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- IMF世界経済見通し-24年の見通しをやや上方修正
2024年04月17日
1.内容の概要:3%前半での横ばい成長を見込む
2.内容の詳細:リスク評価は成長率・インフレ率ともに概ね均衡
IMFは、今回の見通しを「安定かつ緩慢 まちまちな様相の中、強靭性も(Steady but Slow: Resilience amid Divergence)」と題して作成した1。
IMFは足もとの経済状況について、22-23年のディスインフレの間、経済活動が驚くほど底堅かったと総括した。22-23年の世界の累計成長率は6.7%で22年10月時点の見通しを0.8%ポイント上回った(特に米国と主要新興国が予想対比上振れ)。上振れの要因として、予想以上の政府支出、コロナ禍での過剰貯蓄やコロナ禍前の低金利の恩恵による消費の下支え、外国人労働力を含む労働力人口の予想以上の増加による供給能力拡大を指摘している。
また、将来については、24年の世界経済成長率(ベースライン)をやや上方修正した上で(24年3.1→3.2%、25年3.2→3.2%)、ほぼ横ばいでの成長が続くと見込んでいる(前掲図表1)。ただし、24年および25年の世界成長率は、依然としていずれも過去平均(00-19年)の成長率(3.8%)を下回る。この要因として、IMFは緊縮的な金融政策、財政支援策の縮小、基調的な生産性上昇率の低さを指摘している。
なお、IMFは中期的な成長率について、5年後(29年時点)の世界成長率を3.1%と予想しており、コロナ禍前に予想していた5年後見通し(3.6%)や金融危機前に予想していた5年後見通し(4.9%)を含めた、ここ数十年で最も低い数値となっている。
IMFは足もとの経済状況について、22-23年のディスインフレの間、経済活動が驚くほど底堅かったと総括した。22-23年の世界の累計成長率は6.7%で22年10月時点の見通しを0.8%ポイント上回った(特に米国と主要新興国が予想対比上振れ)。上振れの要因として、予想以上の政府支出、コロナ禍での過剰貯蓄やコロナ禍前の低金利の恩恵による消費の下支え、外国人労働力を含む労働力人口の予想以上の増加による供給能力拡大を指摘している。
また、将来については、24年の世界経済成長率(ベースライン)をやや上方修正した上で(24年3.1→3.2%、25年3.2→3.2%)、ほぼ横ばいでの成長が続くと見込んでいる(前掲図表1)。ただし、24年および25年の世界成長率は、依然としていずれも過去平均(00-19年)の成長率(3.8%)を下回る。この要因として、IMFは緊縮的な金融政策、財政支援策の縮小、基調的な生産性上昇率の低さを指摘している。
なお、IMFは中期的な成長率について、5年後(29年時点)の世界成長率を3.1%と予想しており、コロナ禍前に予想していた5年後見通し(3.6%)や金融危機前に予想していた5年後見通し(4.9%)を含めた、ここ数十年で最も低い数値となっている。
成長率見通しを地域別に見ると(前掲図表2、図表3)、先進国と新興国・途上国ともに24年の成長率が上方修正された(先進国:24年1.5→1.7%、25年1.8→1.8%、新興国・途上国:4.1→4.2%、25年4.2→4.2%)。
先進国では、米国の上方修正幅が大きく(24年:2.1→2.7%、25年1.7→1.9%)、その理由として、23年10-12月期の予想以上に強かったことによるゲタ効果に加え、一定程度24年初もその勢いが続くと見込まれることを挙げている。
ユーロ圏は24年、25年ともに下方修正され(24年0.9→0.7%、25年1.7→1.5%)、エネルギー価格高騰の落ち着きとインフレ率の低下を受けた実質所得の伸びと家計消費が回復の原動力となるとされるが、回復力は弱くドイツやフランスでの下方修正が目立つ(ドイツ:24年0.5→0.2%、25年1.6→1.3%、フランス:24年1.0→0.7%、25年1.7→1.4%)。
英国では24年および25年の成長率がやや下方修正された(24年0.6→0.5%、25年1.6→1.5%)。英国では23年の成長率見込みは0.1%と低いものの、エネルギー価格高騰の影響が解消し、ディスインフレが進むことで金融緩和が可能になり、実質所得が回復することが成長率を押し上げると見られている。
