である点は、それが初婚男性の場合(レポート第2弾参照)であっても大差がみられないことから(初婚男性の再婚女性との結婚の7割が40歳、8割が43歳までで発生)、初婚男女の40代以降の成婚に向けた活動は、それまでと比べてかなり厳しい状況となることが改めてみてとれる。

また婚姻届が9割に達する年齢は43歳であるため、40代後半以降の活動は相手を再婚男性に限定した場合でも、非常に厳しいという認識はもっておきたい。
 
3 国のデータにおいて各歳集計の対象となる婚姻件数は、単に入籍するだけでなく、同年内に生活を共にする、もしくは挙式を行っている、という生活実態も伴っているであろうと思われる成婚のみとなる。ただし、実態を伴ってはいるものの年度をまたいで入籍、挙式の順となったケースなどは欠落する。ただ、全体の規模から考えて適齢期分析に影響する条件とまではいえない。
 

2――初婚女性の婚姻、初婚男性

2――初婚女性の婚姻、初婚男性+再婚男性を合わせた結果

シリーズ第3弾で平均初婚年齢と結婚のピーク年齢との乖離についての解説を行ったが、初婚女性の1割を占める再婚男性との結婚を合算しても、ピーク年齢は26歳の3万4855件であった(図表2)。初婚男性同様、再婚男性との結婚が全体の11.2%にとどまっているため、相手が初婚のケースに再婚のケースを合算しても、26歳というピーク年齢は変化しない。

相手の婚歴を問わず初婚女性の婚姻届が5割、7割、8割、9割に到達する年齢は、それぞれ27.5歳、30.5歳、33歳、36.5歳あたりとなっており、相手を初婚の男性に限定した場合と比べて、0.5歳上昇する。いずれにしても8割を超える33歳以降は非常に成婚が厳しくなることが示される結果となった。
【図表2-1】初婚女性の結婚年齢 /相手が初婚+再婚(件)
【図表2-2】初婚女性の結婚年齢 /相手が初婚+再婚(件)
 
4 15歳から集計がスタートしているのは、婚姻統計における「婚姻件数」の計上が「夫妻の年齢は、結婚式をあげたとき、または、同居を始めた時の年齢である」ため。例えば、授かり婚のケースにおいて、先に挙式を行い、16歳以降に入籍する、といったケースが該当する。

3――結婚適齢期の山の図は変わるのか

3――結婚適齢期の山の図は変わるのか

シリーズ第1弾から第4弾までにおいて、初婚男性と初婚女性のそれぞれの結婚発生年齢を一目で可視化することができる分布グラフを示してきた。いずれもきれいな急角度の山を描いており、しかも山の頂上の左右で大きく形が異なることがない、という状況がみてとれる。

これは何を示しているのだろうか。

成婚数が最も多いピーク年齢は、男性が27歳、女性が26歳であるが、その年齢の前後で一気に成婚が発生しており、短い期間に成婚の発生が集中している、ということである。もっとわかりやすくいうならば、「結婚適齢期はピーク年齢を中心に男女とも短い」のである。
このことについて、若い男性読者からは

「学歴で2極化して、もっと緩やかな2こぶラクダのようになっているのかと思っていた」
「平均初婚年齢の31歳を知っていたので、30歳を過ぎても余裕かと思っていた」

などの声を聞く。また、若い女性からは「29歳手前で決められればと思っていた」といった意見も寄せられる。

男女それぞれにとって、30歳以降の成婚が予想以上に短期決戦かつ厳しいという感想であるが、では、この急角度の底辺の短い山の図は変わることがあるのだろうか。
 
結婚相談所からは、「女性の方が結婚できなくて困っている、女性も30歳にもなると結婚させるのが大変だ。だって20代、30代では女性登録者の方が男性より多いし、結婚イベントでも女性の方が早く満席になる」といった声を聞く。

しかし、統計的実態は、20代、30代と女性の未婚割合は男性よりもかなり低い(図表3)。60代くらいまで男女人口に大差がないが、未婚割合で常に男性が女性を上回っている。最新(2015年)の国勢調査結果からは、50歳で4人に1人の男性に婚歴がないほどに、ニッポンの男性の未婚化は顕著である、というのが事実である。
【図表3】5歳階級でみた年齢別配偶者状況(%)
20代の男性は困っていないのではなく、結婚なんてまだまだだ、と市場参入すらしていないのである。上がらない土俵では相撲は取れないから、みかけないだけ、という図式であるが、相談員には「男性は結婚に困っていない、結婚できている」という誤解を生んでいる。

