コラム
2025年10月20日

縮小を続ける夫婦の年齢差-平均3歳差は「第二次世界大戦直後」という事実

生活研究部   人口動態シニアリサーチャー

天野 馨南子 (あまの かなこ)

研究・専門分野
人口動態に関する諸問題-(特に)少子化対策・東京一極集中・女性活躍推進

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■要旨

日本の少子化(出生大幅減)の主因は婚姻減(未婚化)である。
 
結婚に関して、筆者は2020年から全国の都道府県の結婚支援者(自治体センター、結婚相談所、支援団体)を主なメンバーとする研究会を主宰し、いわゆる「婚活」の実態を研究し続けてきた。
 
結婚に関する誤解が未だに多く見られるのは「結婚年齢」に関してである。
 
夫婦の年齢差に関しては、年々縮小して僅差となっているにも関わらず、男性上位婚に対する社会のイメージがあまりに強すぎるため、実態とかけ離れたイメージで活動を続ける、支援する者が後を絶たない。
 
本レポートを通してマッチングの実態を正確に把握することで、1人でも多くの結婚希望者がパートナー獲得の希望を叶え、また、統計的に有意性の高いライフデザイン支援が社会で拡大することを期待したい。

■目次

【結婚年齢は誤解の温床】
【年齢差また縮小へ】
【若い女性は登録しているのかモラハラ】
【アンコンシャスバイアスに注意】
 

【結婚年齢は誤解の温床】

【結婚年齢は誤解の温床】

筆者は日本の出生減の主因が婚姻減にあるという統計的実態に着眼して、2016年から未婚化を取り巻く様々なデータ検証を行ってきた。また、婚姻実態に関するデータ講演会も全国各地で実施してきたが、結婚年齢に関する誤解がいまだに後を絶たない。

その中でも、特に30代以上の年齢層で多発している誤解の1つが、夫婦の年齢差に関する誤解である。結論から先にいうと、一般的なイメージ以上に夫婦の年齢差はとても小さいのである。

【年齢差また縮小へ】

【年齢差また縮小へ】

2024年の婚姻統計を参照すると、結婚の76%を占める初婚同士の結婚の平均年齢差はわずか1.4歳である。2010年から2019年までは1.7歳で推移していたが、2020年から2022年に1.5歳に縮小し、さらに2023年に1.4歳に縮小、2024年も引き続き1.4歳となり、年齢差の縮小トレンドがよりはっきりとしてきている(図表1)。

また、初婚同士カップルに比べると上の年齢層の男女の組み合わせ傾向となる再婚者も含めた全婚姻の平均年齢差も、四半世紀にわたり2.0歳以上2.5歳未満を続けてきたが、2024年には1.9歳差と初めて2歳差を切る状態となった。

結婚支援の現場ではアンコンシャスに「男性上位婚」発想の中高年支援者や活動者が少なくない中で、実態は上位婚時代から『平行婚』(筆者造語)時代へと確実に移行している。

それにもかかわらず、SNS等ではいまだに「男性と女性は年齢の価値が違う(はず)」という意見が散見されている。どこの誰の意見の転用かは不明だが「海外では、女性と異なり男性はワインのように熟成したほうがいい」といった投稿も見られてほとほと困っていると、筆者に連絡してきた結婚支援の現場関係者もいる。

このような実態と乖離した思い込みに基づくSNS上の「お気持ち表明」が、結婚希望がありつつも結婚に至らず不安になっている男女の結婚相手探しをさらに迷走させる傾向にあり、結婚年齢に関しては特に正確なデータをしっかり把握してから行動するという姿勢が、日本における未婚化解消のために必要不可欠となっているといえるだろう。
図表1:夫婦の平均年齢差の推移 1970年~2024年(歳)

【若い女性は登録しているのかモラハラ】

【若い女性は登録しているのかモラハラ】

結婚相談所や自治体の結婚支援センターに中高年男性から「子どもが産める20代女性は登録しているのか」「なぜ若い女性とマッチングさせないのか」といった問い合わせやクレームが定期的にあると聞く。これらの発言が実現可能性の非常に高いものであればまだ構わないのかもしれないが、統計的実態からは乖離しすぎたモラハラ発言となっている。なぜなら、100年以上前の1899年(明治32年)からの国の統計を確認してみても、夫婦の平均年齢差が5歳以上となったことは1度もない。また、初婚同士の結婚で平均年齢差が3歳以上あったのは、1949年(第二次世界大戦直後の時代)までである。

つまり38歳の男性が5歳年下の33歳の女性(32歳の男性の場合は27歳の女性)と当然のように結婚できるわけがなく、また、38歳の男性が35歳の3歳年下女性と結婚することも発生割合から考えれば難しい(32歳の男性であれば29歳の女性との結婚)。再婚者を含む全婚姻平均でも、平均年齢差が3歳以上あったのは1971年までとなっている。平均3歳差は、現在団塊ジュニアである50代前半男女よりも上の男女の「親世代までの話」(今の若者の祖父母世代)である。

初婚同士の結婚(2024年)において、男女どちらかが上の1歳差までの結婚が全体の48.2%と半数を占め、3歳差までの結婚で7割超となる。同じ時期に中学生時代を過ごしている、または高校生時代を過ごしているような男女が成婚しやすい、というとイメージしやすいのではないだろうか。

【アンコンシャスバイアスに注意】

【アンコンシャスバイアスに注意】

結婚年齢に関する相談を結婚支援の現場の方々からうかがっていると、そこにはアンコンシャスバイアスの中でも「確証バイアス」が非常に強い世界であることが見えてくる。

わかりやすくいうと「人は見たいように物事を見る」生き物なのである。そして年齢が上昇するにつれて、自らの周囲に既婚者が増え、特に30代に入ると選べる相手が急減し、若かりし頃のように合コンや飲み会の誘いも減ってくる。こうなると、確証バイアスに加えて正常性バイアスが発動し始める。こちらもわかりやすくいうと、「不安を払しょくするために都合のいい情報だけを信じ込む」行動である。

これらのバイアス行動は結婚を希望する本人もそうであるが、その親世代も同様で、自治体センターに「せっかく登録したのに、なぜうちの息子に20代の女性を紹介できないのか」とどなりこむ母親もいるという。その息子というのが40代で、センター職員が対応に苦慮した、というのもつい最近の話である。

結婚に関して正確なエビデンスを求め、情報のソースをしっかりたどる習慣が日本人にもっと身につけば、もしかすると日本の未婚化はもう少し軽減されるのかもしれない。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年10月20日「研究員の眼」)

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