2021年08月31日

雇用関連統計21年7月-緊急事態宣言下でも持ち直す雇用情勢

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.失業率は2ヵ月連続の低下

完全失業率と就業者の推移 総務省が8月31日に公表した労働力調査によると、21年7月の完全失業率は前月から0.1ポイント低下の2.8%(QUICK集計・事前予想:2.9%、当社予想も2.9%)となった。労働力人口が前月から28万人の増加となる中、就業者が前月から42万人増加したため、失業者は前月から▲12万人減の190万人(いずれも季節調整値)となった。

6月に続いて労働力人口が増加する中で、就業者がそれを上回る増加となったことが失業者の減少につながっており、内容的にも良い失業率の低下といえる。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
就業者数は前年差56万人増(6月:同22万人増)と4ヵ月連続で増加した。ただし、緊急事態宣言の影響で20年4月以降に急速に落ち込んだ反動による部分が大きく、前々年と比較すると▲20万人の減少となっている(6月は同▲55万人減)。

産業別には、卸売・小売が前年差63万人増(6月:同49万人増)と増加幅が拡大したほか、新型コロナウイルス感染症の影響から大幅な減少が続いていた宿泊・飲食サービスは前年差1万人増(6月:同13万人増)と2ヵ月連続で増加した。ただし、前々年と比較すると▲21万人の減少となっている(6月:同▲25万人減)。
 
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ35万人増(6月:同47万人増)と4ヵ月連続で増加したが、前々年差では▲43万人減と減少が続いている。雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員数は前年差19万人増(6月:同31万人増)と4ヵ月連続で増加したが、前々年差では▲112万人減(6月:同▲73万人減)となっている。一方、新型コロナウイルス感染拡大後も増加を続けてきた正規の職員・従業員数は前年差16万人増(6月:15万人増)となったが、20年度中に比べるとそのペースは鈍化している。新卒採用抑制の影響などもあり、21年度の正規雇用が低迷する可能性を示唆している。

2.有効求人倍率は2ヵ月連続で改善

厚生労働省が8月31日に公表した一般職業紹介状況によると、21年7月の有効求人倍率は前月から0.02ポイント上昇の1.15倍(QUICK集計・事前予想:1.12倍、当社予想も1.12倍)となった。有効求職者数が前月比▲0.5%と3ヵ月連続で減少する一方、有効求人数が同1.5%の増加となった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.10ポイント低下の1.98倍となった。新規求職申込件数が前月比3.5%の増加となる一方、新規求人数が同▲1.1%と3ヵ月ぶりに減少した。
有効求人倍率の推移 失業率、有効求人倍率はいずれも2ヵ月連続で改善し、緊急事態宣言下でも雇用情勢は持ち直している。ただし、7/12に東京都で4度目の緊急事態宣言が発令され、その後対象地域が拡大していることから、個人消費を中心とした経済活動の停滞はさらに長期化する可能性が高い。先行きの雇用情勢が大幅に改善することは期待できないだろう。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年08月31日「経済・金融フラッシュ」)

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