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- 数字の「5」に関わる各種の話題-割と身近な数字と思われているが、実際はどうなのか-
コラム
2023年01月05日
はじめに
数字の「5」については、10進法での数字の記数法が普及している中にあって、10の半分の数字ということで、おそらく多くの人が身近に感じている数字なのではないかと思われる。
今回は、この数字の「5」について、それが現れてくる例やその理由等について調べてみた。
今回は、この数字の「5」について、それが現れてくる例やその理由等について調べてみた。
数字の「5」は、人間の体を表す言葉によく使われる
人間の感覚は、触覚、嗅覚、視覚、聴覚、味覚の「五感」で表される。
また、人間の味覚は、「五味(ごみ)」と呼ばれる、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5種類に分けられる(なお、これとは異なる分けられ方をする場合もある)。
さらに、人間の身体を表す言葉に「五臓六腑」というものがあるが、この「五臓」というのは心臓、肝臓、肺臓、腎臓、膵臓の5つの内蔵のことを指している。「六腑」とは、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を指しているが、関係臓器がない三焦を外して「五腑」とすることもある。
「五体」と呼ばれるものには、いろいろな解釈があり、東洋医学では、筋、脈、肉、骨、毛(または皮)、漢方では、筋、血脈、肌肉、骨、皮、さらに、頭・首・胸・手・足、若しくは両手・両足・頭、のことを指している場合もある。
人間を含む多くの哺乳類は、手足の片側に5本の指を有している。なぜ、5本の指を有するようになったのかについては、進化の結果とされるが、あまり明らかではないようだ。ただし、このことが、人間の体や感覚を表す言葉に、「5」という数字がよく使われていることと関係していると推測することは自然なことと思われる。
なお、人間の両方の指が10本であること(両手・両足の指の合計が20本であること)が、数字の位取り記数法について10進法(時には、20進法)が普及してきたことと関係しているとの説明はほぼ納得がいくものだと思われる。このあたりの位取り記数法に関する詳しい内容については、別途の研究員の眼で報告することにし、ここではこれ以上は触れない。
また、人間の味覚は、「五味(ごみ)」と呼ばれる、甘味・酸味・塩味・苦味・うま味の5種類に分けられる(なお、これとは異なる分けられ方をする場合もある)。
さらに、人間の身体を表す言葉に「五臓六腑」というものがあるが、この「五臓」というのは心臓、肝臓、肺臓、腎臓、膵臓の5つの内蔵のことを指している。「六腑」とは、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦を指しているが、関係臓器がない三焦を外して「五腑」とすることもある。
「五体」と呼ばれるものには、いろいろな解釈があり、東洋医学では、筋、脈、肉、骨、毛(または皮)、漢方では、筋、血脈、肌肉、骨、皮、さらに、頭・首・胸・手・足、若しくは両手・両足・頭、のことを指している場合もある。
人間を含む多くの哺乳類は、手足の片側に5本の指を有している。なぜ、5本の指を有するようになったのかについては、進化の結果とされるが、あまり明らかではないようだ。ただし、このことが、人間の体や感覚を表す言葉に、「5」という数字がよく使われていることと関係していると推測することは自然なことと思われる。
なお、人間の両方の指が10本であること(両手・両足の指の合計が20本であること)が、数字の位取り記数法について10進法(時には、20進法)が普及してきたことと関係しているとの説明はほぼ納得がいくものだと思われる。このあたりの位取り記数法に関する詳しい内容については、別途の研究員の眼で報告することにし、ここではこれ以上は触れない。
五行思想
