2021年07月12日

企業物価指数(2021年6月)―原油価格の上昇を背景に高い伸びが継続

経済研究部 研究員   藤原 光汰

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1.高い伸びが継続

7月12日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、21年6月の国内企業物価は前年比5.0%(5月:同5.1%)と4ヵ月連続の前年比プラスとなった。また、事前の市場予想(QUICK集計:前年比4.7%、当社予想は同5.1%)を上回る結果となった。

世界経済の回復を背景に国際商品市況が堅調に推移していることに加え、前年同月に新型コロナウイルスの影響で下落していた(前年比▲1.6%、消費増税の影響を除くと同▲3.2%)反動が出たため、国内企業物価上昇率は前月に続き高い伸びとなった。内訳をみると、原油価格の上昇により石油・石炭製品が前年比42.0%(5月:同53.6%)と4ヵ月連続のプラスとなったほか、経済活動の持ち直しに伴い銅の国際価格が高値をつけていることを受けて、非鉄金属は前年比37.6%(5月:同42.2%)の高い伸びとなった。

国内企業物価は前月比では0.6%(5月:同0.8%)と7ヵ月連続の上昇となった。前月比で内訳をみると、原油高に伴いガソリン(5月:前月比1.5%→6月:同3.1%)、灯油(5月:前月比2.6%→6月:同4.9%)、軽油(5月:前月比2.8%→6月:同4.9%)などの上昇幅が前月より拡大したことを受けて、石油・石炭製品が前月比3.0%(5月:同1.3%)と前月から伸びを高めたほか、電力・都市ガス・水道が前月比1.0%(5月:同2.7%)となった。また、木材価格の高騰を受けて木材・木製品が前月比6.3%(5月:同5.8%)と前月に続き高い伸びとなったほか、世界経済の回復を背景に鉄鋼が前月比1.5%(5月:同1.4%)と9ヵ月連続のプラスとなった。一方、銅価格の上昇が一服したことを受けて、非鉄金属が前月比▲0.5%(5月:同5.5%)と1年2ヵ月ぶりのマイナスとなった。
国内企業物価指数(前年比・前月比)の推移/国内企業物価指数の前年比寄与度分解

2.輸入物価(前月比)は8ヵ月連続のプラス

21年6月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比1.7%(5月:同2.4%)と8ヵ月連続のプラスとなった。また、21年6月の円相場(対ドル)は前月比0.9%の円安水準となったため、円ベースでは前月比2.3%(5月:同2.5%)と契約通貨ベースを上回る伸びとなった。
輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 契約通貨ベースで輸入物価の内訳をみると、原油(前月比5.5%)、液化天然ガス(同6.3%)が上昇したことを受けて、石油・石炭・天然ガスが同4.5%(5月:同0.9%)と8ヵ月連続のプラスとなったほか、金属・同製品が同1.1%(5月:同10.3%)となった。また、木材価格の高騰により木材・木製品・林産物は前月比5.4%(5月:同5.7%)と高い伸びが継続した。そのほか、化学製品(同1.2%)や電気・電子機器(同0.2%)、飲食料品・食料用農水産物(同1.1%)など多くの項目でプラス寄与となった。

3.川上から川下への価格転嫁が進む

需要段階別指数の推移 21年6月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比49.8%(5月:同46.4%)、中間財が前年比8.9%(5月:同8.6%)、最終財が前年比2.8%(5月:同2.8%)となり、すべての需要段階で前月に続き高い伸びとなった。前年(20年)同月に新型コロナウイルス感染拡大によって大きく落ち込んだ反動で上振れしやすくなっているものの、前々年(19年)6月と比較しても、素原材料、中間財、最終財は10.3%、3.5%、0.3%と、すべての需要段階でコロナ前の水準を上回っており、川上から川下への価格転嫁が緩やかに進んでいる。

また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比3.3%(5月:同3.4%)と高い伸びとなっている(前々年比では0.0%)。

新型コロナウイルスの感染拡大は続いているが、ワクチン普及等により世界的に経済活動が正常化に向かっていることや、OPECプラスの会合中止を受けて先行きの原油相場も高値圏で推移するとみられることから、国内企業物価は7月以降も前年比4%台後半の高い伸びが継続するだろう。
 
 

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経済研究部   研究員

藤原 光汰 (ふじわら こうた)

研究・専門分野
日本経済

(2021年07月12日「経済・金融フラッシュ」)

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