女性は土俵に上がったものの、40代以降の年齢の高い男性の参入割合が高いために、マッチングできずに足踏みしている、といった状況となる。しかし、女性は自らと年齢が同じくらいであれば結婚が可能であると考える傾向が強く、また再婚者にも目を向けることから、50歳時点では7人に1人の未婚割合となる。

20代の男性は結婚相談所では極めて少ない出現率ではあるが、結婚を主たる目的としないマッチングアプリでのデート相手探し市場には、大手マッチングアプリ企業数社へのヒアリングによると、女性よりも高い割合(6:4程度)で参加しているという。
 
そんな彼らもようやく30歳過ぎあたりから、結婚相手を意識した活動をスタートするものの、30代、40代になってもかわらず20代の若い女性との結婚を希望するという相手の年齢へのこだわり固定化の傾向が非常に強い5

初婚男性の成婚年齢の発生分布のグラフのピーク年齢より上の年齢における成婚数の急落は、彼らが希望する20代女性には選ばれないから、ということの影響が大である6。全国の自治体結婚支援センターでの共通の悩みとして「50代になっても20代の女性をかたくなに希望するが、マッチングしない」という悩みがある。

もし彼らが女性同様に同世代の離婚歴のある相手や、少し年上の相手も候補に含められるならば、それなりに結婚相手の数は存在するため、成婚しやすくなる(図表3)7
 
シリーズで解説してきた初婚同士の成婚発生年齢の棒グラフでは、初婚男女とも同じような急角度の山をみせていることが示されたものの、男女ではその理由が少々異なっている。

女性はピーク年齢の前後に成婚数が一気に多数集中し(未婚者の母集団の大きな減少が発生)、それによって、その後の成婚が年々大きく減少していく構造となっている。一方、男性は、自らの年齢が上昇しても20代の若いパートナーとの成婚希望をなかなか捨てられないため、それによって成婚数が年々加速度的に減少していく、という様相が統計データと現場報告からは浮かび上がってくる。
 
次回は本シリーズの最終レポートとして、再婚女性の結婚適齢期について解説を行いたい。
 
5 ニッセイ基礎研究所・エウレカ共同調査「日本の未婚化要因分析のためのアンケート調査」(2020年8月)データ詳細については、別のレポートにて公開予定。
6 研究員の眼 「2017年婚姻届における初婚男女の年齢組み合わせランキング」(2)から(4)を参照されたい。20代妻の割合は、20代男性では9割であるが、30代前半の男性では半数を切る状況となる。
7 人口減少社会においては、年上人口の方が男女ともに数が多いので、未婚率を踏まえても、いわゆる「少し年上好き」の方が選べる相手の数が多くなることに気が付きたい。

【参考文献一覧】
 
厚生労働省.「人口動態統計」
 
天野 馨南子.「ニッポンの結婚適齢期」男女の年齢・徹底解剖(1)―2018年婚姻届全件分析(初婚男性編)―. ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2020年11月16日
 
天野 馨南子.「ニッポンの結婚適齢期」男女の年齢・徹底解剖(2)―2018年婚姻届全件分析(再婚男性編)―. ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2020年11月20日
 
天野 馨南子.「ニッポンの結婚適齢期」男女の年齢・徹底解剖(3)―2018年婚姻届全件分析(初婚女性その1)―. ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2020年12月7日
 
天野 馨南子.「年の差婚」の希望と現実-未婚化・少子化社会データ検証-データが示す「年の差婚の希望の叶い方. ニッセイ基礎研究所「研究員の眼」2017年2月20日
 
天野 馨南子.初婚・再婚別にみた「年の差婚の今」(上)-未婚少子化データ考- 平成ニッポンの夫婦の姿.ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2018年5月14日
 
天野 馨南子.初婚・再婚別にみた「年の差婚の今」(下)-未婚少子化データ考-変わり行く2人のカタチ.ニッセイ基礎研究所「基礎研レポート」2018年5月28日
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生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

(2021年01月04日「基礎研レポート」)

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