日本は24年の見通しに修正はなく、25年がやや上方修正された(24年0.9→0.9%、25年0.8→1.0%)日本の23年の成長率見込みは1.9%であるので、24年には成長率は低下することになるが、これはインバウンドなど23年の成長の押し上げ要因が剥落することによるとされた。
新興国・途上国のうち、中国の成長率は変更されなかった(24年4.6→4.6%、25年4.1→4.1%)。23年の5.2%からペントアップ需要や財政支援策の効果が剥落し、不動産部門の弱さが継続することから、成長が鈍化する見込みとなっている。
インドは国内需要の底堅さや生産年齢人口の増加が継続すると見込まれていることから、高成長が継続するとされ、24年度の成長率が上方修正されている(24年度6.5→6.8%、25年度6.5→6.5%)。
また、ウクライナ侵攻を実施したロシアの成長率が大幅に上方修正されている(24年2.6→3.2%、25年1.1→1.8%)。労働市場のひっ迫と賃金上昇を受けて投資や民間消費が強いが、25年にかけてその影響が和らぐと予想されている。
先進国では、米国の上方修正幅が大きく(24年:2.1→2.7%、25年1.7→1.9%)、その理由として、23年10-12月期の予想以上に強かったことによるゲタ効果に加え、一定程度24年初もその勢いが続くと見込まれることを挙げている。
ユーロ圏は24年、25年ともに下方修正され(24年0.9→0.7%、25年1.7→1.5%)、エネルギー価格高騰の落ち着きとインフレ率の低下を受けた実質所得の伸びと家計消費が回復の原動力となるとされるが、回復力は弱くドイツやフランスでの下方修正が目立つ(ドイツ:24年0.5→0.2%、25年1.6→1.3%、フランス:24年1.0→0.7%、25年1.7→1.4%)。
英国では24年および25年の成長率がやや下方修正された(24年0.6→0.5%、25年1.6→1.5%)。英国では23年の成長率見込みは0.1%と低いものの、エネルギー価格高騰の影響が解消し、ディスインフレが進むことで金融緩和が可能になり、実質所得が回復することが成長率を押し上げると見られている。
日本は24年の見通しに修正はなく、25年がやや上方修正された(24年0.9→0.9%、25年0.8→1.0%)日本の23年の成長率見込みは1.9%であるので、24年には成長率は低下することになるが、これはインバウンドなど23年の成長の押し上げ要因が剥落することによるとされた。
新興国・途上国のうち、中国の成長率は変更されなかった(24年4.6→4.6%、25年4.1→4.1%)。23年の5.2%からペントアップ需要や財政支援策の効果が剥落し、不動産部門の弱さが継続することから、成長が鈍化する見込みとなっている。
インドは国内需要の底堅さや生産年齢人口の増加が継続すると見込まれていることから、高成長が継続するとされ、24年度の成長率が上方修正されている(24年度6.5→6.8%、25年度6.5→6.5%)。
また、ウクライナ侵攻を実施したロシアの成長率が大幅に上方修正されている(24年2.6→3.2%、25年1.1→1.8%)。労働市場のひっ迫と賃金上昇を受けて投資や民間消費が強いが、25年にかけてその影響が和らぐと予想されている。
IMFは今回の見通しに対するリスクについては、おおむね均衡しているとして、24年1月と同様の評価だった。また、インフレ見通しも現在はほぼ均衡していると評価した。
具体的なリスク要因としては下振れリスクとして「地理的な紛争を受けた商品価格の高騰」(ガザ・イスラエル紛争、紅海での攻撃、ウクライナでの戦争などに伴う追加的な供給ショック)、「インフレの長期化と金融ストレス」(金利高止まりによる資産価格の減少、債務負担の増加と商業用不動産部門などでの債務不履行の増加)、「中国の回復失速」(不動産低迷の深刻化、予期しない地方財政緊縮化)、「財政調整の混乱と債務危機」(急激な増税・歳出削減)、「改革機運を削ぐ政府不振」(構造改革への支持低下)、「地政学的分断の加速」(ブロック化の進展)を挙げている。
