2024年05月17日

女性の「定年」への意識~「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」より(7)

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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■要旨

「定年」というと従来は男性の問題として語られることが多かったが、近年、中高年女性社員の数が増加していることや、男女雇用機会均等法施行直後に入社した「均等第一世代」が60歳を迎えつつあることから、今後は定年に到達する女性も増加すると見込まれる。そこで、一般社団法人定年後研究所とニッセイ基礎研究所が昨年10月に行ったインターネット調査「中高年女性の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」から、女性の定年に関する意識を報告する。

調査結果によると、中高年女性のうち、定年やそれ以降まで働き続ける意欲を持っているのは全体の約7割である。定年前に退職したいという層もある中で、「定年まで働きたい」という勤続意欲があるのがどんな女性かを分析すると、会社の評価制度や人事異動ローテーション、教育・研修機会、同僚とのサポート体制等に満足している女性、会社で女性管理職登用の成果を肯定的に感じている女性などが、相対的に定年までの勤続意欲が強いことが分かった。これらをまとめると、会社で「働きがい」と「働きやすさ」を感じている女性は、勤続意欲が強いと言える。そのほか、キャリア研修の受講経験がある女性も、定年までの勤続意欲が強いことが分かった。

企業側は今後、このような要素に配慮して、中高年女性たちの仕事へのモチベーションを持続させる工夫をし、定年または定年後まで、人材として活用してほしい。

■目次

1――はじめに
2――定年を迎える女性の割合とボリューム
  2-1 | 定年到達者に占める女性の割合
  2-2 | これから定年を迎える中高年女性社員のボリューム
3――中高年女性社員の定年への意識
  3-1 | いつまで働きたいか
  3-2 | 定年まで勤続意欲があるのはどんな女性か
  3-3 | 定年まで勤続意欲が強い女性に関するまとめ
4――中高年女性社員が高齢まで働くために希望する制度や取り組み
5――終わりに

(2024年05月17日「基礎研レター」)

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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性のライフデザイン、高齢者の交通サービス、ジェロントロジー

経歴
  • 【職歴】
     2002年 読売新聞大阪本社入社
     2017年 ニッセイ基礎研究所入社

    【委員活動】
     2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
     2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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