2025年02月13日

企業物価指数2025年1月~国内企業物価の前年比上昇率は2023年6月以来の4%超~

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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1.国内企業物価の前年比は19ヵ月ぶりに4%超

企業物価指数の推移 日本銀行が2月13日に発表した企業物価指数によると、2025年1月の国内企業物価は、前年比4.2%(12月:同3.9%)と、2023年6月以来19ヵ月ぶりに前年比4%を上回った。

内訳をみると23類別中、18類別が上昇、5類別が低下となった。玄米が前年比66.6%、精米が同63.6%と上昇を続けたことに加え、鳥インフルエンザの影響で鶏卵が同44.9%と大幅に上昇したことなどから、農林水産物が同36.2%(12月:同32.9%)と高い伸びを続けている。また、電気・都市ガス代への支援策はいったん終了しており、事業用電力が前年比12.2%(12月:同14.0%)、都市ガスが同8.7%(12月:同9.9%)と高めの伸びが続き、電力・都市ガス・水道は前年比11.1%(12月:同12.7%)と前年比二桁の伸びが続いた。
国内企業物価の前月比は0.3%(12月:同0.4%)となった。内訳をみると23類別中、11類別が上昇、3類別が横ばい、9類別が低下となった。燃料油価格激変緩和策が段階的に縮小されたことでガソリン、軽油などが上昇し、石油・石炭製品が前月比・寄与度0.18%と全体を押し上げた。
国内企業物価の推移(前年比寄与度)/国内企業物価の推移(前月比寄与度)/

2.契約通貨ベースの輸入物価(前月比)は6ヵ月ぶりにプラス

1月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比0.1%(12月:同▲0.6%)と6ヵ月ぶりにプラスに転じた。内訳をみると、10類別中、4類別で上昇、1類別で横ばい、5類別で低下となった。液化天然ガス、原油、ガソリンが上昇したことで、石油・石炭・天然ガスが前月比・寄与度0.15%(12月:同▲0.29%)と6ヵ月ぶりのプラス寄与となった。

契約通貨ベースの前年比では、▲2.2%(12月:同▲3.0%)と5ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、原油が前年比▲10.0%と4ヵ月連続で二桁のマイナス、液化天然ガスが同▲10.3%となったことなどから、石油・石炭・天然ガスが前年比・寄与度▲3.22%(12月:同▲4.27%)と5ヵ月連続で下落し、全体を大きく押し下げた。

円相場(対ドル)は、前月比1.8%(12月:同▲0.1%)と、2ヵ月ぶりにプラスに転じたこともあり、輸入物価は円ベースで前月比1.5%と契約通貨ベースの同0.1%よりプラス幅が大きかった。一方、前年比では2.3%(12月:同1.4%)と2ヵ月連続でプラスとなった。
輸入物価指数の前月比推移(契約通貨ベース)/輸入物価指数の前年比推移(契約通貨ベース)

3.先行きは4%前後で推移する見込み

国内企業物価の前年比上昇率は、エネルギー価格の高止まりや米の価格高騰が継続していることから上昇を続けている。国内企業物価は政策に大きく左右される。電気・都市ガス代への支援策は、1月使用分(2月請求分)から再開されているが、これまでに比べると割引額は小さい。さらにガソリン補助金も縮小されていることから、エネルギー価格は高止まりする公算が大きい。さらに米を中心とした農林水産物の価格高騰も当面は継続するとみられることなどから、国内企業物価は高止まりし、先行きは前年比4%前後で推移するだろう。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年02月13日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
    ・日本証券アナリスト協会検定会員

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