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- 宿泊旅行統計調査2025年1月~早期の春節の影響などから、中国人延べ宿泊者数が急速に回復~
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1.日本人延べ宿泊者数は9ヵ月ぶりに前年比プラス
2025年1月の日本人延べ宿泊者数は3,486万人泊(12月:3,920万人泊)、前年比1.3%(12月:▲1.9%)と9ヵ月ぶりに増加した。物価高の向かい風を受けながらも、冬季賞与の伸びもあり、持ち直した。2025年1月の外国人延べ宿泊者数は1,541万人泊(12月:1,479万人泊)、前年比35.1%(12月:同22.9%)と前月から伸びを大幅に高めた。円安の追い風を受けて、好調を続けており、延べ宿泊者数全体を押し上げている。
今回、2024年の年間値(速報)も併せて公表された。これによると、2024年の延べ宿泊者数は2019年比9.1%(2023年:同3.6%)、前年比5.3%(2023年:同37.1%)となった。延べ宿泊者数は好調を維持している。
内訳をみると、日本人延べ宿泊者数は2019年比1.3%(2023年:同4.1%)、前年比▲2.6%(2023年:同15.2%)となった。2019年比ではかろうじてプラスとなったが、前年比ではコロナ禍で旅行者が激減した2020年以来のマイナスとなった。日本人延べ宿泊者数はホテル価格の高騰や実質賃金がマイナスで推移したこともあり、弱い動きとなった。
外国人延べ宿泊者数は2019年比41.5%(2023年:同1.8%)、前年比38.9%(2023年:同613.5%)となった。円安の進展や欧米等からの長期宿泊客が増加したことなどから好調となり、延べ宿泊者数全体を押し上げた。
2.客室稼働率は4ヵ月連続でコロナ禍前超え
宿泊施設タイプ別客室稼働率をみると、旅館は32.0%、前年同月差2.2%(12月:同0.1%)、リゾートホテルは53.5%、前年同月差6.4%(12月:同3.5%)、ビジネスホテルは66.6%、前年同月差3.7%(12月:同3.7%)、シティホテルは67.1%、前年同月差5.8%(12月:同2.6%)、簡易宿所は23.9%、前年同月差0.6%(12月:同4.2%)であった。客室稼働率は需要の高まりとともに上昇しており、前年とコロナ禍前をともに上回っている。
2024年の年間値をみると、客室稼働率は60.5%、2019年差▲2.2%、前年差3.5%と、2023年の水準は上回ったものの、コロナ禍前の水準を下回っている。宿泊施設タイプ別にみても、前年差では全てのタイプの宿泊施設でプラスとなったが、2019年差では全てのタイプの宿泊施設でマイナスとなっており、客室稼働率は回復の途上にあると考えられる。
3.三大都市圏は地方より外国人宿泊者数の回復が速い
1 三大都市圏とは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、愛知県、大阪府、京都府、兵庫県の8都府県をいう
4.足元では中国人延べ宿泊者数が急速に回復
中国人延べ宿泊者数は引き続き回復を続ける公算が大きい。また、春ごろに予定されるビザ緩和による回復の後押しも期待される。ただし、中国の消費が弱い動きとなっていることや、トランプ米大統領の政策次第で景気が大きく落ち込む可能性があることなど、下振れリスクは残存している。
日本人の旅行需要は引き続き、物価高の向かい風を受けて力強い回復は見込めない。一方、外国人の旅行需要はコロナ禍前に比べて為替レートが円安の水準にあることが追い風となって、好調が続くだろう。インバウンド需要の回復が続くことで、全体の延べ宿泊者数は増加を続けると考えられる。
(2025年03月03日「経済・金融フラッシュ」)
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