2021年07月20日

消費者物価(全国21年6月)-コアCPI上昇率は2ヵ月連続のプラスも、基準改定でマイナスへ

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は2ヵ月連続のプラス

消費者物価指数の推移 総務省が7月20日に公表した消費者物価指数によると、21年6月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比0.2%(5月:同0.1%)となり、上昇率は前月から0.1ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:0.2%、当社予想も0.2%)通りの結果であった。

生鮮食品及びエネルギーを除く総合(コアコアCPI)は前年比▲0.2%(5月:同▲0.2%)、総合は前年比0.2%(5月:同▲0.1%)と10ヵ月ぶりのプラスとなった。

コアCPIの内訳をみると、ガソリン(5月:前年比19.8%→6月:同17.9%)の上昇幅は縮小したが、電気代(5月:前年比▲2.9%→6月:同▲1.7%)、ガス代(5月:前年比▲1.7%→6月:同▲1.2%)の下落幅が縮小し、灯油(5月:前年比19.0%→6月:同21.4%)の上昇幅が拡大したことから、エネルギー価格の上昇率が5月の前年比4.2%から同4.6%へと拡大した。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 食料(生鮮食品を除く)は前年比0.1%(5月:同0.0%)となった。穀物などの原材料価格は高騰しており、企業物価指数の飲食料品も上昇している。そうした中でも消費者物価指数の食料品はほぼゼロ%の伸びが続いており、最終製品への価格転嫁は遅れている。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが0.36%(5月:0.32%)、食料(生鮮食品を除く)が0.00%(5月:0.00%)、携帯電話通信料が▲0.56%(5月:同▲0.56%)、その他が0.40%(5月:0.34%)であった。

2.上昇品目数の割合は引き続き50%を下回る

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象523品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、6月の上昇品目数は257品目(5月は256品目)、下落品目数は205品目(5月は201品目)となり、上昇品目数、下落品目数ともに前月から若干増加した。上昇品目数の割合は49.1%(5月は48.9%)、下落品目数の割合は39.2%(5月は38.4%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は9.9%(5月は10.5%)であった。

コアCPIは上昇しているが、上昇品目数の割合は20年11月から50%を下回る水準で横ばい圏の動きとなっている。

3.コアCPI上昇率は基準改定でマイナスに修正される見込み

コアCPI上昇率は2ヵ月連続のプラスとなったが、8/20に公表される21年7月分より2015年基準から2020年基準に切り替えられる1
2020年基準のコアCPI上昇率は下方改定の可能性 7/9に総務省統計局から公表された2020年基準の品目別ウェイト等をもとに、2020年基準の消費者物価上昇率を試算したところ、コアCPI上昇率は21年1~3月は2015年基準とほとんど変わらないが、4、5月が▲0.3%、6月が▲0.4%下方改定され、4月が前年比▲0.4%、5月が同▲0.2%、6月が同▲0.2%となった。2015年基準では21年5月に上昇率が1年2ヵ月ぶりにプラスに転じたが、2020年基準ではマイナス圏の推移が続いているという姿に改められる可能性が高い。

下方改定の主因は携帯電話通信料である。2020年基準では、21年4月から大幅に下落している携帯電話通信料のウェイトが高まり、2020年平均で85.4まで低下していた指数水準が2020年=100に引き上げられる(指数水準のリセット)。ウェイト効果とリセット効果により、携帯電話通信料のコアCPI上昇率へのマイナス寄与は、21年4~6月には2020年基準のほうが▲0.2%程度大きくなることが見込まれる2

現時点では、2020年基準のコアCPI上昇率は2015年基準から3ヵ月遅れの8月にプラスに転じると予想している。その後は、原油価格上昇を受けてエネルギー価格の上昇ペースが加速すること、食料品などで原材料価格上昇によるコスト増を転嫁する動きが徐々に広がることことに加え、8~12月は前年の「Go Toトラベル」による宿泊料の大幅下落の裏が出ることも押し上げ要因となる。コアCPIは年末にかけてゼロ%台後半まで伸びを高めるだろう。
 
1 8/6に2020年基準指数の2020 年1月から2021 年6月分の遡及結果が公表される(前年同月比は2021年1月以降)。
2 携帯電話通信料はモデル式の改定が予定されている。基準改定時には携帯電話通信料の上昇率が改定されることが見込まれるが、この試算にはその影響が含まれていない。
 
 

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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年07月20日「経済・金融フラッシュ」)

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