2025年01月16日

企業物価指数2024年12月~エネルギー価格への支援策縮小などから、国内企業物価の先行きは高止まり~

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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1.米の高騰から農林水産物の高い伸びが継続

企業物価指数の推移 日本銀行が1月16日に発表した企業物価指数によると、2024年12月の国内企業物価は、前年比3.8%(11月:同3.8%)となった。

内訳をみると23類別中、18類別が上昇、5類別が低下となった。玄米が前年比57.1%、精米が同61.3%と上昇を続けたことで、農林水産物が同31.8%(11月:同29.8%)、非鉄金属も前年比12.6%(11月:同13.5%)と高い伸びを続けている。また、10月使用分(11月請求分)で電気・都市ガス代への支援策が終了したことで、12月の事業用電力が前年比14.0%(11月:同10.1%)、都市ガスが同11.6%(11月:同8.1%)とどちらも前月から伸びを高め、電力・都市ガス・水道は前年比12.9%(11月:同9.3%)と前年比二桁の高い伸びとなった。
国内企業物価の前月比は0.3%(11月:同0.3%)となった。内訳をみると23類別中、9類別が上昇、4類別が横ばい、10類別が低下となった。電気・都市ガスへの支援が終了したことで電力・都市ガス・水道が前月比・寄与度0.20%、米の価格高騰が継続し、農林水産物が前月比・寄与度0.10%と全体を押し上げた。
国内企業物価の推移(前年比寄与度)/国内企業物価の推移(前月比寄与度)/

2.契約通貨ベースの輸入物価は5ヵ月連続でマイナス

輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 12月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比▲0.9%(11月:同▲0.3%)と5ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、10類別中、3類別で上昇、1類別で横ばい、6類別で低下となった。原油の低下が継続したことで、石油・石炭・天然ガスが前月比・寄与度▲0.62%と5ヵ月連続のマイナス寄与となった。

契約通貨ベースの前年比では、▲3.3%(11月:同▲2.7%)と4ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、原油価格の下落などによって石油・石炭・天然ガスが前年比・寄与度▲4.60%(11月:同▲4.20%)と大きく下落し全体を大きく押し下げた。

円相場(対ドル)は、前月比▲0.1%(11月:同2.8%)と、3ヵ月ぶりにマイナスに転じたこともあり、輸入物価は円ベースで前月比▲1.0%と契約通貨ベースの同▲0.9%よりややマイナス幅が大きかった。一方、前年比では1.0%(11月:同▲1.2%)と4ヵ月ぶりにプラスとなった。

3.先行きは3%台半ばで推移する見込み

国内企業物価指数の推移 国内企業物価(前年比上昇率)は、農林水産物、非鉄金属、電気・都市ガス・水道の上昇により、3%台後半の伸びを続けている。電気・都市ガス代への支援策はすでに終了しており、1月使用分から再開されるが、これまでの支援に比べると割引額は小さい。また、12月19日以降はガソリン補助金が縮小されている。これらの政策要因からエネルギー価格は高止まりする公算が大きい。さらに米を中心とした農林水産物の価格高騰も当面は継続するとみられることなどから、国内企業物価は高止まりし、先行きは3%台半ばで推移するだろう。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年01月16日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
    ・日本証券アナリスト協会検定会員

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