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- 2020年に日経平均株価がTOPIXより大幅に上昇した要因
2021年08月13日
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1――2020年は日経平均株価がTOPIXより大幅に上昇
2――2020年日経平均株価に組入れられた銘柄の大半は騰落率がマイナス
3――日経平均株価の上昇の要因は少数の特定個別銘柄
4――2021年の日経平均株価の騰落率
このように2020年は特に好調であった日経平均株価ではあるが、2021年に入ってから冴えない展開が続いている。21年7月末までの年初来騰落率は、日経平均株価が▲0.6%であり、TOPIXの5.3%より劣後している。NT倍率を見ても2021年初の15.2倍から7月末には14.4倍にまで低下してきている【図表1】。
これは2020年寄与度ランキング上位10銘柄が2020年に高騰した反動もあって、2021年に入ってから10銘柄の中8銘柄は下落し、日経平均株価に対してもマイナス寄与となっていることが影響している【図表6】。寄与度1位の東京エレクトロンや3位のアドバンテストなど引き続きプラスに寄与している銘柄もあるが、2020年は寄与度が1位だったファストリは1銘柄で668円も日経平均株価を引き下げている。2020年に寄与度が1位と2位であったファストリとSBGが2021年は寄与度が225位、224位と逆に最下位に沈んでいる。この10銘柄の寄与度の合計をみても▲1151円で、同期間の日経平均株価の低下幅(▲160.58円)よりはるかに大きい。2021年は一転して2020年に寄与度上位であった銘柄が日経平均株価を押し下げているため、日経平均株価も重たい展開が続いているといえよう。
これは2020年寄与度ランキング上位10銘柄が2020年に高騰した反動もあって、2021年に入ってから10銘柄の中8銘柄は下落し、日経平均株価に対してもマイナス寄与となっていることが影響している【図表6】。寄与度1位の東京エレクトロンや3位のアドバンテストなど引き続きプラスに寄与している銘柄もあるが、2020年は寄与度が1位だったファストリは1銘柄で668円も日経平均株価を引き下げている。2020年に寄与度が1位と2位であったファストリとSBGが2021年は寄与度が225位、224位と逆に最下位に沈んでいる。この10銘柄の寄与度の合計をみても▲1151円で、同期間の日経平均株価の低下幅(▲160.58円)よりはるかに大きい。2021年は一転して2020年に寄与度上位であった銘柄が日経平均株価を押し下げているため、日経平均株価も重たい展開が続いているといえよう。
5――最後に
以上のことから、日経平均株価は時価総額加重平均で算出されたTOPIXと違い、株価平均型株価指数であり、株価が高く組入れ比率が大きい極少数の個別銘柄、つまり値嵩株の影響を大きく受けることが分かる。そのため、短期的にはTOPIXに比べて相対的に変動幅が大きい傾向にあり、コロナ後の状況を説明すると日経平均株価はTOPIX対比で2020年に大きく上昇し、その一方で2021年は冴えない展開が続いているといえよう。
しかしながら、本稿の趣旨としては単純にどちらが良いかを比較するものではなく、日経平均株価とTOPIXの特徴や違いを理解してもらいたいというものである。各種投資のパフォーマンスは短期間での推移で判断すべきでなく、各投資の優劣判断等については、長期的なパフォーマンスや今後の金融市場の動向等の分析が重要である点は強調しておきたい。
しかしながら、本稿の趣旨としては単純にどちらが良いかを比較するものではなく、日経平均株価とTOPIXの特徴や違いを理解してもらいたいというものである。各種投資のパフォーマンスは短期間での推移で判断すべきでなく、各投資の優劣判断等については、長期的なパフォーマンスや今後の金融市場の動向等の分析が重要である点は強調しておきたい。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年08月13日「基礎研レター」)
金融研究部
熊 紫云
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