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株式インデックス投資において割高・割安は気にするべきか-長期投資における判断基準について考える
金融研究部 熊 紫云
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株式インデックス投資においては、できるだけ割安のときに購入し、割高のときには購入を避けたいと考えるのは自然である。株式投資では「高いか安いか」を判断するために、PBR、PERといった投資指標がよく使われている。このレポートでは、これらの指標を紹介する。毎月もしくは毎年、一定金額を継続的に投資するような長期個人投資家が、短期的な割高・割安を考慮することで、どの程度パフォーマンスに影響するかを検証した。
S&P500とTOPIXの過去20年間の各月末時点のPBR・PER・リスクプレミアムを分析し、「割高」「中間」「割安」に分類した。それぞれの株価が1か月後、2か月後、3か月後に、プラスの平均リターンを得られるかどうかを検証した結果、割高・割安のいずれの場合でも平均リターンはプラスであり、割高の判断があまり有効でない一方、割安の判断は、ある程度は有効であることがわかった。
この分析結果に立つと、老後資金を形成する等を目的とした長期的な資産形成においては、まだ投資を始めて間もない人や、長期的な上昇トレンドがある株式インデックスへ積立投資を行う人は、「割高のときは株価が下落し、割安のときは株価が上昇する可能性が高い」と都度判断して、割高だから積立投資を途中で中断したり、積立してきた資産を売却したりすると、長期的上昇トレンドの恩恵を受けられず、結局、資産形成の機会を逃し、長期的な資産形成が順調に進まない可能性が高い。
従って、資産形成という長期的な視点に立つと、短期的な割高・割安判断を過度に気にするよりも、適切な株式インデックスに長期的に投資を継続して値上がりを待つ方が有効ではないかと考えている。新NISAなどの税制優遇制度を積極的に活用し、今すぐにでも中長期的に高いリターンが期待できるS&P500などの株式インデックスへの投資をスタートしてみてはどうだろうか。
■目次
はじめに
1――株価の割高・割安を測る代表的な指標
1|PBR(Price Book-value Ratio、株価純資産倍率)
2|PER(Price Earnings Ratio、株価収益率)
3|益利回り(Earnings Yield、PERの逆数)
4|リスクプレミアム(Risk Premium、益利回り - リスクフリーレート)
2――代表的な指標の有効性の検証
3――まとめ
(2025年03月14日「基礎研レポート」)
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