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2024年06月17日
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3――他のファンと競い合う故に
例えばスパチャを始めとした投げ銭は、その殆どがオープンなプラットフォームであるが故に、他のオタクと同じ場に参加する必要があり、他のオタクのコメントや投げ銭動向を見ざるを得ない状況にある。そのため、自身の推し活と他人の推し活を比較せざるを得ない機会も無数に存在することになる。ちなみにオタク界隈には昔から「ガチ恋勢」という言葉が存在する。「ガチ恋勢」とは、アイドルタレントや二次元キャラクターなどを本気で恋愛対象として見てしまっているファンのことを指す。本気の恋愛対象であるが故に自分が1番のファンでなくてはいけない、自分が1番に推しを支えなくてはいけないという、義務感に駆られることになり、他のオタクの消費動向も可視化されてしまう投げ銭というシステムは自身の価値を推しに見出してもらおうとする手段として強い依存性があるのである11,12。
2021年に投げ銭について消費生活センターに寄せられた相談件数は全国で少なくとも102件あり、そのうち半数近くが未成年者の利用に関するものだったという。その多くが親のクレジットカードなどを勝手に使って高額の投げ銭をしており、なかには両親の複数のクレジットカードを使って700万円もの投げ銭をした女子高校生もいたという。はじめは応援するだけのつもりだったのが、推しから認知されたい、推しにいい顔をしたい、他のファンと競いたいと、推し活の目的が推し活をフックにした承認欲求の充足や、1番のファンとして推しを支えなくてはならないといった幻想を抱いてしまう事が、課金金額を増額させるトリガーとなってしまうのである。
11 従来の推し活ではCDや写真集などの有形物を購入する事で‘買い支え’する応援消費の側面と、CDなどについてくる握手券やツーショット券などを利用して推しているアーティストに直接会いに行くことで、自身の精神的充足を目指すトキ消費の側面が中心であった。従って、買い支えにしろ、握手券の大量入手にしろ、有形物を介して行われるため、アーティスト本人に直接すべてが還元されるわけではない。しかし、システム手数料やマネジメント料が引かれてしまうにせよ、投げ銭という消費行動は現金(後日換金できるポイント)で直接‘推し’に投資ができるわけで、消費者が消費(推しへの投資)によって得られる効用も従来の推し活とは少し性質が異なるようだ。例えば従来の買い支えでは、消費者が熱心に消費を行い、それがCDの売り上げや、売上ランキングの結果に如何に反映できるかがファンにとっての目的であった。そのため、推すアーティストに対して自身がどれだけ貢献しているかを知ってもらうすべは、自らが直接本人に伝えるという方法以外なかった。また、握手券についても、参加者は多くの支出をすれば多くの枚数を手に入れることができ、握手をする時間が長ければ長いほどアーティストと触れ合う時間は長くなり、その結果アーティストに認知してもらえるようになり、これがある意味自己承認欲求の充足に繋がっていたわけだ。アーティストと長く握手できるという事は、間接的にアーティストのCDを多く購入したことの表れではあるものの、アーティスト本人からは、そのファンが実際にいくら自分に投資してくれたかまではわかるわけではなかった。また、長く握手できればできるほど、そのアーティストの時間を拘束(独占)できるわけで、拘束時間が長ければ長いほど他のファンに対するマウンティングに繋がり、自身の独占欲を満たすこともできるわけだ。しかし、自分が何枚握手券を持っているのかはSNSで自分が何枚使用したかを明らかにしない限り、他人に知ってもらうすべはなかったのである。推し活によるCDの大量購入については、大量購入したCDをダンボールに入れて不法投棄されていたことも度々問題になってきた。彼らは大量にCDが欲しいわけではなく、いらないのについてくるCDを所有しなくてはならないわけで、かつてビックリマンシールのためにチョコが捨てられていたように、捨てることがわかっているのに購入しなくてはならないという非合理的な消費が行われていたのである。
要するに、従来の推し活では自身が課金したことや、課金額を推しているアーティストや他のファンに認知してもらう事が消費の構造的に難しかったわけだ。
