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- 宿泊旅行統計調査2025年1月~早期の春節の影響などから、中国人延べ宿泊者数が急速に回復~
2025年03月03日
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1.日本人延べ宿泊者数は9ヵ月ぶりに前年比プラス
観光庁が2月28日に発表した宿泊旅行統計調査によると、2025年1月の延べ宿泊者数は5,004万人泊(12月:5,461万人泊)、前年比9.6%(12月:同4.9%)と前月から伸びを高めた。
2025年1月の日本人延べ宿泊者数は3,486万人泊(12月:3,920万人泊)、前年比1.3%(12月:▲1.9%)と9ヵ月ぶりに増加した。物価高の向かい風を受けながらも、冬季賞与の伸びもあり、持ち直した。2025年1月の外国人延べ宿泊者数は1,541万人泊(12月:1,479万人泊)、前年比35.1%(12月:同22.9%)と前月から伸びを大幅に高めた。円安の追い風を受けて、好調を続けており、延べ宿泊者数全体を押し上げている。
今回、2024年の年間値(速報)も併せて公表された。これによると、2024年の延べ宿泊者数は2019年比9.1%(2023年:同3.6%)、前年比5.3%(2023年:同37.1%)となった。延べ宿泊者数は好調を維持している。
内訳をみると、日本人延べ宿泊者数は2019年比1.3%(2023年:同4.1%)、前年比▲2.6%(2023年:同15.2%)となった。2019年比ではかろうじてプラスとなったが、前年比ではコロナ禍で旅行者が激減した2020年以来のマイナスとなった。日本人延べ宿泊者数はホテル価格の高騰や実質賃金がマイナスで推移したこともあり、弱い動きとなった。
外国人延べ宿泊者数は2019年比41.5%(2023年:同1.8%)、前年比38.9%(2023年:同613.5%)となった。円安の進展や欧米等からの長期宿泊客が増加したことなどから好調となり、延べ宿泊者数全体を押し上げた。
2025年1月の日本人延べ宿泊者数は3,486万人泊(12月:3,920万人泊)、前年比1.3%(12月:▲1.9%)と9ヵ月ぶりに増加した。物価高の向かい風を受けながらも、冬季賞与の伸びもあり、持ち直した。2025年1月の外国人延べ宿泊者数は1,541万人泊(12月:1,479万人泊)、前年比35.1%(12月:同22.9%)と前月から伸びを大幅に高めた。円安の追い風を受けて、好調を続けており、延べ宿泊者数全体を押し上げている。
今回、2024年の年間値(速報)も併せて公表された。これによると、2024年の延べ宿泊者数は2019年比9.1%(2023年:同3.6%)、前年比5.3%(2023年:同37.1%)となった。延べ宿泊者数は好調を維持している。
内訳をみると、日本人延べ宿泊者数は2019年比1.3%(2023年:同4.1%)、前年比▲2.6%(2023年:同15.2%)となった。2019年比ではかろうじてプラスとなったが、前年比ではコロナ禍で旅行者が激減した2020年以来のマイナスとなった。日本人延べ宿泊者数はホテル価格の高騰や実質賃金がマイナスで推移したこともあり、弱い動きとなった。
外国人延べ宿泊者数は2019年比41.5%(2023年:同1.8%)、前年比38.9%(2023年:同613.5%)となった。円安の進展や欧米等からの長期宿泊客が増加したことなどから好調となり、延べ宿泊者数全体を押し上げた。
2.客室稼働率は4ヵ月連続でコロナ禍前超え
2025年1月の客室稼働率は全体で54.8%(12月:59.9%)、前年同月差3.6%(12月:同2.7%)となった。コロナ禍前の2019年同月差でも0.8%と4ヵ月連続でプラスとなった。
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は32.0%、前年同月差2.2%(12月:同0.1%)、リゾートホテルは53.5%、前年同月差6.4%(12月:同3.5%)、ビジネスホテルは66.6%、前年同月差3.7%(12月:同3.7%)、シティホテルは67.1%、前年同月差5.8%(12月:同2.6%)、簡易宿所は23.9%、前年同月差0.6%(12月:同4.2%)であった。客室稼働率は需要の高まりとともに上昇しており、前年とコロナ禍前をともに上回っている。
2024年の年間値をみると、客室稼働率は60.5%、2019年差▲2.2%、前年差3.5%と、2023年の水準は上回ったものの、コロナ禍前の水準を下回っている。宿泊施設タイプ別にみても、前年差では全てのタイプの宿泊施設でプラスとなったが、2019年差では全てのタイプの宿泊施設でマイナスとなっており、客室稼働率は回復の途上にあると考えられる。
