2025年01月22日

日本の株式インデックスは長期投資に向いているのか~なぜ海外の主要な株式インデックスは上昇してきたのか

金融研究部 研究員 熊 紫云

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■要旨
 
  • 老後資金など資産形成の手段として、新NISAやiDeCoを活用し、成長が期待できる株式インデックスへの長期投資が有効と考えている。このレポートでは、これらの株式インデックスが長期投資に向いているのかを判断する際に役に立つ考え方の一つとして、PER(株価収益率)とEPS(一株当たり純利益)に着目した分析手法を紹介する。
     
  • 過去データに基づくと、海外の株式インデックス(S&P500、MSCIコクサイ、MSCI ACWI)は過去35年間、企業利益(EPS)の成長に連動して株価が上昇してきたので、長期投資に向いている。一方、日本の株式インデックス(TOPIX、日経平均株価)はバブル崩壊後、長期間低迷していた。しかし、日本の株式インデックスも2013年アベノミクス以降、企業利益の向上と連動して上昇しており、実のところ海外の株式インデックスと同程度の上昇となっている。
     
  • 株式インデックスへの長期投資は、インデックスを構成する企業の長期的な利益成長に伴い、株価の上昇を期待する投資手法である。したがって、今後着実な経済成長が見込まれる先進国等の株式インデックスであれば、その国・地域を代表する企業の利益拡大に伴って長期的な上昇が期待できる。

    これまで、筆者は米国や先進国の株式インデックスへの長期投資が良いと言ってきたが、日本の株式インデックスも政府等による各種改革や提言を踏まえ、日本企業が「資本コストや株価を意識した経営」に取り組むなど、中長期的な企業価値向上を推進していることから、今後、日本の株式インデックスも長期投資の有力な選択肢の一つとなると考えている。


■目次

はじめに
1――主要な株式インデックスの過去推移
2――株式インデックスをPERとEPSで説明する
  1|S&P500
  2|TOPIX
3――まとめ

(2025年01月22日「基礎研レポート」)

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金融研究部   研究員

熊 紫云 (ゆう しうん)

研究・専門分野
資産運用・資産形成

経歴
  • 【職歴】
     2020年   日本生命保険相互会社入社
     2021年4月 ニッセイ基礎研究所へ

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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