2024年11月13日

企業物価指数2024年10月~国内企業物価は2ヵ月連続で伸び拡大~

経済研究部 研究員 安田 拓斗

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1.国内企業物価(前年比)は2ヵ月連続で伸び拡大

企業物価指数の推移 日本銀行が11月13日に発表した企業物価指数によると、2024年10月の国内企業物価は、前年比3.4%と(9月:同3.1%)2ヵ月連続で伸びを高めた。

内訳をみると23類別中、20類別が上昇、3類別が低下となった。玄米が前年比52.2%、精米が同57.8%と大きく上昇したことで、農林水産物が前年比26.0%と前月(同18.2%)から伸びを高め、大きく上昇した。また、金の価格高騰により、金地金が前年比40.4%、銀地金が同44.7%と高い伸びとなったことで、非鉄金属も前年比14.6%と前月(同9.7%)から伸びを高め、全体を押し上げた。
10月の国内企業物価の前月比は0.2%(9月:同0.3%)と前月から伸びが鈍化した。夏季電力料金調整後では前月比0.3%となった。内訳をみると23類別中、15類別が上昇、1類別が横ばい、7類別が低下となった。米の価格高騰が継続し、農林水産物が前月比・寄与度0.21%と、全体を押し上げた一方、B重油・C重油、ナフサ、ジェット燃料油が低下したことで、石油・石炭製品は同▲0.19%と全体を押し下げた。
国内企業物価指数の前年比寄与度分解国内企業物価指数の前月比寄与度分解

2.エネルギー価格の低下で契約通貨ベースの輸入物価は下落

輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 10月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比▲0.2%(9月:同▲1.3%)と3ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、10類別中、5類別で上昇、1類別で横ばい、4類別で低下となった。原油、ナフサ、液化天然ガスの低下が継続したことで、石油・石炭・天然ガスが前月比・寄与度▲0.47%(9月:同▲1.05%)と低下した。

契約通貨ベースの前年比では、▲2.1%(9月:同▲0.4%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。内訳をみると、原油価格の下落などによって石油・石炭・天然ガスが前年比・寄与度▲3.57%(9月:同▲1.34%)と2ヵ月連続のマイナスとなり全体を大きく押し下げた。

円相場(対ドル)は、再び円安・ドル高が進展し、前月比4.3%(9月:同▲2.0%)と、3ヵ月ぶりにプラスに転じた。これにより輸入物価は円ベースで前月比3.0%(9月:同▲2.8%)と3ヵ月ぶりにプラスに転じた。一方、前年比では▲2.2%(9月:同▲2.5%)とマイナスが続いている。

3.先行きは3%台前半で推移する見込み

国内企業物価指数の推移 10月の国内企業物価(前年比上昇率)は、農林水産物、非鉄金属の上昇により、2ヵ月連続で伸びを高めた。足元では、米国大統領選挙でトランプ氏が再選したことを受けて、再び円安・ドル高傾向となっているため、輸入物価の下落に歯止めがかかる可能性が高い。また、現在実施されている酷暑乗り切り緊急支援は10月使用分(11月請求分)で割引額が減額され、以降は終了する予定となっている。そのため、電力・都市ガス・水道のプラス寄与は継続するだろう。国内企業物価の先行きは3%台前半で推移する公算が大きい。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2024年11月13日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   研究員

安田 拓斗 (やすだ たくと)

研究・専門分野
日本経済

経歴
  • 【職歴】
     2021年4月  日本生命保険相互会社入社
     2021年11月 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
    ・日本証券アナリスト協会検定会員

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