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2025年10月30日

試練の5年に踏み出す中国(後編)-「第15次五カ年計画」建議にみる、中国のこれからの針路

経済研究部 主任研究員 三浦 祐介

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■要旨

2025年10月に開催された中国共産党第20期中央委員会第4回全体会議(四中全会)では、第15次五カ年計画(2026~2030年)の基本方針が示された。「市場と政府」「安全と発展」「成長と分配」を両立する姿勢に大きな変化はないものの、政府機能の是正や対外開放に一層の重点が置かれる可能性がある。目下の課題である不動産不況については具体的な新方針は示されず、都市再開発などを通じた緩やかな改善を目指すとみられる。過当競争への対応では、地方政府の保護主義的な行動を是正するため「全国統一大市場」の整備が重視される見通しだ。米中摩擦については、対立の長期化を見据え、ハイテク分野の自立強化や国際的影響力の拡大を図る姿勢が示された。今後の成長を展望すると、経済対策と計画に沿った改革が進めば、2035年の「中等先進国」入りが現実味を帯びる一方、持続可能な発展には格差是正など質の向上が欠かせない。

■目次

1――はじめに
2――政策の重心は従来から大きく変わらない見込み
  1|市場と政府
  2|安全と発展
  3|成長と分配
3――目下の経済課題からみる「第15次五カ年計画」の主なポイント
  1|内需不振と過当競争
   :不動産不況対策は示されず、制度整備など時間を要する対策が中心
  2|米中摩擦
   :ハイテク強化で持久戦の備えを固めつつ、米国の内向き志向に乗じて国際的影響力を拡大
4――コミュニケを踏まえた2035年までの成長展望
  1|2025年:「+5%前後」の成長率目標は達成へ
  2|2026年~30年
   :自律的回復力を欠いた状態が続くなか、下支え継続でソフトランディングを目指す
  3|2026年~35年
   :中等先進国入り目標は達成できるか。重要なのは、やはり量より質

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年10月30日「基礎研レター」)

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経済研究部   主任研究員

三浦 祐介 (みうら ゆうすけ)

研究・専門分野
中国経済

経歴
  • 【職歴】
     ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
     ・2009年:同 アジア調査部中国室
     (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
     ・2020年:同 人事部
     ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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