12 オタ活の本質は自身の精神的充足にある。その一つである推し活は他人の存在から自身の生きがいを見出す行為であり、そもそも推しの存在に依存している側面が強い。それ故に自身の精神的支柱である推し=依存対象から自身の存在を認識してもらう手段となる投げ銭にも強い依存性が生まれるのである。
2021年に投げ銭について消費生活センターに寄せられた相談件数は全国で少なくとも102件あり、そのうち半数近くが未成年者の利用に関するものだったという。その多くが親のクレジットカードなどを勝手に使って高額の投げ銭をしており、なかには両親の複数のクレジットカードを使って700万円もの投げ銭をした女子高校生もいたという。はじめは応援するだけのつもりだったのが、推しから認知されたい、推しにいい顔をしたい、他のファンと競いたいと、推し活の目的が推し活をフックにした承認欲求の充足や、1番のファンとして推しを支えなくてはならないといった幻想を抱いてしまう事が、課金金額を増額させるトリガーとなってしまうのである。
11 従来の推し活ではCDや写真集などの有形物を購入する事で‘買い支え’する応援消費の側面と、CDなどについてくる握手券やツーショット券などを利用して推しているアーティストに直接会いに行くことで、自身の精神的充足を目指すトキ消費の側面が中心であった。従って、買い支えにしろ、握手券の大量入手にしろ、有形物を介して行われるため、アーティスト本人に直接すべてが還元されるわけではない。しかし、システム手数料やマネジメント料が引かれてしまうにせよ、投げ銭という消費行動は現金(後日換金できるポイント)で直接‘推し’に投資ができるわけで、消費者が消費(推しへの投資)によって得られる効用も従来の推し活とは少し性質が異なるようだ。例えば従来の買い支えでは、消費者が熱心に消費を行い、それがCDの売り上げや、売上ランキングの結果に如何に反映できるかがファンにとっての目的であった。そのため、推すアーティストに対して自身がどれだけ貢献しているかを知ってもらうすべは、自らが直接本人に伝えるという方法以外なかった。また、握手券についても、参加者は多くの支出をすれば多くの枚数を手に入れることができ、握手をする時間が長ければ長いほどアーティストと触れ合う時間は長くなり、その結果アーティストに認知してもらえるようになり、これがある意味自己承認欲求の充足に繋がっていたわけだ。アーティストと長く握手できるという事は、間接的にアーティストのCDを多く購入したことの表れではあるものの、アーティスト本人からは、そのファンが実際にいくら自分に投資してくれたかまではわかるわけではなかった。また、長く握手できればできるほど、そのアーティストの時間を拘束(独占)できるわけで、拘束時間が長ければ長いほど他のファンに対するマウンティングに繋がり、自身の独占欲を満たすこともできるわけだ。しかし、自分が何枚握手券を持っているのかはSNSで自分が何枚使用したかを明らかにしない限り、他人に知ってもらうすべはなかったのである。推し活によるCDの大量購入については、大量購入したCDをダンボールに入れて不法投棄されていたことも度々問題になってきた。彼らは大量にCDが欲しいわけではなく、いらないのについてくるCDを所有しなくてはならないわけで、かつてビックリマンシールのためにチョコが捨てられていたように、捨てることがわかっているのに購入しなくてはならないという非合理的な消費が行われていたのである。
要するに、従来の推し活では自身が課金したことや、課金額を推しているアーティストや他のファンに認知してもらう事が消費の構造的に難しかったわけだ。
12 オタ活の本質は自身の精神的充足にある。その一つである推し活は他人の存在から自身の生きがいを見出す行為であり、そもそも推しの存在に依存している側面が強い。それ故に自身の精神的支柱である推し=依存対象から自身の存在を認識してもらう手段となる投げ銭にも強い依存性が生まれるのである。
4――ホストのアイドル化とホストバブル
