2021年07月30日

鉱工業生産21年6月-自動車生産が急回復

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.4-6月期は前期比1.0%と4四半期連続の増産

経済産業省が7月30日に公表した鉱工業指数によると、21年6月の鉱工業生産指数は前月比6.2%(5月:同▲6.5%)と2ヵ月ぶりに上昇し、事前の市場予想(QUICK集計:前月比5.0%、当社予想も同5.0%)を上回る結果となった。出荷指数は前月比4.3%と2ヵ月ぶりの上昇、在庫指数は前月比2.3%と3ヵ月ぶりの上昇となった。

6月の生産を業種別に見ると、半導体不足の影響で5月に前月比▲19.4%の大幅減産となった自動車が同22.6%と急回復したほか、内外の設備投資の回復を背景に生産用機械も前月比8.9%の高い伸びとなった。

21年4-6月期の生産は前期比1.0%と4四半期連続の増産となったが、1-3月期の同2.9%からは伸びが低下した。業種別には、内外の設備投資の回復を受けて、生産用機械(1-3月期:前期比14.2%→4-6月期:同5.7%)、汎用・業務用機械(1-3月期:前期比0.7%→4-6月期:同9.4%)が高い伸びとなり、デジタル関連需要の強さを背景に、電子部品・デバイス(1-3月期:同9.6%→4-6月期:同5.1%)も好調を維持した。一方、半導体不足の影響で自動車が前期比▲4.9%(1-3月期:同▲4.7%)と2四半期連続の減産となったほか、自動車産業の影響を強く受ける非鉄金属が同▲0.5%(1-3月期:同2.8%)と4四半期ぶりの減産となった。

鉱工業生産は20年4-6月期に前期比▲16.8%と急激に落ち込んだ後、7-9月期から21年4-6月期までの4四半期でその落ち込み分をほぼ取り戻した。国内需要は個人消費を中心に低迷が続いているが、海外経済の回復を背景に輸出が好調を維持し、コロナ前の水準を上回っていることが製造業の生産活動を支えている。
鉱工業生産・出荷・在庫指数の推移/鉱工業生産の業種別寄与度
財別の出荷動向を見ると、設備投資のうち機械投資の一致指標である資本財出荷指数(除く輸送機械)は21年1-3月期の前期比7.8%の後、4-6月期は同9.5%となった。また、建設投資の一致指標である建設財出荷指数は21年1-3月期の前期比0.1%の後、4-6月期は同4.0%となった。

21年1-3月期のGDP統計の設備投資は前期比▲1.2%の減少となったが、20年10-12月期に同4.3%の高い伸びとなった反動もあり、基調としては持ち直しの動きが続いている。4-6月期の設備投資は2四半期ぶりの増加となる可能性が高いだろう。
財別の出荷動向 消費財出荷指数は21年1-3月期の前期比▲0.9%の後、4-6月期は同▲3.1%と2四半期連続で低下した。耐久消費財(前期比▲5.1%)、非耐久消費財(同▲1.5%)ともに前期比マイナスとなった。

21年1-3月期のGDP統計の民間消費は前期比▲1.5%と3四半期ぶりの減少となった。足もとの消費関連指標を確認すると、外食、旅行などのサービス消費の低迷が続いていることに加え、緊急事態宣言に伴う休業、時短営業の影響で財消費も弱めの動きとなっている。21年4-6月期の民間消費は2四半期連続で減少すると予想している。

2.緊急事態宣言下でも堅調を維持する見込み

製造工業生産予測指数は、21年7月が前月比▲1.1%、8月が同1.7%となった。生産計画の修正状況を示す実現率(6月)、予測修正率(7月)はそれぞれ▲1.6%、▲1.3%であった。

予測指数を業種別にみると、半導体不足の影響で5月に前月比▲16.6%の大幅減産となった輸送機械は、6月に同17.7%と急回復したが、7、8月の予測指数はそれぞれ前月比2.7%、同▲1.3%とほぼ横ばいとなっている。自動車生産は最悪期を脱したものの、20年後半のように生産の牽引役となることは当分期待できないだろう。
最近の実現率、予測修正率の推移/輸送機械の生産、在庫動向
21年6月の生産指数を7、8月の予測指数で先延ばしすると、7、8月の平均は4-6月期を1.5%上回る。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の悪影響はサービス業を中心に表れ、製造業への影響は限定的にとどまっている。引き続き国内需要の低迷長期化が生産を下押しするリスクはあるものの、世界経済の回復を背景とした輸出の増加を主因として、製造業の生産活動は先行きも堅調を維持することが予想される。
 
 

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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年07月30日「経済・金融フラッシュ」)

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