2024年02月14日

2024年度の社会保障予算の内容と過程を問う(下)-少子化対策の余波で作られた「改革工程」の実効性と問題点

保険研究部 上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任 三原 岳

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■要旨

2024年度政府予算案が1月26日召集の通常国会で本格的に審議される。2024年度社会保障関係予算を考察する3回シリーズの(上)では、政府予算案の全体像を俯瞰したほか、歳出の約3分の1を占める社会保障費のうち、医療機関向けの診療報酬本体と、介護事業所向けの介護報酬、障害福祉サービス事業所に対する報酬が6年ぶりに見直された「トリプル改定」の結果や過程、その意味合いなどを概観した。

その後、(中)では2023年12月に決まった「こども未来戦略」を基に、岸田文雄政権が重視する「次元の異なる少子化対策」の内容とともに、財源対策の概要や問題点を取り上げた。

今回の(下)では、少子化対策の財源を確保するため、2023年12月に作成された「全世代型社会保障構築を目指す改革の道筋(改革工程)」の実効性や問題点などを考察する。具体的には、2023年12月に決まった少子化対策の枠組みでは、約3.6兆円に及ぶ財源のうち、最大で約2兆円を社会保障の歳出改革で賄うことになっている。このため、もし改革工程が実現できなければ、実質的な国民負担を増やさないという政府の説明は画餅に帰すリスクを孕んでいる。

しかし、改革工程の内容や策定過程を見ると、与党や関係団体との細かい調整や合意形成を経た形跡が見受けられず、実現できるか疑わしい状況だ。そこで、(下)では改革工程の内容や策定過程とともに、その実効性や問題点を検証する。

■目次

1――はじめに~少子化対策の余波で作られた「改革工程」の実効性と問題点~
2――少子化対策の余波で作られた改革工程の位置付けと概要
  1|改革工程の位置付け
  2|改革工程で掲げられた3つの分野
3――改革工程の内容(1)~働き方に中立的な社会保障制度等の構築~
4――改革工程の内容(2)~医療・介護制度等の改革~
  1|前期高齢者財政調整の報酬調整などを規定
  2|2028年度までに介護保険改革に取り組む方針を規定
5――改革工程の内容(3)~地域共生社会の実現など~
6――改革工程の評価
  1|見当たらない新味性
  2|泥縄式で作られた?
  3|最大で2兆円も削れるのか?
  4|政府の説明には早くも綻び?
7――おわりに

(2024年02月14日「基礎研レポート」)

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保険研究部   上席研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

三原 岳 (みはら たかし)

研究・専門分野
医療・介護・福祉、政策過程論

経歴
  • プロフィール
    【職歴】
     1995年4月~ 時事通信社
     2011年4月~ 東京財団研究員
     2017年10月~ ニッセイ基礎研究所
     2023年7月から現職

    【加入団体等】
    ・社会政策学会
    ・日本財政学会
    ・日本地方財政学会
    ・自治体学会
    ・日本ケアマネジメント学会

    【講演等】
    ・経団連、経済同友会、日本商工会議所、財政制度等審議会、日本医師会、連合など多数
    ・藤田医科大学を中心とする厚生労働省の市町村人材育成プログラムの講師(2020年度~)

    【主な著書・寄稿など】
    ・『必携自治体職員ハンドブック』公職研(2021年5月、共著)
    ・『地域医療は再生するか』医薬経済社(2020年11月)
    ・『医薬経済』に『現場が望む社会保障制度』を連載中(毎月)
    ・「障害者政策の変容と差別解消法の意義」「合理的配慮の考え方と決定過程」日本聴覚障害学生高等教育支援ネットワーク編『トピック別 聴覚障害学生支援ガイド』(2017年3月、共著)
    ・「介護報酬複雑化の過程と問題点」『社会政策』(通巻第20号、2015年7月)ほか多数

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