「五行思想(ごぎょうしそう)」又は「五行説(ごぎょうせつ)」というのは、古代中国に端を発する自然哲学の思想で、万物は火・水・木・金・土の5種類の元素からなるという説である1。西洋の四大元素説(四元素説)と比較される思想となっている。
なお、「陰陽説」(天地万物は全て陰と陽から成り立っており、それぞれが消長を繰り返すという思想)と「五行説」が結びついて、気の5つの様態を表すようになったものが「陰陽五行説」と呼ばれている考え方である。
1 なお、漢数字の「五」は、指事文字で、上下の2つの棒が天と地を表し、交差する棒は天地に作用する5つの元素(火・水・木・金・土)を表している、と言われている。
なお、「陰陽説」(天地万物は全て陰と陽から成り立っており、それぞれが消長を繰り返すという思想)と「五行説」が結びついて、気の5つの様態を表すようになったものが「陰陽五行説」と呼ばれている考え方である。
1 なお、漢数字の「五」は、指事文字で、上下の2つの棒が天と地を表し、交差する棒は天地に作用する5つの元素(火・水・木・金・土)を表している、と言われている。
五輪
「五輪」というのは、仏教で万物を構成するとされる「地・水・火・風・空」(五大)のことを指している。「五輪塔」というのは、下から、方形の地輪、円形の水輪、三角の火輪、半月型の風輪、団形の空輪からなるもので、先祖代々の墓等の各所にみられる。また、法隆寺等で有名な「五重塔」も、下から、地(基礎)、水(塔身)、火(笠)、風(請花)、空(宝珠)からなるもので、それぞれが5つの世界(五大思想)を示し、仏教的な宇宙観を表している。
なお、「五輪」と言えば、日本ではオリンピックのことを指しているが、これはオリンピックの5本の輪の紋章に因んでいる。ただし、これは日本独自の翻訳語であり、他の漢字圏国を含めて、世界では通用しない。例えば、オリンピック(競技会)は、中国語で「奥林匹克運動会」と表記される。因みに、「五輪」の名称は、2019年2月に、IOCにより、日本国内において商標登録されている。
なお、「五輪」と言えば、日本ではオリンピックのことを指しているが、これはオリンピックの5本の輪の紋章に因んでいる。ただし、これは日本独自の翻訳語であり、他の漢字圏国を含めて、世界では通用しない。例えば、オリンピック(競技会)は、中国語で「奥林匹克運動会」と表記される。因みに、「五輪」の名称は、2019年2月に、IOCにより、日本国内において商標登録されている。
楽譜は五線譜

古代ギリシアの時代には、楽譜は文字と記号だけで表されていた。
キリスト教の聖歌に関して、9世紀には音の上がり下がりを直線や曲線で表した「ネウマ」と呼ばれる記譜法が使用されていたが、その後、音の高低を正確に表すためにまずは1本の横線が引かれるようになり、さらに本数が増えていき、13世紀には4本の譜線が引かれる形が定着していったようである。4本の譜線は人間の声域をほぼカバーしていた。
15世紀から16世紀にかけては、鍵盤楽器のために5本の譜線による記譜法が少しずつ普及していった。必要に応じて等の観点から、6本や7本、さらには10本以上の線が書かれることもあったようだが、あまりにも線が多いと、人間の判別が困難になってしまうことになる。
楽譜の線が5本に落ち着いたのは、17世紀に入ってからで、イタリアのオペラ界で音楽による楽譜の違いを統一し、煩雑さを無くそうとする動きが出てから、とのことのようである。五線譜では、一番上の線の上や一番下の線の下に接して音符を置くことで11の異なる音を表すことができるが、これは 1オクターブの音(ドから高いドまで)を含んでおり、人間の声域もカバーしている。さらには、オルガンやチェンバロといった当時の中心的な鍵盤楽器に適したものになっていた。五線譜が選択されたのは、このように最低限要求されるニーズを満たしており、加えて5本の線が人間の判別が可能な範囲にあったことから、様々な音楽を表記するのには最も適した数であったということが、理由に挙げられるものと推測される。こうして、オペラ先進国のイタリアから世界に五線譜が広まっていった、とのことである。
現在、五線からはみ出る音に関しては、加線という短い線を記入して、音符を書いている。
日本の小中学校の成績評価は5段階方式