これは、従来の疑似恋愛ビジネスの様相を持つホスト遊びの様に自身の担当(指名しているホスト)をNo.1にしたいが故に大金を支出する顧客と、その支えを受けるホストとの共依存の関係に似ているのかもしれない。ホストへの消費も他の客の存在が消費に拍車をかけている点も同様である。最近では、ホストのデコレーショントラックが繁華街を走っていたり、ホスト自身がSNSを活用しファンを獲得しているなど、ホストのアイドル化やインフルエンサー化が起きている。従来ならば、ホストクラブは興味がある人しか入店しないし、そのような繁華街に足を運ばない限りホストという文化そのもの(店構えや掲げられた写真や広告などを含めて)に触れることはなかった。ある意味その施設に「興味を持っている人」と「そうでない人」とでゾーニングできていたわけである。しかし、現在では、お店に行かないと消費者が接点を持つことができなかった「水商売」というクローズドな世界がTikTokやその他SNSが新たな接点となり、ホストの敷居を大きく下げたわけだ。2023年10月時点で新宿区歌舞伎町ではおよそ300店舗のホストクラブが営業しており、ここ4年間で30~40店舗は増え、空前のホストバブルとも言われている。ホスト業界の華やかさや、数億円稼ぐキャストなどホスト市場がコンテンツとして若者のスマホに表示され消費されているのだ。
歌舞伎町の社会学に詳しいライター佐々木チワワが言及するように、ホストクラブは接客業としてのパフォーマンスを有閑階級の女性が買う、大人の社交場として閉じられている空間であったが13、ホストクラブがカジュアル化したことにより、推し活のように推しキャストを見出して、その人に貢ぐためにお金を稼いで応援する若者も増えている。疑似恋愛を楽しむ者もいれば、そのキャストを店でナンバー1にするといったように、自分の推しのホストを輝かせることに躍起になる客も多く、ある意味「ファンとアイドル」の関係のような推し活に類する目的でホストクラブに通うものもいる。メジャーなアイドルよりも距離が近いことが「自分が応援しなくては」という幻想を生みやすいのかもしれない。
一方で、若年層の客が増えたことで支払い能力に関する問題が表面化しているのも事実だ。ホストクラブには女性客が飲食代を「ツケ払い」にする「売り掛け」というシステムが存在する。本来「ツケ払い」は店側に対して女性が負う「借金」を指すが、ホストクラブの「売掛金」の仕組みにおいては、女性に代わってホストがその借金を肩代わりする形となっている。店側からすれば入る収益は変わらないため、店側は女性の支払い能力を超えてでも利益を上げようとし、それを回収できるかどうかはホストと客の問題となるわけだ。また、営業での支払いに留まらず、個人的な金銭のやりとりや経済的支援が生まれるなど、依存性が増すことで見えない支出も増えていく。その資金を工面するために、闇バイトや風俗店で働く者も多く、中にはそれを前提に営業している悪質なホストクラブも存在するようだ。ホストが女性に直接仕事を斡旋すると、罪に問われるためスカウトグループに依頼し、返済能力のない客にそのような仕事をさせ、その女性が働けば働くほど、見返りとしてそのスカウトに報酬が与えられるというシステムだ。ある意味そのスカウトにとってはその女性客を働かせれば、働かせるだけ利益を得ることができるため、ホストクラブに通わせて、さらなる売掛金を作らせ、その業界から抜け出せないようにしていくようだ。人によっては薬物を使用させながら女性に働かせ続けることもあるようだ。
ホストに限らず、水商売や性産業、パパ活や売春などをテーマにした漫画やドラマがヒットしたことや、SNSでそのような業界を華美に取り扱った情報を投稿する者もいる。人によっては自身がその様な体験を通して不幸になっているということを美化してコンテンツ化する者もいる。そのようなコンテンツ自体が悪いとは言い切れないが、今までゾーニングされていた成人向けコンテンツや産業がフィルターもなく、若年層の眼に留まってしまっていることは大きな問題であると筆者は考える。
また、水商売や性産業などで実際に働く者による、高額な給与が稼げる事や自身の煌びやかな生活がSNSに投稿されることも多く、そのような際立った光の部分が若年層の眼に触れる事や、若者に影響力のあるファッションショーに水商売や性産業で働く女性が参加したり、ある種のインフルエンサーとして若者の向けのコンテンツに登場することも多く、情報を取得する側が意識しない限り、成人向けコンテンツとのゾーニングは不可能に近い。言い換えれば高校生、中学生、延いては小学生でさえ、SNSやYouTubeを開けば、常にそのようなコンテンツとの接点が生まれる可能性(リスク)があるわけである14。
13 週刊ポスト コロナ禍で空前のホストバブル 歌舞伎町新記録「年5.2億円」売上のホストが誕生 2022年3月11日号
14 パパ活や売春を含めた自身の身を売ることで金銭を受け取る行為でさえ、カジュアルに、華やかに、手軽にお金を稼ぐ手段として投稿されており、そのような投稿から、短時間でまとまったお金を稼ぎたい、お小遣いが足りない、といった問題をあたかも簡単に解消できる手段のように若者が捉えかねないのも問題だ。
