2024年01月29日

中高年の「一般職」女性は年収がなかなか上がらない~「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」より(2)

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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■要旨

男女雇用機会均等法の施行から2026年で40年を迎える。施行当時に採用された女性は「均等法第一世代」と呼ばれ、後の活躍が脚光を浴びる事例もあるが、その多くは「総合職」であり、「一般職」の女性に光が当たることは少なかったのではないだろうか。日本が本当の意味で「女性活躍」を実現するためには、幹部候補として採用された総合職だけではなく、“中間層”とも言うべき一般職についても、キャリアアップを促していくべきではないだろうか。

そのような観点から、一般社団法人定年後研究所とニッセイ基礎研究所は昨年10月、共同研究として、45歳以上の中高年女性会社員を対象に、インターネット調査「中高年女性の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」を実施した。調査項目の一つ、個人年収の分析結果について紹介すると、総合職はおおむね、45歳から59歳までは年齢階級が上がるにつれて、分布の山がより高い年収階級に移っていたのに対して、一般職では、分布の山に大きな変化は見られなかった。つまり、一般職では中高年になると、年齢階級が上がっても、職務や職位がステップアップしないために、あまり昇給していない可能性がある。実際に、同調査より職務経験を見ると、一般職の約4割は一度も異動経験がなく、約6割はチームリーダーの経験がないなど、キャリア不足が伺えた。

企業は今後、中高年であっても、一般職女性であっても、一人ひとりの職務範囲を拡張するなどして、能力開発を図るべきではないだろうか。また、中高年の一般職女性自身にも、自ら新しい仕事にチャレンジして、キャリアアップを目指すことを期待したい。

■目次

1――はじめに
2――中高年一般職女性の年収分布
  1│「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査
    ~『一般職』に焦点をあてて~」の分析結果
  2│先行研究による分析結果
3――中高年一般職女性のキャリア不足
4――終わりに
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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

経歴
  • 【職歴】
     2002年 読売新聞大阪本社入社
     2017年 ニッセイ基礎研究所入社

    【委員活動】
     2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
     2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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