小中学校の通信簿の評価が5段階で行われており、「5」が最上位の評価になっていたので、「5」という数字に特別な感情(?)を抱いている方も少なからずいらっしゃるかもしれない。
会社の人事評価等においても、同一の評価対象のグループを5つに区分したりすることも行われているようだ。
5段階で区分する場合には、各区分に、例えば全体の10%、20%、40%、20%、10%を配分するというようなことが行われることになる。
会社の人事評価等においても、同一の評価対象のグループを5つに区分したりすることも行われているようだ。
5段階で区分する場合には、各区分に、例えば全体の10%、20%、40%、20%、10%を配分するというようなことが行われることになる。
高校の成績評価は10段階方式
一方で、多くの高校では、より詳細な評価が行われ、10段階評価が行われているようだ。日本人は平均的な評価を行う傾向があると思われるが、5段階評価の場合、「3」が丁度真ん中に位置していて、いかにも平均的な評価と言うことになるが、10段階評価の場合、丁度中央に相当する値がなく、中央値は5と6の平均値ということになってしまう。この場合、5と6ではちょっと異なるイメージを有することになってしまうかもしれない。
その意味では、小中学校の場合には、5段階評価が適しており、高校からはより差別化された10段階評価が適しているということなのかもしれない。なお、高校での10段階評価を5段階評価に換算する場合には、「5と6を3とする」、「4、5、6を3とする」さらには「3、4、5を3とする」というような方式が採用されているようだ。単純に考えれば、最初の方式が最も合理的な印象を受けるが、実際には低い評価を行うことに対する消極的なスタンス等も反映されて、結構2番目や3番目の方式が採用されているようだ。
その意味では、小中学校の場合には、5段階評価が適しており、高校からはより差別化された10段階評価が適しているということなのかもしれない。なお、高校での10段階評価を5段階評価に換算する場合には、「5と6を3とする」、「4、5、6を3とする」さらには「3、4、5を3とする」というような方式が採用されているようだ。単純に考えれば、最初の方式が最も合理的な印象を受けるが、実際には低い評価を行うことに対する消極的なスタンス等も反映されて、結構2番目や3番目の方式が採用されているようだ。
会社等の中長期計画は5年が多い
会社等が経営の中長期計画を策定する場合には、5年程度で行われることが多い。10年では長すぎるし、3年では少し短いということもあり、一定の方向性を目指して実行する期間としては「5年」が適当と考えられているようだ。
国勢調査は5年毎
日本の国勢調査は5年毎に行われる。
国や自治体における各種施策の実施のためには、例えば毎年等の適時の把握が望まれるが、一方で現在の調査方法では、その実施に時間やコストがかかることから、大正9年(1920年)の第1回調査から5年毎に実施されてきている。変化の激しい時代に、デジタル化が進行してきて、将来的にはさらに短期間での実施も可能になるかもしれないが、過去との継続性の問題や5年毎の方が変化の大きな流れを把握しやすいというメリットもあるかもしれない。
国や自治体における各種施策の実施のためには、例えば毎年等の適時の把握が望まれるが、一方で現在の調査方法では、その実施に時間やコストがかかることから、大正9年(1920年)の第1回調査から5年毎に実施されてきている。変化の激しい時代に、デジタル化が進行してきて、将来的にはさらに短期間での実施も可能になるかもしれないが、過去との継続性の問題や5年毎の方が変化の大きな流れを把握しやすいというメリットもあるかもしれない。
五角形、五芒星
「五角形」については、以前の研究員の眼「黄金比φについて(その1)-黄金比とはどのようなものなのか-」(2020.11.10)において、正五角形が黄金比と深く関連していることや「五芒星(ごぼうせい)」について紹介した。
