2021年08月12日

企業物価指数(2021年7月)―前月から上昇率がさらに拡大。高水準が続く

経済研究部   藤原 光汰

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1.上昇率がさらに拡大

8月12日に日本銀行から発表された企業物価指数によると、21年7月の国内企業物価は前年比5.6%(6月:同5.0%)と5ヵ月連続の前年比プラスとなった。また、事前の市場予想(QUICK集計:前年比5.0%、当社予想は同5.1%)を大幅に上回る結果となった。

世界経済の回復に伴い国際商品市況が堅調に推移していることを背景に、国内企業物価上昇率は前月から伸びが拡大した。内訳をみると、原油価格の上昇により石油・石炭製品が前年比38.8%(6月:同42.0%)と5ヵ月連続のプラスとなったほか、化学製品が同10.9%(6月:同10.1%)となった。また、銅の国際価格が高値をつけていることを受けて、非鉄金属は前年比32.3%(6月:同37.6%)の高い伸びとなった。

国内企業物価は前月比では1.1%と8ヵ月連続の上昇となった。夏季電力料金引き上げの影響を除いても伸びは前月比0.8%となり、前月の同0.6%から拡大した。前月比で内訳をみると、原油高に伴いガソリン(6月:前月比3.1%→7月:同2.3%)、灯油(6月:前月比4.9%→7月:同4.5%)、軽油(6月:前月比4.9%→7月:同4.1%)などの伸びが継続したことに加え、ナフサ(6月:前月比0.0%→7月:同15.0%)が大幅に上昇したことなどから、石油・石炭製品が前月比4.3%(6月:同3.0%)となったほか、原料のナフサ高を受けて化学製品が前月比1.0%(6月:同0.5%)となり、前月から伸びを高めた。また、木材価格の高騰を受けて木材・木製品が前月比7.8%(6月:同9.8%)と前月に続き高い伸びとなったほか、世界経済の回復を背景に鉄鋼が前月比1.8%(6月:同1.7%)と10ヵ月連続のプラスとなった。一方、銅価格の上昇が一服したことを受けて、非鉄金属は前月比▲0.2%(6月:同▲0.4%)と2ヵ月連続のマイナスとなった。
国内企業物価指数(前年比・前月比)の推移/国内企業物価指数の前年比寄与度分解

2.輸入物価(前月比)は9ヵ月連続のプラス

21年7月の輸入物価は、契約通貨ベースでは前月比1.8%(6月:同2.0%)と9ヵ月連続のプラスとなった。また、21年7月の円相場(対ドル)は前月比0.2%のほぼ横ばいとなったため、円ベースでは前月比1.8%(6月:同2.6%)と契約通貨ベースの伸びと同等であった。
輸入物価指数変化率の要因分解(契約通貨ベース) 契約通貨ベースで輸入物価の内訳をみると、原油(前月比5.0%)、液化天然ガス(同7.3%)が上昇したことを受けて、石油・石炭・天然ガスが同5.3%(6月:同5.3%)と9ヵ月連続のプラスとなった。また、木材価格の高騰を背景に木材・木製品・林産物が同7.4%(6月:同8.7%)と前月に続き高い伸びとなった。そのほか、飲食料品・食料用農水産物(前月比1.5%)、金属・同製品(同0.4%)、電気・電子機器(同0.4%)など多くの項目でプラス寄与となった。

3.川上から川下への価格転嫁が緩やかに進む

需要段階別指数の推移 21年7月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比48.0%(6月:同50.2%)、中間財が前年比9.7%(6月:同9.1%)、最終財が前年比2.6%(6月:同2.8%)となり、すべての需要段階で前月に続き高い伸びとなった。前年(20年)同月に新型コロナウイルス感染拡大によって大きく落ち込んだ反動で上振れしやすくなっているものの、前々年(19年)7月と比較しても、素原材料、中間財、最終財は17.3%、5.4%、0.7%と、すべての需要段階でコロナ前の水準を上回っており、川上から川下への価格転嫁が緩やかに進んでいる。

また、消費者物価(生鮮食品を除く総合)と関連性の高い消費財は前年比3.2%(6月:同3.3%)と高い伸びとなっている(前々年比では0.4%)。

感染力の強い変異株の急拡大により、先行きの不透明感は強まっているものの、先進国を中心に経済活動の正常化が進んでおり、国際商品市況は堅調に推移することが見込まれる。国内企業物価は8月以降も前年比5%台の高い伸びが継続するだろう。
 
 

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経済研究部  

藤原 光汰 (ふじわら こうた)

研究・専門分野

(2021年08月12日「経済・金融フラッシュ」)

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