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増加する単独高齢女性とその暮らし~平均年収は男性より約70万円低く、3割が年収150万円未満
生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子
日本は超高齢社会と言われるが、寿命には男女差があり、高齢者のうち約6割を女性が占めているため、現在、国内で起きている現象は、単独高齢女性の増加とも言える。それに、核家族化や未婚化という社会変化が重なった結果、「単独高齢女性の増加」という現象が起きている。そこで、単独高齢女性の暮らしぶりをみると、平均年収は単独高齢男性よりも約70万円低く、年収150万円未満の人が約3割を占める。この男女差には、高齢期における女性の就業率が男性よりも低いことや、専業主婦やパートなどで働いていた人が多いために、年金受給額が男性よりも低いことが要因として考えられる。
また、年金生活である無職世帯の家計の状況を男女で比べると、80歳未満の単独女性の家計収支は、男性よりも赤字幅が大きく、貯金の取り崩しが大きいとみられる。一方、高齢女性の1~2割は貯蓄がない。したがって、無職単独高齢女性を中心に、今後、困窮状態に陥る高齢女性が増える恐れがある。実際に、生活保護を受給する高齢者は近年、増えている。
単独高齢女性たちの暮らしを安定させるためには、老後、低収入・非貯蓄状態に陥った後で、生活保護等によって救済するだけではなく、より手前の中年層までの期間に、育児や介護を理由とする不本意な離職を防ぐ取組や、いったん退職した女性が再就職しやすくする仕組みを充実させるなど、経済基盤を厚くする対策が必要ではないだろうか。女性自身もまた、老後の家計の男女差を認識し、体調等に問題が無ければ就労を選択肢に入れることも必要ではないだろうか。
■目次
1――はじめに
2――単独高齢女性の増加
3――年間収入の男女差
4――年収の男女差の要因
1|年金受給額の男女差
2|就業率の男女差
5――男女別の家計の状況
6――貯蓄の男女別の状況
7――終わりに
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- 【職歴】
2002年 読売新聞大阪本社入社
2017年 ニッセイ基礎研究所入社
【委員活動】
2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
2023年度 日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員
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