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- 消費者物価(全国21年6月)-コアCPI上昇率は2ヵ月連続のプラスも、基準改定でマイナスへ
2021年07月20日
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1.コアCPI上昇率は2ヵ月連続のプラス

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.2%(5月:同▲0.2%)、総合は前年比0.2%(5月:同▲0.1%)と10ヵ月ぶりのプラスとなった。
コアCPIの内訳をみると、ガソリン(5月:前年比19.8%→6月:同17.9%)の上昇幅は縮小したが、電気代(5月:前年比▲2.9%→6月:同▲1.7%)、ガス代(5月:前年比▲1.7%→6月:同▲1.2%)の下落幅が縮小し、灯油(5月:前年比19.0%→6月:同21.4%)の上昇幅が拡大したことから、エネルギー価格の上昇率が5月の前年比4.2%から同4.6%へと拡大した。
2.上昇品目数の割合は引き続き50%を下回る
3.コアCPI上昇率は基準改定でマイナスに修正される見込み
コアCPI上昇率は2ヵ月連続のプラスとなったが、8/20に公表される21年7月分より2015年基準から2020年基準に切り替えられる1。

下方改定の主因は携帯電話通信料である。2020年基準では、21年4月から大幅に下落している携帯電話通信料のウェイトが高まり、2020年平均で85.4まで低下していた指数水準が2020年=100に引き上げられる(指数水準のリセット)。ウェイト効果とリセット効果により、携帯電話通信料のコアCPI上昇率へのマイナス寄与は、21年4~6月には2020年基準のほうが▲0.2%程度大きくなることが見込まれる2。
現時点では、2020年基準のコアCPI上昇率は2015年基準から3ヵ月遅れの8月にプラスに転じると予想している。その後は、原油価格上昇を受けてエネルギー価格の上昇ペースが加速すること、食料品などで原材料価格上昇によるコスト増を転嫁する動きが徐々に広がることことに加え、8~12月は前年の「Go Toトラベル」による宿泊料の大幅下落の裏が出ることも押し上げ要因となる。コアCPIは年末にかけてゼロ%台後半まで伸びを高めるだろう。
1 8/6に2020年基準指数の2020 年1月から2021 年6月分の遡及結果が公表される(前年同月比は2021年1月以降)。
2 携帯電話通信料はモデル式の改定が予定されている。基準改定時には携帯電話通信料の上昇率が改定されることが見込まれるが、この試算にはその影響が含まれていない。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2021年07月20日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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