コラム
2020年01月29日

2017年婚姻届における初婚男女の年齢組み合わせランキング(4)-なぜ結婚希望が叶わないのか-40代男性編/妻の年齢ゾーン別分布状況

生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子

文字サイズ

はじめに

本シリーズでは、2017年に婚姻届が提出された初婚同士の結婚のうち、同年内に生活を開始した36万件のカップルについて、夫婦の年齢ゾーンの組み合わせの分析結果の詳細をレポートしている。

前回までの分析で、もし初婚を目指す男性が20代の妻を希望するのであれば、
 
「自分が20代のうちに結婚を決める覚悟が必要であり、遅くとも30代前半までに活動すること」
 
が、レッドオーシャン活動とならないための活動適齢期(婚期)であることを紹介した。
 
今回は、2017年に40代で初婚をむかえた男性の妻の年齢分布について、これまでと同様に分析結果を見てみることとしたい。

40代男性の結婚相手の年齢ゾーン別分布状況

まず、40代男性の初婚についておさえておきたいポイントは、割合を議論する前に、成婚発生件数(実数)そのものの急激な減少がおこることである。

20代男性の成婚は18万7344件、30代男性の成婚は13万7069件であり、20代と30代でみた年代上昇による件数の減少率は27%であった。

それに対して、40代男性の成婚は2万7181件まで減少し、30代男性と比較しても、実に80%減少という高い減少率となっている(図表1)。
【図表1】2017年成婚男性の年代別件数(件)
以上から、どうしても成婚したい、という場合、30代までがいわゆる男性の活動適齢期(婚期)となり、 
 
40代になると一気に成婚そのものが非常に厳しい状況となる
 
点にまずは留意が必要である。

現在、日本は人口構造的には年齢が上の層になるほど多くなる逆ピラミッド構造であることから考えても、年齢上昇がいかに成婚に障壁となるかが顕著に示唆されている結果とみることが出来る。

ちなみに、2015年の国勢調査において20代未婚(婚歴なし、以下同じ)男性は498万人、30代未婚男性は306万人、40代未婚男性は252万人であった。これを母数とした2017年の男性の1年あたり年代別婚姻発生確率は、20代30代は4%であったのが、40代では1%となっている。これらは1年あたりなので、10年でみた年代あたりの結婚確率は、単純計算で10倍して20代30代は40%、40代は10%となっている。 
 
 
次に40代男性の成婚2万7千件について、前回までと同様に40代前半と後半に分けて、相手女性の年齢ゾーン別成婚組み合わせで見てみることとする。
 
40代男性の成婚2万7千件のうち、前半男性:後半男性=3:1となっており、40代男性の成婚の4組に3組は前半男性の成婚によるものである。このことからも、結婚希望があるならばいかに早期に取り組む必要があるかが示唆されている。
 
40代前半男性2万人のパートナーとして最も多かった相手女性の年齢ゾーンは、37%(7526件)で30代後半であった。次に多かったのは30代前半女性の24%(4900件)と40代前半女性の21%(4261件)で、2位3位はほぼ同率であった。この3パターンで82%を占める。
【図表2】2017年成婚男女の年齢組み合わせ/40代前半男性とその妻の年齢分布(%)
また4番目は20代後半妻の11%となり、年齢ゾーンで見た「年上妻との成婚」は33組に1組の3%にとどまったことから、40代前半男性は自分より明らかに上のゾーンの女性とのカップリングの成立が僅少となる。
 
以上から40代前半の男性の結婚は、

(1) 30代後半の女性:30代前半の女性:40代前半の女性:20代後半の女性 がほぼ 4:2:2:1(注:40代前半は自分より年上・年下女性ともに含む)
(2) 30代女性との結婚が61%、40代女性との結婚が24%、20代女性との結婚が15%
(3) 年齢ゾーンでみても年上の妻との結婚は3%で33組に1組程度
 
という状況がみてとれる。

こういったデータを示すと「15%も20代女性と結婚できているのか」といった感想が聞かれ易いが、そもそも40代での成婚が非常に厳しい中で、特に成婚に至った男性についてみると、という前提条件がセットとなることを確認しておきたい。
 
次に、40代後半の男性の結婚6891件についてであるが、あくまで全成婚の1.9%の発生確率であるために、以下で示す割合の多寡に関わらず、非常に発生確率が低い(達成困難な成婚である)ことを留意の上で、グラフをみてみたい。
 
最も多かった組み合わせは、1つ下の年齢ゾーンとなる40代前半女性との成婚2196件で、3割を超えた(図表3)。2番目に多いのは、僅差で30代後半女性との結婚の1996件で、この2タイプで全体の6割を超える。次に30代前半女性との結婚16%、40代後半女性との結婚12%が続く。30代40代の女性との結婚で89%となっている。
【図表3】2017年成婚男女の年齢組み合わせ/40代後半男性とその妻の年齢分布(%)
以上から40代後半の男性の結婚は、

