2024年03月15日

『逃げ恥』“百合ちゃん”人気に見る女性管理職の多様性への欲求~「中高年女性会社員の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」より(4)

生活研究部 准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任 坊 美生子

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■要旨

2016年にTBSテレビで放送された大ヒットドラマ『逃げるは恥だが役に立つ』で、脇役の、石田ゆり子さん演じる「百合ちゃん」が中高年女性から人気を博した。独身で管理職だが、グイグイと部下を率いる古典的な管理職タイプではなく、部下に溶け込んでフラットな関係を築き、自然体でチームをまとめる新しいタイプの管理職だった。そのような現象を念頭に、中高年女性会社員の管理職像などについて、一般社団法人定年後研究所とニッセイ基礎研究所が昨年10月に行ったインターネット調査「中高年女性の管理職志向とキャリア意識等に関する調査~『一般職』に焦点をあてて~」のデータを用いて考察した。

同調査によると、現在職場にいる女性管理職のタイプ(複数回答)は、最も多いのは“協調型”、次いで“グイグイ型”。他には“人望型”や“論理型”、“お任せ型”など多様化していた。次に女性が目指すタイプを一つだけ尋ねると、“協調型”が4割を占めて圧倒的に多かった。

しかし現実には男性管理職が大多数であり、「これまで仕えたのはグイグイ型の男性ばかり」という中高年女性にとっては、「グイグイ型でなければ管理職になれない」という不安が生まれる可能性がある。企業は、管理職に登用した以上、一定の役割と成果を求めるにせよ、マネージメントのスタイルには多様性を認め、そのことを社員に伝えていくべきではないだろうか。冒頭の“百合ちゃん人気”は、ステレオタイプ的な管理職像への抵抗感の裏返しであり、多様性への欲求と言うこともできるだろう。

■目次

1――はじめに
2――管理職の多様化
  2-1│求められる管理職像の変化
  2-2│現在の女性管理職のタイプ
  2-3│中高年女性が志向する管理職のタイプ
3――管理職の多様性を認め、伝える~管理職に就くことへの“抵抗感”を減らす
4――終わりに
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生活研究部   准主任研究員・ジェロントロジー推進室兼任

坊 美生子 (ぼう みおこ)

研究・専門分野
中高年女性の雇用と暮らし、高齢者の移動サービス、ジェロントロジー

経歴
  • 【職歴】
     2002年 読売新聞大阪本社入社
     2017年 ニッセイ基礎研究所入社

    【委員活動】
     2023年度~ 「次世代自動車産業研究会」幹事
     2023年度  日本民間放送連盟賞近畿地区審査会審査員

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