上振れに関しては、「選挙を控えた短期的な財政出動」(ただしインフレ圧力と高金利を招く可能性あり)、「供給力改善による金融緩和余地の拡大」(過去の価格ショックの影響の予想以上の鎮静化)、「人口知能による生産性向上」(ただし、雇用を奪い不平等が拡大する可能性あり)、「構造改革機運の高まり」(労働参加が拡大するなかでの非効率な配分の改善など)を挙げた。
IMFはこうしたリスクに関連して、数種類の代替シナリオを提示している。具体的には「①コロナ禍からの予想以上の回復」「②財政緊縮の停止(24-25年)」「③中国不振とデフレ」「④地政学的リスクの顕在化」「⑤先進経済の二極化(米国堅調、日本・ユーロ圏低迷)」が発生した場合のGDPとインフレ率への影響を試算している(図表5・6)。結果としては、GDPへの影響は①や②の前半で上振れ、インフレ率への影響は②、④、⑤の前半で上振れ圧力が強くなるとしている。
最後に、今回の見通しでは特集として商品需給の価格弾力性について分析している。
結果としては、一般的に商品需給は価格弾力性が低いものの(つまり、価格が上下しても需給があまり変化しない)、品目によっては違いが見られることが指摘されている。
具体的なリスク要因としては下振れリスクとして「地理的な紛争を受けた商品価格の高騰」(ガザ・イスラエル紛争、紅海での攻撃、ウクライナでの戦争などに伴う追加的な供給ショック)、「インフレの長期化と金融ストレス」(金利高止まりによる資産価格の減少、債務負担の増加と商業用不動産部門などでの債務不履行の増加)、「中国の回復失速」(不動産低迷の深刻化、予期しない地方財政緊縮化)、「財政調整の混乱と債務危機」(急激な増税・歳出削減)、「改革機運を削ぐ政府不振」(構造改革への支持低下)、「地政学的分断の加速」(ブロック化の進展)を挙げている。
上振れに関しては、「選挙を控えた短期的な財政出動」(ただしインフレ圧力と高金利を招く可能性あり)、「供給力改善による金融緩和余地の拡大」(過去の価格ショックの影響の予想以上の鎮静化)、「人口知能による生産性向上」(ただし、雇用を奪い不平等が拡大する可能性あり)、「構造改革機運の高まり」(労働参加が拡大するなかでの非効率な配分の改善など)を挙げた。
IMFはこうしたリスクに関連して、数種類の代替シナリオを提示している。具体的には「①コロナ禍からの予想以上の回復」「②財政緊縮の停止(24-25年)」「③中国不振とデフレ」「④地政学的リスクの顕在化」「⑤先進経済の二極化(米国堅調、日本・ユーロ圏低迷)」が発生した場合のGDPとインフレ率への影響を試算している(図表5・6)。結果としては、GDPへの影響は①や②の前半で上振れ、インフレ率への影響は②、④、⑤の前半で上振れ圧力が強くなるとしている。
最後に、今回の見通しでは特集として商品需給の価格弾力性について分析している。
結果としては、一般的に商品需給は価格弾力性が低いものの(つまり、価格が上下しても需給があまり変化しない)、品目によっては違いが見られることが指摘されている。
1 同日に「世界経済は、各地で成長がまちまちで、この先には数々の課題が待ち受けるものの、強靭性を保っている(Global Economy Remains Resilient Despite Uneven Growth, Challenges Ahead)」との題名のブログも公表している。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2024年04月17日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2006年 日本生命保険相互会社入社(資金証券部)
2009年 日本経済研究センターへ派遣
2010年 米国カンファレンスボードへ派遣
2011年 ニッセイ基礎研究所(アジア・新興国経済担当)
2014年 同、米国経済担当
2014年 日本生命保険相互会社(証券管理部)
2020年 ニッセイ基礎研究所
2023年より現職
・SBIR(Small Business Innovation Research)制度に係る内閣府スタートアップ
アドバイザー(2024年4月~)
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
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