コラム
2023年07月14日

数字の「15」に関わる各種の話題-「15」という数字は、「完全・完璧」なものを意味する考え方があるってこと知っていますか-

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はじめに

数字の「15」といえば、スポーツ好きな人ならば、サッカーの「イレブン」ならぬ、ラグビーのプレーヤーの数を表す「フィフティーン」をイメージするかもしれない。それ以外にも時間の単位としての「15分」を思い出す人も多いものと思われる。さらには、1か月30日の半分ということで、半月分を表す数字との印象が強いかもしれない。ただし、そもそも「十五夜(満月)」に見られるように、東洋思想では、「15」という数字を「完全・完璧」なものとみなす考え方があり、これに関係して「15」という数字が各種の場面で現れてくるようだ。

今回は、この数字の「15」について、それが現れてくる例やその理由等について調べてみた。

ラグビーはなぜ15人で戦われるのか

ラグビーに関する話題に関しては、これまでも数回の研究員の眼で取り上げてきた。

例えば、研究員の眼「ラグビーボールはなぜ楕円の形をしているのか?」(2019.8.1)では、ラグビーボールが楕円形であることの理由とともに、ラグビーの由来について、簡単に紹介した。

また、研究員の眼「2つのラグビー~ラグビー・ユニオンとラグビー・リーグ~」(2019.11.15)では、「ラグビー」あるいは正式には「ラグビー・フットボール」と呼ばれるものには、大きくは2つの種類があり、ラグビーワールドカップでお馴染みのラグビーは、いわゆる「ラグビー・ユニオン(rugby union)」と呼ばれているものであり、これとは別に「ラグビー・リーグ」と呼ばれるものがあり、ラグビーワールドカップに参加するような強豪国の間では、「ラグビー・ユニオン」同様に広くプレーされている、ことを紹介した。そこで述べたように、ラグビー・ユニオンの(1チームの)プレーヤーの数は15人であるのに対して、ラグビー・リーグのプレーヤーの数は13人となっている1,2

それではなぜラグビー・ユニオンのプレーヤーの人数は15人となったのか。

以前は例えば20人にもなる選手がフィールドにいたようだ。ただし、これでは選手の数が多すぎて、ボール保持のために押し合い等が行われる時間が長くて、競技が魅力的なものではなくなっていた。そうした中で、1875年に行われたオックスフォード大学とケンブリッジ大学の試合が、両大学の合意の下1チーム15 人で行われ、その後1876 年に、国際試合では 1 チーム15 人ということが決定されていったとのことである。

これに対して、ラグビー・リーグの人数については、12人や13人とする提案があり、14人を希望するクラブもあったりしたが、最終的には1906年に13人とすることが決定されている。

このように、ラグビーの人数についても、歴史的な経緯がいろいろとあったが、結局はフィールドをカバーする適正な規模の人数ということで、選手の人数が決定されてきたようである。
 
1 世界中でプレーされるラグビーには、(車椅子ラグビーやピーチラグビー等を含めて)少なくとも10の異なるバリエーションがあり、チームのプレーヤーの数も4人から15人と異なっている。
2 アイルランドで競技されている「ゲーリックフットボール(Gaelic football)」や「ハーリング(Hurling)」も1チーム15人となっている。これを超える人数による競技としては、「アメリカンフットボール(American football)」の16人、「オーストラリアンフットボール(Australian Football)」の18人等が挙げられる。
(参考)オリンピックのラグビーは7人制
なお、オリンピックのラグビーは、15人制ではなく、7人制(Rugby sevens)となっている。これは、オリンピックという限られた日程の中で、試合を実施することを可能にするためである。

実際に、15人制ラグビーは、試合時間が長く(ラグビー・ユニオンの試合は、通常10分以内のハーフタイムを挟んで前後半各40分の合計90分程度で構成される)、1つのチームが原則的に週1回しか試合ができないのに対して、7人制ラグビーは、試合時間も短く(通常の7人制ラグビーの試合は2分間の休憩を挟んで、前後半各7分の合計16分で構成される)、1つのチームが1日に3試合程度できる。

