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- インバウンド市場の現状と展望~コスパ重視の旅行トレンドを背景に高まる日本の観光競争力
2025年03月26日
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■要旨
観光庁によると、2024年の訪日外客数とインバウンド消費額は、いずれも過去最高を記録した。日本の観光市場はコロナ禍を乗り越え、新たな成長期を迎えている。一方、2024年の世界の観光市場は回復基調を維持したものの、伸び率は鈍化傾向にある。
UN Tourismが2025年1月に実施した観光分野の専門家へのアンケート調査によると、2025年の旅行消費トレンドはコスト意識の高い旅行スタイルが主流になると見込まれている。また、旅行消費額については、支出を増やすとの意見が多数を占めた。このように見ると、2025年は「コスパを重視しつつも、全体的な消費額を惜しまない」という旅行スタイルが1つのトレンドになりそうだ。
日本は円安や相対的に緩やかなインフレを背景に、「物価の安い国、ニッポン」との評価が進んでいる。また、世界経済フォーラムの「旅行・観光開発指数」によると、日本の観光競争力は米国、スペインに次ぐ第3位となっている。「安い物価」と「高い観光競争力」を有する日本は、「コスパ重視」の旅行トレンドと相まって、引き続き旅行先に選ばれる可能性が高い。
日本の観光資源は豊富で魅力が高く、引き続き世界から注目を集めている。もっとも、2024年のインバウンド市場の伸びは、円安から相対的に日本のサービスが安くなり、訪日客が増加したことによる影響も大きい。客数増に対するオーバーツーリズムへの対応は急務であろう 。観光インフラの整備や地域経済の活性化に期待が高まる一方、一部の地域社会では急成長がもたらす歪みや負担が限界に達しつつある。住民生活の尊重と訪日客に対するサービスの質向上の両立に向け、抜本的な対策について引き続き議論を深める必要がありそうだ。
■目次
1――世界の中でも、高い成長力を示す日本のインバウンド市場
2――2025年の旅行消費トレンドは、「コスパを重視しつつも、消費額を惜しまない」
3――世界における日本の評価。「安い物価」と「高い観光競争力」
4――コスパ向上で魅力増す日本、ただしオーバーツーリズムへの対応は急務
観光庁によると、2024年の訪日外客数とインバウンド消費額は、いずれも過去最高を記録した。日本の観光市場はコロナ禍を乗り越え、新たな成長期を迎えている。一方、2024年の世界の観光市場は回復基調を維持したものの、伸び率は鈍化傾向にある。
UN Tourismが2025年1月に実施した観光分野の専門家へのアンケート調査によると、2025年の旅行消費トレンドはコスト意識の高い旅行スタイルが主流になると見込まれている。また、旅行消費額については、支出を増やすとの意見が多数を占めた。このように見ると、2025年は「コスパを重視しつつも、全体的な消費額を惜しまない」という旅行スタイルが1つのトレンドになりそうだ。
日本は円安や相対的に緩やかなインフレを背景に、「物価の安い国、ニッポン」との評価が進んでいる。また、世界経済フォーラムの「旅行・観光開発指数」によると、日本の観光競争力は米国、スペインに次ぐ第3位となっている。「安い物価」と「高い観光競争力」を有する日本は、「コスパ重視」の旅行トレンドと相まって、引き続き旅行先に選ばれる可能性が高い。
日本の観光資源は豊富で魅力が高く、引き続き世界から注目を集めている。もっとも、2024年のインバウンド市場の伸びは、円安から相対的に日本のサービスが安くなり、訪日客が増加したことによる影響も大きい。客数増に対するオーバーツーリズムへの対応は急務であろう 。観光インフラの整備や地域経済の活性化に期待が高まる一方、一部の地域社会では急成長がもたらす歪みや負担が限界に達しつつある。住民生活の尊重と訪日客に対するサービスの質向上の両立に向け、抜本的な対策について引き続き議論を深める必要がありそうだ。
■目次
1――世界の中でも、高い成長力を示す日本のインバウンド市場
2――2025年の旅行消費トレンドは、「コスパを重視しつつも、消費額を惜しまない」
3――世界における日本の評価。「安い物価」と「高い観光競争力」
4――コスパ向上で魅力増す日本、ただしオーバーツーリズムへの対応は急務
(2025年03月26日「基礎研レター」)
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03-3512-1853
経歴
- 【職歴】
2000年 東海銀行(現三菱UFJ銀行)入行
2006年 総合不動産会社に入社
2018年5月より現職
・不動産鑑定士
・宅地建物取引士
・不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
・2022年、2023年 兵庫県都市計画審議会専門委員
渡邊 布味子のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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