2024年07月30日

内憂外患のなか開催された中国「三中全会」-3つの観点から読み解く習政権の経済改革の行方

経済研究部 主任研究員 三浦 祐介

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■要旨

2024年7月15日から18日まで、中国共産党第20期中央委員会第3回全体会議(「三中全会」)が開催され、経済政策と改革の方向性が議論された。習政権発足後の経済運営の大まかな推移も振り返りつつ、「市場と政府」、「安全と発展」、「成長と分配」の3つの観点から、今後の改革や政権運営の方向性を考察した。2012年に習政権が発足した当初は、「市場、発展、成長」寄りの姿勢が強かったが、その後、様々な情勢変化や習氏への権力集中の過程で「政府、安全、分配」の方向へと修正が進んでいることが、今回の三中全会の結果からはうかがえる。党による統制や内外の安全保障への対策強化と福祉や再分配の強化により、求心力を強めようとしているものと推察されるが、改革の道のりは決して平たんではない。中国経済の持続的な発展に必要な改革が具体的にどのように進捗し、成果として表れていくか、今後動向を評価していく必要がある。

■目次

1――経済の先行き不透明感が強まる中、中国共産党の重要会議「三中全会」が開催
2――2013年始動の「改革の全面的深化」継続が謳われるも、「改革」の意味合いは変化
  1|市場と政府:強調されなくなった市場の「決定的な」役割
  2|発展と安全:安全保障を「より突出した」位置づけに
  3|成長と分配:成長一辺倒からの基調変化は不変
3――「2029年」の改革達成はなるか:重要なのは形式より実質

(2024年07月30日「基礎研レター」)

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経済研究部   主任研究員

三浦 祐介 (みうら ゆうすけ)

研究・専門分野
中国経済

経歴
  • 【職歴】
     ・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
     ・2009年:同 アジア調査部中国室
     (2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
     ・2020年:同 人事部
     ・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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