- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 中国経済 >
- 中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済
2024年07月24日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
■要旨
- 2024年4~6月期の実質GDP成長率は、前年同期比+4.7%と、前期(24年1~3月期)の+5.3%から伸びが減速した(下左図)。季節調整後の前期比も+0.7%と、前期(同+1.5%)から減速している。1~6月累計では前年同期比+5.0%となり、今年の成長率目標である「+5%前後」に対して、まだ目標の達成圏内にある。もっとも、成長の中身をみると、外需や政策支援の効果によるところが依然として大きい。
- 成長率の需要項目別寄与度を見ると、最終消費は+2.2%PTと、前期の+3.9%PTから低下しており、個人消費の勢いは弱まっている。総資本形成は、+1.9%PTと、前期の+0.6%PTから高まった。固定資産投資の実質の伸びは減速しており、在庫投資が押し上げに寄与した可能性がある。純輸出の寄与度は、+0.6%PTと、前期の+0.8%PTからプラス幅が小幅に縮小した。
- 産業動向を見ると(下右表)、「製造業」が同+6.2%と、前期(同+6.4%)からの減速が小幅にとどまった一方、第3次産業では、「不動産業」が5四半期連続でマイナス成長となっているほか、「卸小売業」・「宿泊飲食業」、「金融業」など、主な業種で軒並み減速している。前期に続き、「製造業」主導の景気となっていることがうかがえる。
- 総じて、不動産不況の出口は依然としてみえず、安定した内需の要である個人消費も力強さを欠いたままの状況にある。このため、今後については、政策支援の効果の持続性や不動産不況の先行きに引き続き注目する必要がある。また、春先以降欧米諸国との間で激しくなりつつある貿易摩擦も、目下の中国経済を支える堅調な輸出の押し下げとなる恐れがあり、中国にとっては不安な状況が続くことになるだろう。
(2024年07月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ

03-3512-1787
経歴
- 【職歴】
・2006年:みずほ総合研究所(現みずほリサーチ&テクノロジーズ)入社
・2009年:同 アジア調査部中国室
(2010~2011年:北京語言大学留学、2016~2018年:みずほ銀行(中国)有限公司出向)
・2020年:同 人事部
・2023年:ニッセイ基礎研究所入社
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
三浦 祐介のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2025/08/22 | 中国:2025~26年の経済見通し-25年「+5%前後」成長は可能だが、年後半は減速感が強まる見込み | 三浦 祐介 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/08/07 | 5%成長の割には冴えない中国経済-米中摩擦・不動産不況・デフレ圧力-好調の裏でくすぶる3つの不安 | 三浦 祐介 | 基礎研レター |
2025/07/24 | 中国:25年4~6月期GDPの評価-夏霧が立ち込める中国経済。堅調な成長率とは裏腹に懸念材料は山積 | 三浦 祐介 | Weekly エコノミスト・レター |
2025/07/09 | バランスシート調整の日中比較(後編)-不良債権処理で後手に回った日本と先手を打ってきた中国 | 三浦 祐介 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年08月28日
東証の上場維持基準の適用が本格化~基準未達企業の対応状況~ -
2025年08月28日
増え行く単身世帯と消費市場への影響(3)-食生活と住生活の特徴 -
2025年08月27日
Z世代にとってサステナビリティは本当に「意識高い系」なのか-若年層の「利他性」をめぐるジレンマと、その突破口の分析 -
2025年08月27日
相次ぐ有料老人ホームの不適切な事案、その対策は?(上)-医療的ニーズの高い人の支援が不十分な点など背景を探る -
2025年08月27日
探索的空間解析でみる日本人旅行客の「ホットスポット」とその特色~旅行需要の集積が認められた自治体の数は、全国で「105」~
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済の現状と注目点-好調は持続せず、不動産不況と貿易摩擦で弱り目に祟り目の中国経済のレポート Topへ