テニスの点数の数え方は、「0」、「15」、「30」、「40」

スポーツに関係して、もう一つ「15」に関係する話題を挙げるとすれば、テニスにおける点数(ポイント)の数え方、ということになるだろう。
「15」が現れてくる理由
テニスでは、ポイントを挙げるごとに、「0(ラブ)」、「15(フィフティーン)」、「30(サーティー)」、「40(フォーティー)」と呼ばれる。テニスを初めて見た時等に、何とも不思議な数え方をするものだと、多くの方々が感じられたのではないかと思われる。こうした数え方をするのは何故だろうか。

この由来については、諸説あるようである。

最も有力な説と言われているのは「六分儀(ろくぶんぎ)(sextant)」に由来しているというものである。「六分儀」というのは、天体などの目標となる2つの物体間の角度を測定する計器であり、360度の円を6つに分けたものが1つの単位となった扇形の枠を有している。

テニスの試合は、元々は6セットマッチで行われていた。このため、1セットは全体の6分の1で60度(とみなされ)、さらに、その4分の1が1ゲームとされていたので、1ゲームは60度の4分の1で15度、となっていた。これにより、テニスの得点は15点ずつ加算されることになったのではないか、ということである。

「15」の由来については、その他にも、以下のようないくつかの説がある。ただし、いずれも、基本的には当時、欧州において60進法が普及していたことが関係していたようだ。

・時間の単位が1時間60分だったことから、時計の文字盤を4分の1ずつに分け、15分ずつで一回りすると1ゲームが終わると考えられた。

・テニスの前身である「ジュ・ド・ポーム」3は、12世紀にフランスの修道院等で行われていた遊びが起源となっており、その修道院の生活が、15分単位で構成されていたので、その習慣がカウントを数える際にも適用された。

・テニスと言う競技が確立された14世紀ごろ、当時のフランスで最もポピュラーな貨幣「ドウニエ銅貨」の単位が15スウであった。
 
3 「ジュ・ド・ポーム(jeu de paume)」は、中世ヨーロッパで成立したラケット状の道具を用いてボールを打ち合う球技で、テニス(ローンテニス)の先駆となったスポーツである。その名が示すように、元々は「手のひら(paume)」で直接ボールをたたいて競技していたが、その後ラケットを使うようになった。現在でもプレーされている。英語では「リアルテニス(real tennis)」等と呼ばれている。
なぜ「40」なのか
それでは、なぜ「30」の次が「45」ではなくて「40」なのか。これについても諸説あるが、有力な説としては、ただ単に「45(フォーティーファイブ)」は長いので、呼びやすいように「40」になったということのようである。

なぜ「0」は「ラブ」なのか
また、「0」を「ラブ」ということについても、諸説あるようで、一つは、0が卵の形に似ていたことから、フランス語で卵を意味する「レフ(l’oeuf)」が、英国に伝わった時に「ラブ(love)」に置き換わった、という説、もう一つは、「love」自体に元々「nothing」とか「zero」という意味があった、という説が有力とされているようだ。

東洋思想では15という数字は「完全・完璧」を表すもの

東洋思想では15という数字を「完全・完璧」を表すものとして捉える考え方があるようだ。
龍安寺の石庭の石の数は15
有名な龍安寺(京都府京都市右京区にある臨済宗妙心寺派の寺院)の石庭には15個の石が並べてある。ただし、15個の石は、庭をどの位置から眺めても、必ず1個は他の石に隠れて見えないように設計されている。

こうした15個の石の配置については、「虎の子渡し」や「七五三」といった各種の説明が行われている。必ず1個は他の石に隠れて見えないように設計されている理由については、国内外の研究者により、多くの説が挙げられてきており、例えば、日本庭園における「重なり志向」を表したものとも言われている。さらには、「15」が完全・完璧を意味する数字であるため、全ては見えないようにすることで、「不完全さ」を表し、1つぐらいは見えない「14」程度の数字が丁度良いという考え方を示しているとも言われているようだ。
十五夜
十五夜」というのは、秋の満月の夜にお団子を供える行事であり、旧暦の毎月15日の夜のことを指している。旧暦では新月を1日としており、15日は満月にあたる(ここにも「15」が完全を意味する背景があるようだ)。このうち、旧暦の8月の「中秋」の15日の月は「中秋の名月」と呼ばれ、月が最も美しく見えるとされ、お月見に最適な日となっている。一般的には、この旧暦の8月15日のことを「十五夜」と呼んでいる。