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は32.0%、前年同月差2.2%(12月:同0.1%)、リゾートホテルは53.5%、前年同月差6.4%(12月:同3.5%)、ビジネスホテルは66.6%、前年同月差3.7%(12月:同3.7%)、シティホテルは67.1%、前年同月差5.8%(12月:同2.6%)、簡易宿所は23.9%、前年同月差0.6%(12月:同4.2%)であった。客室稼働率は需要の高まりとともに上昇しており、前年とコロナ禍前をともに上回っている。
2024年の年間値をみると、客室稼働率は60.5%、2019年差▲2.2%、前年差3.5%と、2023年の水準は上回ったものの、コロナ禍前の水準を下回っている。宿泊施設タイプ別にみても、前年差では全てのタイプの宿泊施設でプラスとなったが、2019年差では全てのタイプの宿泊施設でマイナスとなっており、客室稼働率は回復の途上にあると考えられる。
3.三大都市圏は地方より外国人宿泊者数の回復が速い
外国人延べ宿泊者数を都道府県別にみると、東京都は2019年比94.9%、大阪府は同41.3%と大幅に増加し、三大都市圏1全体では同56.5%の高い伸びとなった。地方でも2019年比16.0%と三大都市圏には及ばないものも、着実に回復している。地方は外国人の旅行需要を獲得できているが、三大都市圏ではさらに大きな需要を得ている。2025年以降も大都市へ外国人宿泊者が集中する傾向が続くとみられ、三大都市圏で増加幅が大きい傾向が続きそうだ。
1 三大都市圏とは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の8都府県をいう
1 三大都市圏とは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の8都府県をいう
4.足元では中国人延べ宿泊者数が急速に回復
外国人延べ宿泊者数のうち、国別が分かる従業者数10人以上の施設でみると、2024年の年間値では、中国は2019年比▲16.0%とコロナ禍前の水準を下回っている。一方、2025年1月の中国人延べ宿泊者数は2019年比52.5%(12月:同5.9%)と前月から大幅に上昇した。中国人延べ宿泊者数が大幅に増加した背景には、春節の時期が2025年は2019年に比べて早かったことがある。2025年は1月29日から春節が始まったのに対し、2019年は2月5日に始まった。ただし、春節の時期のズレを割り引いても、回復が遅れていた中国人延べ宿泊者数は回復を続けていると判断される。
中国人延べ宿泊者数は引き続き回復を続ける公算が大きい。また、春ごろに予定されるビザ緩和による回復の後押しも期待される。ただし、中国の消費が弱い動きとなっていることや、トランプ米大統領の政策次第で景気が大きく落ち込む可能性があることなど、下振れリスクは残存している。
日本人の旅行需要は引き続き、物価高の向かい風を受けて力強い回復は見込めない。一方、外国人の旅行需要はコロナ禍前に比べて為替レートが円安の水準にあることが追い風となって、好調が続くだろう。インバウンド需要の回復が続くことで、全体の延べ宿泊者数は増加を続けると考えられる。
中国人延べ宿泊者数は引き続き回復を続ける公算が大きい。また、春ごろに予定されるビザ緩和による回復の後押しも期待される。ただし、中国の消費が弱い動きとなっていることや、トランプ米大統領の政策次第で景気が大きく落ち込む可能性があることなど、下振れリスクは残存している。
日本人の旅行需要は引き続き、物価高の向かい風を受けて力強い回復は見込めない。一方、外国人の旅行需要はコロナ禍前に比べて為替レートが円安の水準にあることが追い風となって、好調が続くだろう。インバウンド需要の回復が続くことで、全体の延べ宿泊者数は増加を続けると考えられる。
(2025年03月03日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1838
経歴
- 【職歴】
2021年4月 日本生命保険相互会社入社
2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会検定会員
安田 拓斗のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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