2025年03月12日

企業物価指数2025年2月~国内企業物価は2ヵ月連続で前年比4%台~

経済研究部 安田 拓斗

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1.電気・都市ガス代への支援策再開で前年比上昇率が鈍化

企業物価指数の推移 日本銀行が3月12日に発表した企業物価指数によると、2025年2月の国内企業物価は、前年比4.0%(1月:同4.2%)と、前月から伸びが鈍化したものの、2ヵ月連続で4%台の高い伸びとなった。

内訳をみると23類別中、19類別が上昇、4類別が低下となった。玄米が前年比73.2%、精米が同66.9%と上昇を続けたことに加え、鳥インフルエンザ等の影響で鶏卵が同64.2%と大幅に上昇したことなどから、農林水産物が同39.4%(1月:同37.6%)と高い伸びを続けている。一方、電気・都市ガス代への支援策が1月使用分(2月請求分)から再開されたことで、事業用電力が前年比7.4%(1月:同12.2%)と伸びが縮小し、都市ガスが同▲0.2%(1月:同8.7%)と、マイナスに転じたことなどから、電力・都市ガス・水道は前年比5.7%(1月:同11.1%)と伸びが鈍化した。
国内企業物価の前月比は0.0%(1月:同0.3%)と横ばいとなった。内訳をみると23類別中、12類別が上昇、3類別が横ばい、8類別が低下となった。精米、豚肉、鶏卵が上昇したことで、農林水産物が前月比・寄与度0.10%となった。一方、電気・都市ガス代への支援策が再開されたことで、事業用電力と都市ガスが低下し、電力・都市ガス・水道が同▲0.24%と全体を押し下げた。
国内企業物価の推移(前年比寄与度)/国内企業物価の推移(前月比寄与度)

2.契約通貨ベースの輸入物価は前年比マイナスが継続

2月の輸入物価は、契約通貨ベースでは、前年比▲1.6%(1月:同▲2.2%)と6ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、ガソリンが前年比▲9.5%と7ヵ月連続のマイナス、液化天然ガスが同▲8.6%と3ヵ月連続のマイナスとなったことなどから、石油・石炭・天然ガスが前年比・寄与度▲2.57%(1月:同▲3.20%)と6ヵ月連続で下落し、全体を押し下げた。

契約通貨ベースの前月比では、0.5%(1月:同0.1%)と伸びを高めた。内訳をみると、原油(前月比6.3%)、ジェット燃料油(同6.4%)、ナフサ(同2.2%)が上昇したことで、石油・石炭・天然ガスが前月比・寄与度0.34%(1月:同0.17%)のプラス寄与となった。

円相場(対ドル)は、前月比▲2.9%(1月:同1.8%)と、2ヵ月ぶりにマイナスに転じたことで、輸入物価は円ベースで前月比▲1.7%とマイナスに転じた。また、前年比でも▲0.7%(1月:同2.3%)と3ヵ月ぶりのマイナスとなった。
輸入物価指数の前年比推移(契約通貨ベース)/輸入物価指数の前年比推移(契約通貨ベース)

3.先行きは4%前後で推移

国内企業物価の前年比上昇率は前月から伸びが縮小したものの、4%台の高水準が続いている。主因はエネルギー価格の高止まりや米、鶏卵などの農林水産物の高騰である。電気・都市ガス代への支援策は1月使用分(2月請求分)から再開されているものの、割引額はこれまでに比べると小さい。また、支援策は3月使用分(4月請求分)で割引額が縮小し、4月使用分からは支援がなくなる。さらにガソリン補助金も縮小されていることから、エネルギー価格の高止まりは継続することが見込まれる。一方、政府の備蓄米入札が始まっており、備蓄米が放出されれば、米の価格上昇に歯止めがかかる公算が大きい。備蓄米の放出によって米の価格が抑制されるものの、電気・都市ガス代支援策が縮小から終了へ向かうことによって電力・都市ガス代が上昇することで、国内企業物価は4%前後で推移するだろう。

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(2025年03月12日「経済・金融フラッシュ」)

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