(1) 40代前半:30代後半:30代前半:40代後半 が、ほぼ3:3:2:1で発生 
(2) 40代の女性との結婚が44%、30代女性との結婚が44%で1:1
(3) 年齢ゾーンでみても年上の妻との結婚は2%で50組に1組程度
 
ということが出来る。
 
40代前半男性と比べると、30代女性との結婚が61%から44%に減少し、40代妻の割合が24%から44%へと、ともに大きく変化する。「どうしても30代女性で」という条件を掲げる場合は、遅くとも40代前半までに活動することが求められる。

40代男性の結婚は困難化、少子人口減少社会では若い女性との結婚はさらに厳しい

40代前半男性の同年齢ゾーン女性との成婚は21%であるが、40代後半男性の同年齢ゾーンとの成婚は12.2%へと減少する。シリーズ(1)から(4)の結果からは、高齢で初婚を迎える男性ほど、妻の年齢ゾーンからみて、女性の若さを選好する姿がうかがえる。

しかしながら、出生数が半世紀も経過せずに半減以下となっている(2017年出生数は1970年出生数の48%)中で、世代間人口数のギャップ1から、若い女性との結婚希望者はかつてないほどに苦戦を強いられている。
 
1 2015年国勢調査の結果によると、40代人口1840万人、30代人口1561万人、20代人口1238万人で40代人口を100%とすると、30代85%、20代67%となる。
Xでシェアする Facebookでシェアする

生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

経歴
  • プロフィール
    1995年:日本生命保険相互会社 入社
    1999年:株式会社ニッセイ基礎研究所 出向

    ・【総務省統計局】「令和7年国勢調査有識者会議」構成員(2021年~)
    ・【こども家庭庁】令和5年度「地域少子化対策に関する調査事業」委員会委員(2023年度)
    ※都道府県委員職は就任順
    ・【富山県】富山県「県政エグゼクティブアドバイザー」(2023年~)
    ・【富山県】富山県「富山県子育て支援・少子化対策県民会議 委員」(2022年~)
    ・【三重県】三重県「人口減少対策有識者会議 有識者委員」(2023年~)
    ・【石川県】石川県「少子化対策アドバイザー」(2023年度)
    ・【高知県】高知県「中山間地域再興ビジョン検討委員会 委員」(2023年~)
    ・【東京商工会議所】東京における少子化対策専門委員会 学識者委員(2023年~)
    ・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する情報発信/普及啓発検討委員会 委員長(2021年~)
    ・【主催研究会】地方女性活性化研究会(2020年~)
    ・【内閣府特命担当大臣(少子化対策)主宰】「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」構成員(2021年~2022年)
    ・【内閣府男女共同参画局】「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」構成員(2021年~2022年)
    ・【内閣府委託事業】「令和3年度結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査 企画委員会 委員」(内閣府委託事業)(2021年~2022年)
    ・【内閣府】「地域少子化対策重点推進交付金」事業選定審査員(2017年~)
    ・【内閣府】地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査 企画・分析会議委員(2016年~2017年)
    ・【内閣府特命担当大臣主宰】「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」構成メンバー(2016年)
    ・【富山県】富山県成長戦略会議真の幸せ(ウェルビーイング)戦略プロジェクトチーム 少子化対策・子育て支援専門部会委員(2022年~)
    ・【長野県】伊那市新産業技術推進協議会委員/分野:全般(2020年~2021年)
    ・【佐賀県健康福祉部男女参画・こども局こども未来課】子育てし大県“さが”データ活用アドバイザー(2021年~)
    ・【愛媛県松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会】結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバー(2017年度~2018年度)
    ・【愛媛県法人会連合会】結婚支援ビッグデータアドバイザー会議委員(2020年度~)
    ・【愛媛県法人会連合会】結婚支援ビッグデータ活用研究会委員(2016年度~2019年度)
    ・【中外製薬株式会社】ヒト由来試料を用いた研究に関する倫理委員会 委員(2020年~)
    ・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する意識調査/検討委員会 委員長(2020年~2021年)

    日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
    日本労務学会 会員
    日本性差医学・医療学会 会員
    日本保険学会 会員
    性差医療情報ネットワーク 会員
    JADPメンタル心理カウンセラー
    JADP上級心理カウンセラー

(2020年01月29日「研究員の眼」)

公式SNSアカウント

新着レポートを随時お届け!
日々の情報収集にぜひご活用ください。

週間アクセスランキング

レポート紹介

【2017年婚姻届における初婚男女の年齢組み合わせランキング(4)-なぜ結婚希望が叶わないのか-40代男性編/妻の年齢ゾーン別分布状況】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

2017年婚姻届における初婚男女の年齢組み合わせランキング(4)-なぜ結婚希望が叶わないのか-40代男性編/妻の年齢ゾーン別分布状況のレポート Topへ