NEW
2025年08月01日

雇用関連統計25年6月-有効求人倍率は3年4ヵ月ぶりの低水準に

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

文字サイズ

1.女性の就業者数(季節調整値)が過去最高を更新

完全失業率と就業者の推移 総務省が8月1日に公表した労働力調査によると、25年6月の完全失業率は前月から横ばいの2.5%(QUICK集計・事前予想:2.5%、当社予想は2.6%)となった。

労働力人口が前月から4万人の減少となる中、就業者数が前月から5万人減少し、失業者数は前月から横ばいの172万人(いずれも季節調整値)となった。
就業者数は前年差51万人増(5月:同72万人増)と35ヵ月連続で増加した。男女別には、男性が前年差2万人減と4ヵ月ぶりに減少したが、女性が前年差52万人増と40ヵ月連続で増加した。女性の就業者数(季節調整値)は前月から7万人増の3129万人と25年1月の3125万人を上回り、過去最高を更新した。

産業別には、製造業(前年差31万人減)、卸売・小売業(同62万人減)は大幅な減少となったが、建設業(前年差17万人増)、情報通信業(同37万人増)、宿泊・飲食サービス業(同18万人増)、医療・福祉(同18万人増)などが増加した。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ67万人増(5月:同79万人増)と40ヵ月連続で増加した。雇用形態別にみると、正規の職員・従業員数が前年差51万人増(5月:48万人増)と20ヵ連続、非正規の職員・従業員数が前年差16人増(5月:同31万人増)と6ヵ月連続で増加した。

2.有効求人倍率は3年4ヵ月ぶりの低水準に

厚生労働省が8月1日に公表した一般職業紹介状況によると、25年6月の有効求人倍率は前月から0.02ポイント低下の1.22倍(QUICK集計・事前予想:1.25倍、当社予想も1.25倍)となった。有効求職者数が前月比0.4%と3ヵ月連続で増加する一方、有効求人数が同▲1.2%と4ヵ月ぶりに減少した。
有効求人倍率の推 有効求人倍率は22年2月(1.21倍)以来、3年4ヵ月ぶりの低水準となった。求人数減少の一因として、企業の求人がハローワーク以外のチャネルにシフトしていることが挙げられる。一方で、求職者側もハローワーク以外の手段を利用する傾向が強まっていることを踏まえれば、有効求人倍率の低下は労働市場の需給バランスの弱含みを一定程度反映していると考えることも可能だろう。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.04ポイント上昇の2.18倍となった。新規求人数は前月比▲1.3%の減少となったが、新規求職申込件数が同▲3.0%と求人数の減少幅を上回ったことが新規求人倍率の上昇につながった。
産業別新規求人数 新規求人数(原数値)は前年比▲2.5%(5月:同▲5.2%)と2ヵ月連続で減少した。産業別には、建設業(5月:前年比▲2.7%→6月:同1.4%)、情報通信業(5月:前年比▲2.2%→6月:同5.2%)は増加に転じたが、製造業(5月:前年比▲4.0%→6月:同▲1.3%)が2ヵ月連続で減少し、卸売・小売業(5月:前年比▲11.1%→6月:同▲11.7%)、生活関連サービス・娯楽業(5月:前年比▲5.7%→6月:同▲9.1%)の減少幅が拡大した。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年08月01日「経済・金融フラッシュ」)

Xでシェアする Facebookでシェアする

経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

週間アクセスランキング

ピックアップ

レポート紹介

お知らせ

お知らせ一覧

【雇用関連統計25年6月-有効求人倍率は3年4ヵ月ぶりの低水準に】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。

雇用関連統計25年6月-有効求人倍率は3年4ヵ月ぶりの低水準にのレポート Topへ