2021年06月29日

雇用関連統計21年5月-緊急事態宣言の影響で雇用情勢が再び悪化

経済研究部 経済調査部長   斎藤 太郎

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1.失業率は5ヵ月ぶりに3%台へ上昇

総務省が6月29日に公表した労働力調査によると、21年5月の完全失業率は前月から0.2ポイント上昇の3.0%(QUICK集計・事前予想:2.9%、当社予想は2.8%)となった。労働力人口が前月から▲6万人の減少となる中、就業者が前月から▲13万人減少したため、失業者は前月から10万人増の204万人(いずれも季節調整値)となった。
完全失業率と就業者の推移 就業者は21年3月から5月までの3ヵ月で▲52万人の大幅減少となった。この間の失業者は1万人の増加にとどまっているが、これは労働力人口が▲42万人の減少と非労働力化の進展が失業者の増加を抑制しているためである。ヘッドラインの失業率以上に内容は厳しい。

雇用情勢は20年末にかけて持ち直しつつあったが、21年1月以降の緊急事態宣言の影響で再び厳しさを増している。
産業別・就業者数の推移/雇用形態別雇用者数
就業者数は前年差11万人増(4月:同29万人増)と2ヵ月連続で増加した。ただし、20年4、5月に緊急事態宣言の影響で急速に落ち込んだ反動による部分が大きく、前々年と比較すると▲65万人の減少となっている(4月は同▲51万人減)。

産業別には、卸売・小売が前年差9万人増(4月:同8万人増)と2ヵ月連続で増加し、医療・福祉は前年差51万人増(4月:同37万人増)と増加ペースが拡大したが、宿泊・飲食サービスは前年差▲8万人減(4月:同▲20万人減)と17ヵ月連続で減少した。
 
雇用者数(役員を除く)は前年に比べ36万人増(4月:同25万人増)と2ヵ月連続で増加したが、前々年差では▲25万人減と減少が続いている。雇用形態別にみると、非正規の職員・従業員数は前年差16万人増(4月:同20万人増)と2ヵ月連続で増加したが、前々年差では▲45万人減となっている。一方、新型コロナウイルス感染拡大後も増加を続けてきた正規の職員・従業員数は前年差22万人増(4月:5万人増)と増加幅が拡大したが、均してみればそのペースは鈍化している。新卒採用抑制の影響などもあり、21年度の正規雇用が低迷する可能性を示唆している。

2.宿泊業、飲食店は10%を超える休業率に

休業者数は212万人となり、前年に比べて▲211万人の減少(4月:同▲398万人減)となったが、前々年と比べると63万人の増加(4月:同22万人増)と増加幅が拡大した。

産業別の休業率(休業者/就業者)をみると、緊急事態宣の影響を強く受ける宿泊業(3月:6.0%→4月:8.2%→5月:11.3%)、飲食店(3月:5.5%→4月:6.8%→5月:12.4%)、娯楽業(3月:7.4%→4月:5.1%→5月:8.2%)が大幅に上昇した。
休業者数の推移/主な産業別休業率

3.有効求人倍率の改善は頭打ち

有効求人倍率の推移 厚生労働省が6月29日に公表した一般職業紹介状況によると、21年5月の有効求人倍率は前月から横ばいの1.09倍(QUICK集計・事前予想:1.08倍、当社予想は1.09倍)となった。有効求人数(前月比▲0.3%)、有効求職者数(同▲0.4%)ともに小幅な減少となった。

有効求人倍率の先行指標である新規求人倍率は前月から0.27ポイント上昇の2.09倍となった。新規求人数が前月比1.3%の増加となる一方、新規求職申込件数が前月比▲11.7%の大幅減少となったことが新規求人倍率を大きく押し上げた。新規求人倍率は大幅に改善したが、新規求職申込件数の大幅減少がその主因であり、企業の採用意欲が高まっているわけではない。有効求人倍率は当面低調に推移する可能性が高い。
 
 

(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
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斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2021年06月29日「経済・金融フラッシュ」)

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