2018年05月14日

初婚・再婚別にみた「年の差婚の今」(上)-未婚少子化データ考- 平成ニッポンの夫婦の姿

生活研究部 人口動態シニアリサーチャー 天野 馨南子

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■要旨

1990年の国勢調査以降、日本において未婚化が急激に進行したことから、未婚者の意識調査、実態調査が様々なところで行われている。
 
国の大規模調査では依然として、18歳から34歳までの若手層の男女の約9割が「いずれは結婚したい」と回答している。
その希望を叶える思料として、未婚者調査は一定の範囲で有効ではあるだろう。
 
しかし希望を叶えるために、未婚者の意識や実態にフォーカスすることだけでは実は不十分である。
 
例えば未婚者が持つその意識こそが、一般的な結婚への大きな障壁になっている場合がある。
未婚者調査でその意識が判明したところで、そのまま解決策につながらない可能性が高い。
 
あえて極端な例を挙げるなら、
 
「190センチ以上の20代男性がよい」「ミスコン優勝経験者女性がよい」
 
など、実現可能性が確率的に非常に低い意識をもつケースがわかりやすいだろう。
 
こういったケースに支援策を打つとするならば、「実現可能性を上げるための具体的な方針変更を提案する」ということになる。
そのためには、結婚希望を実現している既婚者の意識・実態を調査し、未婚者との差を知ることが肝要である。
 
既婚者の意識・実態を知って初めて、未婚者のある意識が実は大きな結婚への障害となっていると気がつくこともあるだろう。
 
本レポートは未婚者に光をあてるのではなく、あえて「成婚状況の実態」の1つにクローズアップする。
以前、初婚同士カップルについて分析した「成婚時の年の差」について、再婚者も含めたすべての結婚組み合わせの年の差分析を行う。
 
未婚者と既婚者を隔てる「結婚川」のこちら側と対岸で、一体何が見えてくるのか。
2回のシリーズで考察したい。

■目次

はじめに-結婚川の向こう側を知る
1――50歳時点婚歴なし割合に見る「男女格差」
2――どの年齢層でみても男性未婚者数が女性未婚者数を上回る
3――初婚・再婚組み合わせ別の動向~未婚の男女格差が生じる理由~
  1|初婚同士のカップルが4組に3組、再婚者含みは4組に1組へ
  2|婚歴ナシの男女格差の発生経緯
4――初婚・再婚別にみた「年の差婚の今」(上)のおわりに

(2018年05月14日「基礎研レポート」)

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生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

経歴
  • プロフィール
    1995年:日本生命保険相互会社 入社
    1999年:株式会社ニッセイ基礎研究所 出向

    ・【総務省統計局】「令和7年国勢調査有識者会議」構成員(2021年~)
    ・【こども家庭庁】内閣府特命担当大臣主宰「若い世代の描くライフデザインや出会いを考えるワーキンググループ」構成員(2024年度)
    ・【こども家庭庁】令和5年度「地域少子化対策に関する調査事業」委員会委員(2023年度)
    ※都道府県委員職は年度最新順
    ・【富山県】富山県「県政エグゼクティブアドバイザー」(2023年~)
    ・【富山県】富山県「富山県子育て支援・少子化対策県民会議 委員」(2022年~)
    ・【高知県】高知県「元気な未来創造戦略推進委員会 委員」(2024年度)
    ・【高知県】高知県「中山間地域再興ビジョン検討委員会 委員」(2023年度)
    ・【三重県】三重県「人口減少対策有識者会議 有識者委員」(2023年度)
    ・【石川県】石川県「少子化対策アドバイザー」(2023年度)
    ・【東京商工会議所】東京における少子化対策専門委員会 学識者委員(2023年~)
    ・【愛媛県法人会連合会】えひめ結婚支援センターアドバイザー委員(2016年度~)
    ・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する情報発信/普及啓発検討委員会 委員長(2021年~)
    ・【主催研究会】地方女性活性化研究会(2020年~)
    ・【内閣府特命担当大臣(少子化対策)主宰】「少子化社会対策大綱の推進に関する検討会」構成員(2021年~2022年)
    ・【内閣府男女共同参画局】「人生100年時代の結婚と家族に関する研究会」構成員(2021年~2022年)
    ・【内閣府委託事業】「令和3年度結婚支援ボランティア等育成モデルプログラム開発調査 企画委員会 委員」(内閣府委託事業)(2021年~2022年)
    ・【内閣府】「地域少子化対策重点推進交付金」事業選定審査員(2017年~)
    ・【内閣府】地域少子化対策強化事業の調査研究・効果検証と優良事例調査 企画・分析会議委員(2016年~2017年)
    ・【内閣府特命担当大臣主宰】「結婚の希望を叶える環境整備に向けた企業・団体等の取組に関する検討会」構成メンバー(2016年)
    ・【富山県】富山県成長戦略会議真の幸せ(ウェルビーイング)戦略プロジェクトチーム 少子化対策・子育て支援専門部会委員(2022年~)
    ・【長野県】伊那市新産業技術推進協議会委員/分野:全般(2020年~2021年)
    ・【佐賀県健康福祉部男女参画・こども局こども未来課】子育てし大県“さが”データ活用アドバイザー(2021年~)
    ・【愛媛県松山市「まつやま人口減少対策推進会議」専門部会】結婚支援ビッグデータ・オープンデータ活用研究会メンバー(2017年度~2018年度)
    ・【中外製薬株式会社】ヒト由来試料を用いた研究に関する倫理委員会 委員(2020年~)
    ・【公益財団法人東北活性化研究センター】「人口の社会減と女性の定着」に関する意識調査/検討委員会 委員長(2020年~2021年)

    日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
    日本労務学会 会員
    日本性差医学・医療学会 会員
    日本保険学会 会員
    性差医療情報ネットワーク 会員
    JADPメンタル心理カウンセラー
    JADP上級心理カウンセラー

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