現在の新暦では、旧暦と1ヵ月程のズレがあるため、概ね9月上旬から10月上旬の間に訪れる満月の日が十五夜となる。因みに、2023年は9月29日が十五夜となる。

昔は農業をする上で月の満ち欠けを季節の参考の一つにしており、また月明かりの下での暮らしが行われていたことから、そのような月からの恩恵に対して感謝の意を示すため、さらにはこの季節における農作物の収穫への感謝や豊作への願いを込めるという意味合いがあると言われている。

なお、十五夜は満月になるとのイメージがあるが、月の満ち欠けの周期は一定ではないので、必ずしも(新月の日から15日目にあたる)十五夜が満月になるとは限らない。ただし、2023年は9月29日の十五夜は、満月になるとのことである。

十五夜には、月見団子等のお供え物をして、お月見をする。月見団子の大きさは一寸五分(約4.5㎝)の大きさがいいとされ、団子の数は15個とされている(実際には、5個とかより少ない場合もある)。
七五三
七五三(しちごさん)」は、7歳、5歳、3歳の子どもの成長を祝う日本の年中行事で、一般的には、数え年で、男子は5歳(加えて、3歳の場合もある)、女子は3歳と7歳に当たる年の11月15日にお祝いをしている。なお、7と5と3を足し算すると15になっている。

11月15日の由来についても諸説あるようだが、三代目将軍徳川家光あるいは五代目将軍徳川綱吉の「袴着(はかまぎ)の儀」が行われた日が踏襲されていると言われている。なお、15日に設定されたのは、先に述べたように旧暦の15日が満月の日であったことによるようである。
15
奈良時代以降の日本においては、15歳で少年が大人とみなされる「元服(げんぷく)」と呼ばれる儀式が行われて、15歳は、一人前の男性として重要な責任と義務を負い、社会人の仲間入りを果たす年齢を意味していた。これは15という数字が「完全」を意味するという考え方にも繋がっている。

現代においても、15歳は、小中学校の義務教育が終了する年齢、労働基準法が定める基本的に労働可能な年齢、遺言が可能な年齢等となっており、ある意味での大人の仲間入りを示す年齢となっている。
成人式
成人の日は、1998年(平成10年)の祝日法改正(ハッピーマンデー制度)に伴って、2000年(平成12年)より、1月第2月曜日に移動しているが、元々は1月15日だった。

この1月15日は、公家や武家で執り行われていた男性の成人式「元服の儀」に由来している。「元服の儀」は、新年最初の満月の日に当たる、旧暦の1月15日前後に行われていた。
二十四節気(15日ごとに変わる季節)
二十四節気(にじゅうしせっき)」は、1年を春夏秋冬の4つの季節に分け、さらにそれぞれを6つに分けたもので、12の「節気(せっき)」と12の「中気(ちゅうき)」が交互にあり、それぞれに季節を表す名前が付けられているものである。具体的には、以下の通りである。

立春、雨水、啓蟄、春分、清明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、大暑
立秋、処暑、白露、秋分、寒露、霜降、立冬、小雪、大雪、冬至、小寒、大寒

同じ月でも上旬と中旬で気温差が生じるため、1年を24等分、つまり約15日ごとに分けた季節を示す形になっている。この暦は月の満ち欠けと太陽の動きをもとにして作られている。
鬼宿日(毎月15日)
鬼宿日(きしゅくにち、きしゅくび)」というのは、旧暦の毎月15日に当たる日で、暦注の「二十八宿(にじゅうはっしゅく)」4の中に含まれている吉日の1つとされている。その言葉通りに、まさに「鬼が家(宿)の中にいる日」という意味を有しているが、これだけ聞くと何か不吉な日と思われるかもしれない。実は「鬼が家(宿)にいて外を出歩かない日」ということで、鬼によって邪魔されないので、何をやるにも良い日ということになっている。ということで、殆どのイベントには適した日となるが、結婚(=家に嫁ぐ日)に関する事柄だけは回避すべき日とされているようだ(ただし、あくまでも「暦注」の1つであり、迷信的な要素を含んでいるものである)。

鬼宿日は28日に一度巡ってくるため、基本的には毎年13回あることになる。
 
4 天球を28のエリア(星宿)に不均等分割したもので、中国の天文学・占星術で用いられた。
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中村 亮一

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