2021年09月08日

2021・2022年度経済見通し-21年4-6月期GDP2次速報後改定

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
 
<実質成長率:2021年度3.1%、2022年度2.0%を予想>
 
  1. 2021年4-6月期の実質GDP(2次速報)は、1次速報の前期比0.3%(年率1.3%)から前期比0.5%(年率1.9%)に上方修正された。
     
  2. GDP2次速報の結果を受けて、8月に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2021年度が3.1%、2022年度が2.0%と予想する。成長率見通しは2021年度、2022年度ともに8月時点と変わらない。
     
  3. 2021年7-9月期は民間消費が減少する一方、緊急事態宣言の影響を受けにくい住宅投資、設備投資が増加することから前期比年率0.8%のプラス成長となるが、経済活動の水準が低いことを踏まえれば持ち直しのペースは鈍い。10-12月期は緊急事態宣言の解除を前提として同5.3%と成長ペースが加速すると予想するが、新型コロナウイルスの感染動向やそれに対応する経済活動の制限によっては、景気が下振れるリスクがある。
     
  4. 実質GDPが消費税率引き上げ前の直近のピーク(2019年7-9月期)に戻るのは2022年度末と予想するが、新型コロナウイルスに対する政策対応がこれまでと変わらなければ、経済の正常化はさらに遅れるリスクが高まる。逆に、医療体制の拡充や医療資源の適正な配分を行い、感染者数が一定程度増えても経済活動を大きく制限する必要がないような環境を整備すれば、消費を中心に景気が大きく上振れる可能性があるだろう。
実質GDP成長率の推移(年度)
■目次

1. 2021年4-6月期の実質GDPは前期比年率1.9%へ上方修正
  ・企業部門の改善が鮮明に
2. 実質成長率は2021年度3.1%、2022年度2.0%を予想
  ・実質GDPが直近のピークを超えるのは2022年度末
  ・物価の見通し
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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