歌舞伎町の社会学に詳しいライター佐々木チワワが言及するように、ホストクラブは接客業としてのパフォーマンスを有閑階級の女性が買う、大人の社交場として閉じられている空間であったが13、ホストクラブがカジュアル化したことにより、推し活のように推しキャストを見出して、その人に貢ぐためにお金を稼いで応援する若者も増えている。疑似恋愛を楽しむ者もいれば、そのキャストを店でナンバー1にするといったように、自分の推しのホストを輝かせることに躍起になる客も多く、ある意味「ファンとアイドル」の関係のような推し活に類する目的でホストクラブに通うものもいる。メジャーなアイドルよりも距離が近いことが「自分が応援しなくては」という幻想を生みやすいのかもしれない。
一方で、若年層の客が増えたことで支払い能力に関する問題が表面化しているのも事実だ。ホストクラブには女性客が飲食代を「ツケ払い」にする「売り掛け」というシステムが存在する。本来「ツケ払い」は店側に対して女性が負う「借金」を指すが、ホストクラブの「売掛金」の仕組みにおいては、女性に代わってホストがその借金を肩代わりする形となっている。店側からすれば入る収益は変わらないため、店側は女性の支払い能力を超えてでも利益を上げようとし、それを回収できるかどうかはホストと客の問題となるわけだ。また、営業での支払いに留まらず、個人的な金銭のやりとりや経済的支援が生まれるなど、依存性が増すことで見えない支出も増えていく。その資金を工面するために、闇バイトや風俗店で働く者も多く、中にはそれを前提に営業している悪質なホストクラブも存在するようだ。ホストが女性に直接仕事を斡旋すると、罪に問われるためスカウトグループに依頼し、返済能力のない客にそのような仕事をさせ、その女性が働けば働くほど、見返りとしてそのスカウトに報酬が与えられるというシステムだ。ある意味そのスカウトにとってはその女性客を働かせれば、働かせるだけ利益を得ることができるため、ホストクラブに通わせて、さらなる売掛金を作らせ、その業界から抜け出せないようにしていくようだ。人によっては薬物を使用させながら女性に働かせ続けることもあるようだ。
ホストに限らず、水商売や性産業、パパ活や売春などをテーマにした漫画やドラマがヒットしたことや、SNSでそのような業界を華美に取り扱った情報を投稿する者もいる。人によっては自身がその様な体験を通して不幸になっているということを美化してコンテンツ化する者もいる。そのようなコンテンツ自体が悪いとは言い切れないが、今までゾーニングされていた成人向けコンテンツや産業がフィルターもなく、若年層の眼に留まってしまっていることは大きな問題であると筆者は考える。
また、水商売や性産業などで実際に働く者による、高額な給与が稼げる事や自身の煌びやかな生活がSNSに投稿されることも多く、そのような際立った光の部分が若年層の眼に触れる事や、若者に影響力のあるファッションショーに水商売や性産業で働く女性が参加したり、ある種のインフルエンサーとして若者の向けのコンテンツに登場することも多く、情報を取得する側が意識しない限り、成人向けコンテンツとのゾーニングは不可能に近い。言い換えれば高校生、中学生、延いては小学生でさえ、SNSやYouTubeを開けば、常にそのようなコンテンツとの接点が生まれる可能性(リスク)があるわけである14。
13 週刊ポスト コロナ禍で空前のホストバブル 歌舞伎町新記録「年5.2億円」売上のホストが誕生 2022年3月11日号
14 パパ活や売春を含めた自身の身を売ることで金銭を受け取る行為でさえ、カジュアルに、華やかに、手軽にお金を稼ぐ手段として投稿されており、そのような投稿から、短時間でまとまったお金を稼ぎたい、お小遣いが足りない、といった問題をあたかも簡単に解消できる手段のように若者が捉えかねないのも問題だ。
5――未成年においては
