2021年05月07日

コロナ禍における生活の変化(3)-「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査」からみる生活行動の変化と地域間較差

生活研究部 井上 智紀

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1――はじめに

新型コロナウィルス感染症の国内における感染拡大が始まってから1年以上が経過した。この間、弊社ではコロナ禍における様々な生活局面における意識や実態を明らかにするため、凡そ四半期ごとに「新型コロナによる暮らしの変化に関する調査1 」を実施し、結果を公表してきた。本稿では、昨年12月に公表した拙稿に引き続き、昨年9月以降のコロナ禍における生活行動とその変化の地域差に着目し、買い物、食事サービス利用、働き方の3つの局面および生活時間について、感染拡大前(昨年1月頃)との対比をもとに地域ごとの状況を概観していく。
 
1 調査概要等、調査の詳細は弊社サイト内の特設ページを参照されたい。
 

2――買い物行動の変化

2――買い物行動の変化

1|増加した買い物行動
感染拡大前(昨年1月頃)に比べて利用が増加した行動についてみると、第2回調査を実施した昨年9月時点では東海および愛知県、南九州で「ドラッグストア」が、四国、北九州、南九州で「ネットショッピング」が、愛知県で「キャッシュレス決済サービス」が、それぞれ全体に比べ高くなっている。また、第3回調査を実施した昨年12月時点では北陸で「デパートやショッピングモール」が、北関東で「ネットショッピング」が、東京都で「キャッシュレス決済サービス」が、それぞれ高く、第4回調査を実施した今年3月時点では北関東、東海で「ドラッグストア」が、四国で「デパートやショッピングモール」が、東京都で「ネットショッピング」が、甲信越、北陸で「キャッシュレス決済サービス」が、それぞれ高くなっている。

3時点間の変化に着目すると、北海道、北関東、東京都で「スーパー」が、北陸で「デパートやショッピングモール」が、北関東で「ネットショッピング」が9月から12月にかけて増加した後、12月から今年3月にかけて減少しているのに対し、甲信越、南九州で「スーパー」が、北関東、甲信越で「ドラッグストア」が、東北、北陸で「コンビニエンスストア」が、四国で「デパートやショッピングモール」が、北九州、南九州で「ネットショッピング」が、東北、甲信越、愛知県、四国、北九州で「キャッシュレス決済サービス」が減少した後、増加に転じている。また、北陸で「ネットショッピング」が、東京都、北陸、中国で「キャッシュレス決済サービス」が3時点間で一貫して増加する一方、南九州で「ドラッグストア」が、四国で「コンビニエンスストア」が、それぞれ一貫して減少しているなど、地域により、また時間経過に伴いそれぞれ動きが異なることがわかる。
図表1 増加した買物行動
2|減少した買物行動
感染拡大前(昨年1月頃)に比べて利用が減少した行動についてみると、第2回調査を実施した昨年9月時点では東京都、愛知県で「デパートやショッピングモール」が、それぞれ全体に比べ高くなっている。また、第3回調査を実施した昨年12月時点では北海道で「スーパー」が、南九州で「ドラッグストア」が、東京都、北陸で「コンビニエンスストア」が、四国で「キャッシュレス決済サービス」がそれぞれ高く、第4回調査を実施した今年3月時点では東京都で「スーパー」が、北海道で「ドラッグストア」が、南九州で「コンビニエンスストア」が、東京都、愛知県で「デパートやショッピングモール」が、南九州で「キャッシュレス決済サービス」が、それぞれ高くなっている。

3時点間の変化に着目すると、北関東、南関東および東京都、北陸、愛知県、で「スーパー」が、東京都、北陸、愛知県で「ドラッグストア」が、北関東で「コンビニエンスストア」が、北九州で「デパートやショッピングモール」が9月から12月にかけて減少した後、12月から3月にかけて増加しているのに対し、大阪府、中国で「スーパー」が、北海道、東北、東京都、北陸、四国で「コンビニエンスストア」が、北海道、甲信越、中国、四国で「デパートやショッピングモール」が、南九州で「ネットショッピング」が、四国で「キャッシュレス決済サービス」が、それぞれ増加した後、減少に転じている。また、四国の「スーパー」では3時点間で一貫して増加、南九州の「デパートやショッピングモール」では一貫して減少と、利用が減少した買物行動についても地域により、また時間経過に伴いそれぞれ動きが異なっている。
図表2 減少した買物行動

3――食事サービス利用の変化

3――食事サービス利用の変化

1|増加した食事サービス
感染拡大前(昨年1月頃)に比べて利用が増加した行動についてみると、第2回調査を実施した昨年9月時点では大阪府で「デリバリー」が、北関東、甲信越、愛知県で「テイクアウト」が高くなっている。また、第3回調査を実施した昨年12月時点では東京都で「デリバリー」が、北関東、愛知県で「テイクアウト」が、愛知県で「店内飲食」が、それぞれ高く、第4回調査を実施した今年3月時点では北陸、中国で「テイクアウト」が高くなっている。

3時点間の変化に着目すると、愛知県では「デリバリー」で、北陸では「テイクアウト」で、それぞれ一貫して増加している一方、北関東の「デリバリー」、甲信越、中国、四国の「テイクアウト」、北九州の「店内飲食」では9月から12月にかけて減少した後、12月から3月にかけては増加に転じている。
図表3 増加した食事サービス
2|減少した食事サービス
感染拡大前(昨年1月頃)に比べて利用が減少した行動についてみると、第2回調査を実施した昨年9月時点では東京都、北陸で、第3回調査を実施した昨年12月時点では北海道、四国で、それぞれ「店内飲食」が高く、昨年12月の四国では「オンライン飲み会」も高くなっている。また、第4回調査を実施した今年3月時点では北陸、愛知県で「店内飲食」が、北関東、四国で「オンライン飲み会」が高くなっている。

3時点間の変化に着目すると、「店内飲食」は中国で一貫して増加する一方、北海道、四国では9月から12月にかけて増加した後、12月から3月にかけては減少、北陸、北九州では減少した後、増加に転じるなど地域により変化の方向性が異なっている。
図表4 減少した食事サービス
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