2025年03月13日

雇用を支える外国人労働者~受入れ拡大に備え、さらなる環境整備が求められる~

経済研究部 安田 拓斗

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■要旨
 
  • 少子高齢化により生産年齢人口が減少し、人手不足が深刻化している。対応策として、外国人労働者の受入れが拡大し、2024年10月末時点で、外国人労働者数は230万人超、雇用者全体の3.8%を占める。
     
  • 技能実習制度は本来、スキル移転による国際貢献が目的だが、実態は労働力確保の手段となっている面もある。また、技能実習外国人が在籍する企業の約1割が労働基準関係法令に違反しており、劣悪な労働環境下に置かれる外国人も少なくない。
     
  • 制度の課題に対応するため、育成就労制度が創設された。人材確保と育成が目的とされており、外国人労働者のキャリアビジョンが明確化された。さらに、段階的に日本語能力を向上させられる仕組みが導入された。
     
  • 雇用者に占める外国人の割合は、技能実習外国人が0.8%、特定技能外国人が0.3%である。今後5年間で受入れ人数のさらなる拡大が見込まれており、外国人労働者が人手不足解消に一層貢献することが期待される。
     
  • デフレと円安で日本の賃金の優位性は低下している。技能実習外国人の失踪者数が増加しており、要因として劣悪な労働環境や入国時の借金などが指摘される。また、技能実習外国人と特定技能外国人は言語の壁などから労働災害率も高い。今後、外国人労働者に選ばれる国となるためには、こうした課題への対応とさらなる環境整備が求められる。


■目次

1――はじめに
2――労働力の貴重な供給源である技能実習と特定技能
  1|技能実習制度の概要と現状
  2|技能実習制度の課題
  3|育成就労制度の創設
  4|特定技能制度の概要と現状
3――技能実習と育成就労、特定技能の労働力への影響
  1|支えられる特定産業分野の雇用
  2|キャリアアップにより高まる労働生産性
4――技能実習と育成就労、特定技能を取り巻く状況
  1|相対的に低下する日本の賃金の優位性
  2|増加する失踪者数
  3|高い労働災害発生率
  4|受入れ企業にかかる手間とコスト
5――まとめ

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年03月13日「基礎研レポート」)

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