ホストクラブに通えない未成年においても、このような推し活によるトラブルは他人事ではない。ホストと同じように依存性を見出し、高額な金額を貢いでしまう「メン地下」が大きな問題になっている。「メン地下」とは、メンズ地下アイドルの略で、大手芸能事務所に所属せず、小さな会場でライブを繰り返す男性アイドル指す。メン地下に限らずカフェの店員など、ホスト同様に容姿のいい男性とコミュニケーションをとることを目的としたサービス業が盛り上がりを見せており、それを支えているのは、自分だけの「推し」をつくって応援したいと考える女子中高生などのティーンエイジャーが中心であるという。メン地下はメジャーなアイドルに比べ、物理的に非常に距離が近いことから、精神的に未熟な世代が夢中になりやすい。そのビジネスモデルは「推し」と二人きりで写真撮影ができる「チェキ券」の販売や、ライブへの来場やグッズ購入に基づいて付与されるポイントを餌にお金を使わせるというモノである。通常たまったポイント数に応じた特典を受けることができ、TBSテレビ『Nスタ』調べによれば15、あるメン地下では、「推しの動画 約30秒」は30ポイント=3万円、「推しからの手紙」は300ポイント=30万円、「プリントシール機で撮影など1時間デート」は500ポイント=50万円、「ドライブ・映画など3時間デート」は1000ポイント=100万円、「テーマパークで4時間デート」は1500ポイント=150万円、「日帰り大阪旅行8時間」は3000ポイント=300万円、と大変高額である。また、このポイントの有効期限が「1か月」であり、早くポイントを入手(=お金を使って)して目的の特典に交換しないとそのポイントが無駄になってしまうらしい。
入場料やチェキの撮影費用の捻出のために、家庭内から多額の金品を持ち出したり、パパ活や売春を行ったりするケースも多く、警視庁には、2020年頃からメン地下に関する相談が寄せられるようになり、2022年中には相談件数が、前年の約3倍に急増し、中でも、16~17歳が多かったという。警視庁が検挙した違法な性風俗店やJKビジネス店で働いていた女子高校生の中には、その稼働理由として、メン地下の応援のためという少女が複数いたなど、メン地下をきっかけに未成年者が無理な資金調達にもがいているのである。
警視庁少年育成課では「その「推し活」大丈夫?メン地下って知ってる?」といったタイトルで注意喚起したチラシを作成しているが、前述した通り、メン地下にせよ、ホストにせよ、自身の支出が可視化されて推しにその行為が認知されることは、自身の価値を推しに見出してもらうことになるため精神的充足につながり、自身の存在を認識してもらう手段となる消費が可視化される行為にも強い依存性が生まれてしまうのである。
15 TBSテレビ・Nスタ「“メン地下”相談件数は3倍に…一般的なアイドルとの違いは?300万円分のポイントで“日帰り旅行”も」 2023年2月3日(金) https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/311874?display=1
入場料やチェキの撮影費用の捻出のために、家庭内から多額の金品を持ち出したり、パパ活や売春を行ったりするケースも多く、警視庁には、2020年頃からメン地下に関する相談が寄せられるようになり、2022年中には相談件数が、前年の約3倍に急増し、中でも、16~17歳が多かったという。警視庁が検挙した違法な性風俗店やJKビジネス店で働いていた女子高校生の中には、その稼働理由として、メン地下の応援のためという少女が複数いたなど、メン地下をきっかけに未成年者が無理な資金調達にもがいているのである。
警視庁少年育成課では「その「推し活」大丈夫?メン地下って知ってる?」といったタイトルで注意喚起したチラシを作成しているが、前述した通り、メン地下にせよ、ホストにせよ、自身の支出が可視化されて推しにその行為が認知されることは、自身の価値を推しに見出してもらうことになるため精神的充足につながり、自身の存在を認識してもらう手段となる消費が可視化される行為にも強い依存性が生まれてしまうのである。
15 TBSテレビ・Nスタ「“メン地下”相談件数は3倍に…一般的なアイドルとの違いは?300万円分のポイントで“日帰り旅行”も」 2023年2月3日(金) https://newsdig.tbs.co.jp/articles/-/311874?display=1
(2024年06月17日「基礎研レポート」)
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経歴
- 【経歴】
2019年 大学院博士課程を経て、
ニッセイ基礎研究所入社
・公益社団法人日本マーケティング協会 第17回マーケティング大賞 選考委員
・令和6年度 東京都生活文化スポーツ局都民安全推進部若年支援課広報関連審査委員
【加入団体等】
・経済社会学会
・コンテンツ文化史学会
・余暇ツーリズム学会
・コンテンツ教育学会
・総合観光学会
廣瀬 涼のレポート
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