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法人企業統計21年1-3月期-企業収益は回復傾向が鮮明となるが、設備投資は低迷が続く
経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎
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1.8四半期ぶりの増益
非製造業は、国内需要の持ち直しを反映し、売上高が前年比▲3.6%(10-12月期:同▲4.1%)と減少幅が若干縮小する中、売上高経常利益率が20年1-3月期の4.6%から5.3%へと改善したことが収益の押し上げ要因となった。
売上高経常利益率を要因分解すると、製造業、非製造業ともに変動費要因が利益率改善の主因となった。既往の原油安の影響で変動費の減少が続く中で、売上高の減少幅が縮小したため、売上高変動費率が大きく低下した。
2.経常利益(季節調整値)はコロナ前の水準を回復

企業収益は、20年前半は新型コロナウイルス感染症の影響で急速に落ち込んだものの、その後は製造業を中心に想定を上回るペースで急回復した。4-6月期は、製造業が輸出の好調と財消費の堅調に支えられて回復の動きが継続する一方、緊急事態宣言の影響を大きく受ける宿泊、飲食サービス業などの対面型サービス業は引き続き低調な動きとなることが予想される。業種間の格差は一段と広がる可能性が高い。
3.設備投資は減少が継続

季節調整済の設備投資(ソフトウェアを含む)は前期比▲0.4%(10-12月期:同▲0.4%)と4四半期連続で減少した。製造業は前期比0.5%(10-12月期:同▲1.7%)と6四半期ぶりに増加したが、非製造業は前期比▲0.9%(10-12月期:同0.3%)と2四半期ぶりに減少した。企業収益は回復傾向が明確となっているが、設備投資は低迷が続いている。19年以降の企業収益の悪化を受けて、設備投資の好調を支えていた潤沢なキャッシュフローという前提が崩れたこと、需要の急激な落ち込みを経験したことで企業の慎重姿勢が強くなっていることが、設備投資の抑制につながっているとみられる。
ただし、企業収益はすでにコロナ前の水準を取り戻しており、設備投資回復の条件は整いつつある。先行きについては、対面型サービス業の建設投資が引き続き下押し要因となるものの、機械投資やデジタル関連投資が増加することから、設備投資全体としては持ち直しに向かうことが予想される。
4.1-3月期・GDP2次速報は小幅上方修正を予想

また、民間在庫変動は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映されるが、1次速報の前期比・寄与度0.3%から変わらないだろう。
その他の需要項目では、民間消費は3月のサービス産業動向調査の結果などが反映され、前期比▲1.4%から同▲1.3%へ、公的固定資本形成は3月の建設総合統計の結果が反映され、前期比▲1.1%から同▲0.8%へ上方修正されると予想する。
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(2021年06月01日「経済・金融フラッシュ」)
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