- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 企業物価指数(2021年8月)―上昇率は高水準も、前月から0.1ポイント縮小
2021年09月13日
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
1.上昇率は前月から0.1ポイント縮小
9月13日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、21年8月の国内企業物価は前年比5.5%(7月:同5.6%)と6ヵ月連続の前年比プラスとなった。事前の市場予想(QUICK集計:前年比5.6%、当社予想は同5.7%)は小幅に下回った。
世界経済の回復に伴い国際商品市況が堅調に推移していることを背景に国内企業物価上昇率は高水準で推移しているが、伸びは前月から0.1ポイント縮小した。内訳をみると、原油価格の上昇が一服したことを受けて、石油・石炭製品の伸びが前年比31.5%と前月(同38.7%)から鈍化した。また、銅の国際価格が頭打ちとなっていることを背景に、非鉄金属の伸び(7月:前年比32.4%→8月:同28.1%)も鈍化した。
国内企業物価は前月比では0.0%と前月から横ばいとなった。前月比で内訳をみると、木材価格の高騰を受けて木材・木製品が前月比5.2%(7月:同7.8%)と前月に続き高い伸びとなったほか、世界経済の回復を背景に鉄鋼が前月比1.0%(7月:同1.8%)と11ヵ月連続のプラスとなった。一方、ガソリン(7月:前月比2.1%→8月:同▲1.5%)、灯油(7月:前月比4.1%→8月:同▲2.4%)、軽油(7月:前月比3.8%→8月:同▲2.3%)などが下落に転じたことなどから、石油・石炭製品が前月比▲1.0%(7月:同4.2%)と9ヵ月ぶりのマイナスとなった。また、非鉄金属が前月比▲0.6%(7月:同▲0.2%)と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、農林水産物が同▲1.5%(7月:同▲0.3%)の下落となった。
世界経済の回復に伴い国際商品市況が堅調に推移していることを背景に国内企業物価上昇率は高水準で推移しているが、伸びは前月から0.1ポイント縮小した。内訳をみると、原油価格の上昇が一服したことを受けて、石油・石炭製品の伸びが前年比31.5%と前月(同38.7%)から鈍化した。また、銅の国際価格が頭打ちとなっていることを背景に、非鉄金属の伸び(7月:前年比32.4%→8月:同28.1%)も鈍化した。
国内企業物価は前月比では0.0%と前月から横ばいとなった。前月比で内訳をみると、木材価格の高騰を受けて木材・木製品が前月比5.2%(7月:同7.8%)と前月に続き高い伸びとなったほか、世界経済の回復を背景に鉄鋼が前月比1.0%(7月:同1.8%)と11ヵ月連続のプラスとなった。一方、ガソリン(7月:前月比2.1%→8月:同▲1.5%)、灯油(7月:前月比4.1%→8月:同▲2.4%)、軽油(7月:前月比3.8%→8月:同▲2.3%)などが下落に転じたことなどから、石油・石炭製品が前月比▲1.0%(7月:同4.2%)と9ヵ月ぶりのマイナスとなった。また、非鉄金属が前月比▲0.6%(7月:同▲0.2%)と3ヵ月連続のマイナスとなったほか、農林水産物が同▲1.5%(7月:同▲0.3%)の下落となった。
2.輸入物価(前月比)は10ヵ月連続のプラス
21年8月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比2.2%(7月:同2.2%)と10ヵ月連続のプラスとなった。また、21年8月の円相場(対ドル)は前月比▲0.4%の円高水準となったため、円ベースでは前月比1.8%(8月:同2.1%)と契約通貨ベースの伸びを下回った。
3.川上から川下への価格転嫁が緩やかに進む
21年8月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比50.4%(7月:同48.9%)、中間財が前年比9.9%(7月:同9.8%)、最終財が前年比2.6%(7月:同2.8%)となり、すべての需要段階で前月に続き高い伸びとなった。前年(20年)同月に新型コロナウイルス感染拡大によって大きく落ち込んだ反動で上振れしやすくなっているものの、前々年(19年)8月と比較しても、素原材料、中間財、最終財はそれぞれ20.5%、6.5%、1.1%と、すべての需要段階でコロナ前の水準を上回っており、川上から川下への価格転嫁が緩やかに進んでいる。また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比3.0%(7月:同3.4%)と高い伸びとなっている(前々年比では0.9%)。
原油価格の上昇が一服していることなどから、先行きの国内企業物価は前月比では0%近傍の伸びとなることが見込まれる一方で、前年の裏が出るため、前年比でみると9月以降も高い伸びが継続するだろう。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年09月13日「経済・金融フラッシュ」)
このレポートの関連カテゴリ
藤原 光汰
藤原 光汰のレポート
| 日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
|---|---|---|---|
| 2021/09/30 | ニッセイ景況アンケート調査結果-2021年度調査 | 藤原 光汰 | ニッセイ景況アンケート |
| 2021/09/13 | 企業物価指数(2021年8月)―上昇率は高水準も、前月から0.1ポイント縮小 | 藤原 光汰 | 経済・金融フラッシュ |
| 2021/08/27 | 鈍る緊急事態宣言への反応 | 藤原 光汰 | 研究員の眼 |
| 2021/08/12 | 企業物価指数(2021年7月)―前月から上昇率がさらに拡大。高水準が続く | 藤原 光汰 | 経済・金融フラッシュ |
新着記事
-
2025年10月24日
米連邦政府閉鎖と代替指標の動向-代替指標は労働市場減速とインフレ継続を示唆、FRBは政府統計を欠く中で難しい判断を迫られる -
2025年10月24日
企業年金の改定についての技術的なアドバイス(欧州)-EIOPAから欧州委員会への回答 -
2025年10月24日
消費者物価(全国25年9月)-コアCPI上昇率は拡大したが、先行きは鈍化へ -
2025年10月24日
保険業界が注目する“やせ薬”?-GLP-1は死亡率改善効果をもたらすのか -
2025年10月23日
御社のブランドは澄んでますか?-ブランド透明性が生みだす信頼とサステナビリティ開示のあり方(1)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2025年07月01日
News Release
-
2025年06月06日
News Release
-
2025年04月02日
News Release
【企業物価指数(2021年8月)―上昇率は高水準も、前月から0.1ポイント縮小】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
企業物価指数(2021年8月)―上昇率は高水準も、前月から0.1ポイント縮小のレポート Topへ












