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増える特定技能在留外国人~外国人との共生のため、さらなる整備が必要~
経済研究部 研究員 安田 拓斗
1. 外国人労働者に注目が集まる
内訳をみると、日本人住民が1億2242万3038人と前年から80万523人減少、外国人住民が299万3839人と前年から28万9498人増加した。日本人住民の人口は、2009年をピークに14年連続で減少している。
2. 特定技能制度の意義と特徴
特定技能1号とは、特定産業分野(介護、ビルクリーニング、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の12分野)に属する相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格である。
特定技能1号の在留期間は1年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新(通算で上限5年まで)となっている。技能水準及び日本語能力水準は試験等で確認され1、家族の帯同は認められておらず、受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象となっている。
特定技能2号とは、特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格である。特定技能2号に該当する業種は、「建設」、「造船・舶用工業」の2業種のみだったが、2023年6月9日に特定技能1号を取得できる業種のうち介護を除く211業種で特定技能2号を取得できるように方針の一部が変更されることが発表された。
特定技能2号の在留期間は3年、1年又は6か月ごとの更新となっており、技能水準については試験等で確認されるが、日本語能力水準は試験等での確認がない。また要件を満たせば家族(配偶者、子)の帯同が可能で、受入れ機関又は登録支援機関による支援の対象外となっている。
1 技能実習2号を修了した外国人は技能水準及び日本語能力水準の試験が免除される
2 介護分野については、現行の専門的・技術的分野の在留資格「介護」があることから、特定技能2号の対象分野となっていない
3. 特定技能制度の運用状況
都道府県別特定技能在留外国人数をみると、2023年3月末現在で、愛知県が13,387人と最も多く、全体の8.6%が在留している。次いで、大阪府が9,367人(構成比:6.0%)、埼玉県が8,860人(同:5.7%)、千葉県が8,745人(同:5.6%)となっている。一方、秋田県は237人と最も少なく、全体の0.2%を占めており、次いで鳥取県が438人(同:0.3%)、島根県が480人(同:0.3%)となっている。
政府は特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針の中で、特定技能制度について、人材が不足している地域の状況に配慮し、特定技能の在留資格をもって本邦に在留する外国人が大都市圏その他の特定地域に集中して就労することにならないようにするために必要な措置を講じるように努めるとの方針を示している。しかし、実際には三大都市圏や北海道、広島県、福岡県など特定地域に特定技能在留外国人は集中している。
2023年5月末現在の特定技能在留外国人数から、受入れ見込み数の達成率を計算すると、製造3分野(素形材・産業機械・電気・電子情報関連製造業)が68.9%と最も高い。次いで、飲食料品製造業が59.5%、造船・舶用工業が55.7%、農業が55.5%、建設が51.2%となっている。一方、外食業は26.9%、航空は24.8%、ビルクリーニングは13.3%と低く、宿泊は2.4%と極めて低い。
4. まとめ
特定技能在留外国人が特定地域に偏在しないようにするためには、都道府県ごとの必要生活費を周知し、地方で生活する金銭的メリットをアピールするなど、積極的な誘致が必要だろう。
受入れ見込み数の外国人を雇用するためには、人材が不足する分野における賃上げなど、雇用環境のさらなる整備が求められる。
特定技能2号在留外国人は2023年5月末現在で11名と少ないが、特定技能2号は、在留期間に上限がなく、家族の帯同も認められるため、特定技能1号より魅力的であり、取得を希望する外国人労働者は少なくないだろう。特定技能2号の方針変更に加えて、政府が技能実習を廃止し、特定技能へ移行することを検討していることなどから、特定技能在留外国人は、1号、2号ともに今後も増加していくことが予想される。日本語教育を始めとした受け入れ態勢のさらなる充実や適正な労働環境の確保などが課題である。
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(2023年09月06日「研究員の眼」)
03-3512-1838
- 【職歴】
2021年4月 日本生命保険相互会社入社
2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ
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