以下の図の「五芒星(ごぼうせい)」(あるいは「ペンタグラム(pentagram)」)は、5つの角を持つ星型正多角形で、互いに交差する長さの等しい5本の線分で構成され、中心に五角形が現れる図形となっている。美しい図形として、歴史的にも、また現代のデザイン等でもよく使用されており、例えば、米国の国旗である星条旗等の国旗にも五芒星が見られる。また、五芒星は、世界中で魔術や錬金術の象徴的な記号とされ、強い魔除けの力を持つモチーフとして知られている。
以下の図の「五芒星(ごぼうせい)」(あるいは「ペンタグラム(pentagram)」)は、5つの角を持つ星型正多角形で、互いに交差する長さの等しい5本の線分で構成され、中心に五角形が現れる図形となっている。美しい図形として、歴史的にも、また現代のデザイン等でもよく使用されており、例えば、米国の国旗である星条旗等の国旗にも五芒星が見られる。また、五芒星は、世界中で魔術や錬金術の象徴的な記号とされ、強い魔除けの力を持つモチーフとして知られている。
五角形は、辺の数と対角線の数が等しい唯一の多角形となっており、このことも五角形が特別視される背景になっているものと考えられている。
正多面体は5種類のみ
以前の研究員の眼「サッカーボールは球形なのか-馴染み深い白黒のサッカーボールは、切頂二十面体と呼ばれるものがベースだってこと知っていましたか-」(2018.6.11)で紹介したように、「正多面体(regular polyhedron)」2には、以下の5種類しか存在しない。
正四面体(牛乳パック等に使用されていた形)
正六面体(いわゆるサイコロ型である)
正八面体(8枚の正三角形で構成される)
正十二面体(12枚の正五角形で構成される)
正二十面体(20枚の正三角形で構成される)
2 「正多面体」とは、全ての面が合同な正多角形からなり、各頂点に集まる辺の数が全て等しい多面体。ギリシアの哲学者プラトンに因んで、「プラトンの立体」とも呼ばれる。
正四面体(牛乳パック等に使用されていた形)
正六面体(いわゆるサイコロ型である)
正八面体(8枚の正三角形で構成される)
正十二面体(12枚の正五角形で構成される)
正二十面体(20枚の正三角形で構成される)
2 「正多面体」とは、全ての面が合同な正多角形からなり、各頂点に集まる辺の数が全て等しい多面体。ギリシアの哲学者プラトンに因んで、「プラトンの立体」とも呼ばれる。
ユークリッドの「原論」に定められた公準は5つ
有名なユークリッドの「原論(Elements)」は、以下の5つの公準と9つの公理を定めている。
公準 1:任意の2点が与えられたとき、それらの2つの点を結ぶ線分を引くことができる。
公準 2:与えられた線分は、いずれの側にも、どこまでも延長できる。
公準 3:与えられ任意の点に対し、その点を中心として任意の半径の円を描くことができる。
公準 4:全ての直角は互いに等しい。
公準 5:ある直線が他の2直線と交わるとき、その直線に隣接する内角の和が180°未満ならば、この2直線は限りなく延長された時、どこかで交わる(いわゆる「平行線公準」と呼ばれるもので、これは「三角形の内角の和は180°である」と言い換えることもできる)3。
3 この「第5公準」が成り立たないとして成立する幾何学が「非ユークリッド幾何学」と呼ばれるものである。
公準 1:任意の2点が与えられたとき、それらの2つの点を結ぶ線分を引くことができる。
公準 2:与えられた線分は、いずれの側にも、どこまでも延長できる。
公準 3:与えられ任意の点に対し、その点を中心として任意の半径の円を描くことができる。
公準 4:全ての直角は互いに等しい。
公準 5:ある直線が他の2直線と交わるとき、その直線に隣接する内角の和が180°未満ならば、この2直線は限りなく延長された時、どこかで交わる(いわゆる「平行線公準」と呼ばれるもので、これは「三角形の内角の和は180°である」と言い換えることもできる)3。
3 この「第5公準」が成り立たないとして成立する幾何学が「非ユークリッド幾何学」と呼ばれるものである。
(2023年01月05日「研究員の眼」)
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